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ムーン大陸でも国造り
運動会は大賑わいです
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女神クルステがお告げを出してからちょうど1カ月後、この世界で初めての休日を迎えた。
エレクトス王国の運動場にはエレクトスの王族だけでなく、他国の王族や各地域の領主・代官が一同に会している。
もちろん運動会を観戦するためである。
この世界に自分たちの祖先を転移させ滅亡の危機から救ってくれたアルマニ公爵様が、壊滅寸前の極貧村を立て直し世界でも有数の先進都市にした時に用いた休日制度とその定着のために開催した伝説の運動会。
数多の歴史家がその研究を重ね何度も試行を重ねながらもついに実現できなかったというそのイベントを、今日このエレクトス王国で開催するという。
しかもこの地の巫女セリーヌが女神クルステ様とアルマニ公爵様から直接指導を受けたとなれば、これは奇跡以外の何ものでもない。
そしてこれは建国240年余にして初のチャンスであり、これがうまくいった暁にはこの世界の更なる発展が約束されるようなものとなるという皆の期待の高さとも言えよう。
本日の運動会を取り仕切るセリーヌとエレクトス王家は、この日のために何度も各所と調整を行うと共に、全世界でこの運動会という伝説のイベントをアルマニ公爵様の補佐として成し遂げた偉大なる祖先ランスの残した書物を隅々まで読み漁って当日を迎えたのであった。
「セリーヌ、今日までご苦労であった。ランス様の悲願、今日は頼んだぞ。」
「はいお父様、準備は出来ております。後は訓練通りに運動会が進行することを祈るばかりですわ。」
「そうか、よくやってくれた。最後までしっかりと頼むぞ。」
「承知いたしました。このセリーヌ、エレクトス王家の長年の悲願を今日こそ叶えて見せます。
女神クルステ様、アルマニ公爵様、どうぞわたくしにご加護を頂けますよう。」
「セリーヌさん、この1カ月間頑張っていましたからねえ。上手くいって欲しいですね。」
「ヒロシ様、助けてあげればいいじゃないですか。」
「そうは言ってもねえイリヤ。あれだけ頑張ったんだから、彼女達の力だけで成功させてあげたいじゃない。」
「へえー、ヒロシにもそんな感覚があるんだ。」
「ミーア、俺をなんだと思ってるんだ。コラァー。」
「ほらそこじゃれない。さあ始まるぞ。」
俺達は今運動場の上空、気配遮断の結界の中にいる。
もちろん、運動会を観戦するためだ。
こちらの者にとっては3年ぶり、外の者にとっては240年ぶりとなる建国以来の大イベントなのだから、皆んな興味深々だな。
エレクトス国王の開会の挨拶の後、最初の種目である小学生低学年による30メートル走が始まった。
子供達は危なげな足取りをしながらも夢中になって走っている。
そしてその姿は、周りの大人達を和ませると共に運動会の魅力に引き摺り込んでいく。
高学年、中学生の短距離走に運動場が興奮の坩堝に包まれ、運動場に集まった全ての人に感動を与える。
その後も続く大人や老人による競技。
砲丸投げで腕力を競い合い、綱引きでチームワークを競う。
フォークダンスで国を越えた交流を深め、応援合戦で互いの健闘を讃えあう。
この世界の老若男女を大興奮に巻き込んで、初めての運動会は大成功のうちに終わったのだった。
閉会式でセリーヌは集まってくれた全員に向かって語りかける。
今日始まった休日制度は、女神クルステ様、そして救世主アルマニ公爵様に与えられた、素晴らしい時間であり、我々の生活をより豊かにするために必要なものである。
神に感謝して、この休日をどのように有意義に過ごすのかは各個人に委ねられるのだ。
神から与えられたこの時間に感謝して、これからも豊かで実りのある人生を送ろうではないか。
そう締め括った彼女の瞳から光るものが流れ落ちた時、運動場は巨大な歓声と拍手に包まれたのだった。
「今週も運動会をしているよね。」
「あっちでは料理教室、こっちでは染色教室が始まってるよ。」
あれから外の世界で半年が経ち、すっかり休日が定着してきた。
元々働き詰めの人達が趣味を持ち、自分の時間を過ごすようになってきたのだ。
それに伴って趣味が高じてより自分に相応しい仕事へと職業を変える者が現れたり、趣味として今の職業に向き合い仕事の中に新たな楽しみを見出す者も出てきて、個人の仕事に対するモチベーションが上がると同時に成果向上が見受けられるようになっている。
仕事に対するモチベーションの向上による生産性の向上、趣味としての職業技術の研究や技術革新、自分の時間を過ごすことで心に余裕が出来たことも大きな影響を及ぼし、外の世界は今新しい時代へと確実に進み始めたのだ。
休日のある日、ヒロシはイリヤとミーアと一緒に理想とした世界に近づいていく外の世界を満足そうにモニター越しに眺めているのだった。
エレクトス王国の運動場にはエレクトスの王族だけでなく、他国の王族や各地域の領主・代官が一同に会している。
もちろん運動会を観戦するためである。
この世界に自分たちの祖先を転移させ滅亡の危機から救ってくれたアルマニ公爵様が、壊滅寸前の極貧村を立て直し世界でも有数の先進都市にした時に用いた休日制度とその定着のために開催した伝説の運動会。
数多の歴史家がその研究を重ね何度も試行を重ねながらもついに実現できなかったというそのイベントを、今日このエレクトス王国で開催するという。
しかもこの地の巫女セリーヌが女神クルステ様とアルマニ公爵様から直接指導を受けたとなれば、これは奇跡以外の何ものでもない。
そしてこれは建国240年余にして初のチャンスであり、これがうまくいった暁にはこの世界の更なる発展が約束されるようなものとなるという皆の期待の高さとも言えよう。
本日の運動会を取り仕切るセリーヌとエレクトス王家は、この日のために何度も各所と調整を行うと共に、全世界でこの運動会という伝説のイベントをアルマニ公爵様の補佐として成し遂げた偉大なる祖先ランスの残した書物を隅々まで読み漁って当日を迎えたのであった。
「セリーヌ、今日までご苦労であった。ランス様の悲願、今日は頼んだぞ。」
「はいお父様、準備は出来ております。後は訓練通りに運動会が進行することを祈るばかりですわ。」
「そうか、よくやってくれた。最後までしっかりと頼むぞ。」
「承知いたしました。このセリーヌ、エレクトス王家の長年の悲願を今日こそ叶えて見せます。
女神クルステ様、アルマニ公爵様、どうぞわたくしにご加護を頂けますよう。」
「セリーヌさん、この1カ月間頑張っていましたからねえ。上手くいって欲しいですね。」
「ヒロシ様、助けてあげればいいじゃないですか。」
「そうは言ってもねえイリヤ。あれだけ頑張ったんだから、彼女達の力だけで成功させてあげたいじゃない。」
「へえー、ヒロシにもそんな感覚があるんだ。」
「ミーア、俺をなんだと思ってるんだ。コラァー。」
「ほらそこじゃれない。さあ始まるぞ。」
俺達は今運動場の上空、気配遮断の結界の中にいる。
もちろん、運動会を観戦するためだ。
こちらの者にとっては3年ぶり、外の者にとっては240年ぶりとなる建国以来の大イベントなのだから、皆んな興味深々だな。
エレクトス国王の開会の挨拶の後、最初の種目である小学生低学年による30メートル走が始まった。
子供達は危なげな足取りをしながらも夢中になって走っている。
そしてその姿は、周りの大人達を和ませると共に運動会の魅力に引き摺り込んでいく。
高学年、中学生の短距離走に運動場が興奮の坩堝に包まれ、運動場に集まった全ての人に感動を与える。
その後も続く大人や老人による競技。
砲丸投げで腕力を競い合い、綱引きでチームワークを競う。
フォークダンスで国を越えた交流を深め、応援合戦で互いの健闘を讃えあう。
この世界の老若男女を大興奮に巻き込んで、初めての運動会は大成功のうちに終わったのだった。
閉会式でセリーヌは集まってくれた全員に向かって語りかける。
今日始まった休日制度は、女神クルステ様、そして救世主アルマニ公爵様に与えられた、素晴らしい時間であり、我々の生活をより豊かにするために必要なものである。
神に感謝して、この休日をどのように有意義に過ごすのかは各個人に委ねられるのだ。
神から与えられたこの時間に感謝して、これからも豊かで実りのある人生を送ろうではないか。
そう締め括った彼女の瞳から光るものが流れ落ちた時、運動場は巨大な歓声と拍手に包まれたのだった。
「今週も運動会をしているよね。」
「あっちでは料理教室、こっちでは染色教室が始まってるよ。」
あれから外の世界で半年が経ち、すっかり休日が定着してきた。
元々働き詰めの人達が趣味を持ち、自分の時間を過ごすようになってきたのだ。
それに伴って趣味が高じてより自分に相応しい仕事へと職業を変える者が現れたり、趣味として今の職業に向き合い仕事の中に新たな楽しみを見出す者も出てきて、個人の仕事に対するモチベーションが上がると同時に成果向上が見受けられるようになっている。
仕事に対するモチベーションの向上による生産性の向上、趣味としての職業技術の研究や技術革新、自分の時間を過ごすことで心に余裕が出来たことも大きな影響を及ぼし、外の世界は今新しい時代へと確実に進み始めたのだ。
休日のある日、ヒロシはイリヤとミーアと一緒に理想とした世界に近づいていく外の世界を満足そうにモニター越しに眺めているのだった。
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