100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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ムーン大陸でも国造り

住居を充実させよう

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俺がこの世界(と言っても内側の世界だけど)に戻ってきてそろそろ2年になる。

外の世界では160年くらい経っており、建国400年のお祭りが盛大に行われたみたいだ。

みたいだって言うのも変だけど、内と外では時間の流れが80倍違う。

つまり外の世界で1週間お祭りをしても内側の世界では2時間くらいなのだ。

祭りが1週間も開催されたのは、俺達が祭りに参加できるようにとの各国の王族の計らいでもある。

当然、俺達も祭りに参加した。

外側の世界に行けば時間の流れは外に合わされるからそんなに長い時間は外にいられないけどね。

1時間ほど祭りを楽しむ。

内側の世界で1カ月前に開発したばかりの米も既に外側の世界では7年目に入り、すっかり主食として定着しているようだ。

刈り取ったばかりの稲が田んぼに干されている光景は、どこか懐かしい日本の原風景でもある。

都会で育った俺は写真で見ただけで実際には見たことないけど。

各国の祭りを少しづつ堪能するためにあちこちを飛び回ったが、気になることがあった。

生活環境である。

この世界を形作った時、俺はここにはいなかったから、この世界を整備したのは当時の各国の王達だ。

一応クルステさんが旧ムーン大陸の知識を教えたらしいけど、地方までは浸透せず、昔の生活環境が今も多く残っているんだ。

内側の時間の進みが早くてあまり気付くことが無かったけど、この生活環境じゃ外の世界で住んでいる人達は大変だと思う。

だって、上下水道も都会だけだし、冬だって薪ストーブ程度の暖しか無い。

当然トイレも水洗式じゃないから、村はもちろん街にだって糞尿の匂いが立ち込めている。

衛生状態もあまり良いとは言えないから、赤ちゃんの生存率も低いらしいし。

これは早急に手を付けなくっちゃ。

ただ、俺達内側の人間の存在を外側に知られるわけにはいかないから、アルマニ領でやったような魔法による開拓は出来ない。

だから俺は各国の王族を集めて1/100倍の時間操作を使った異空間で講習会を行うことにした。

この中だったら外の世界の1/100でしか時間が進まないから、3年間勉強してもらっても外の世界では4日くらいにしかならないからね。

3年間、土木技術や製鉄技術、アスファルトやセメントの作り方、建築技術なんかを王族に教え込んだ。

テキストを配り、実習も交えて3年間の講習を終える頃には、立派な技術者が20人ほど育ったよ。

彼らは元の世界に戻ると早速その知識を使って街の改良を行っていく。

人によってその進捗には差が出るけど、上手く連携を取りながら進めてくれたみたい。

これまでは『国』という根強い枠に囚われていた彼らも、3年間一緒に生活する中で友人となり国の枠に囚われることが希薄になったのかもしれないな。

講習会をやって本当に良かったと思うよ。


それから外の世界で10年ほど、内側の世界では1月半ほどの間に、外の世界の生活環境は一新されアルマニ領と同等の生活水準を送れるレベルにまでなっていた。

こちらからも技術支援や材料の調達などいろいろな支援は行っていたけど、基本的には自分達だけで頑張ってくれたので、外の世界で王族以外にも土木や建築技術は広まり、深く根付いている。





ある日、巫女のセリーヌさんを通じて俺に言伝が入る。

外の世界の商人が「ショッピングモールを作りたい」と言っているそうだ。

400年前のアルマニ領にあったショッピングモール。

もちろん俺がアルマニ領主だった時に作ったやつだ。

商人曰く、彼の祖先がそのショッピングモールに出店して大盛況だったという古文書が出て来たという。

是非この世界でもショッピングモールを作って、商業を活性化したいと言っているらしい。

その商人の名を聞いて俺に懐かしさが蘇ってくる。

『エルキュール・ルルー』 そう、あのジーポン王国に本店を構える大店ルルー商会の会頭ジャン・ルルーさんの子孫なのだ。

ジャン・ルルーさんには、いろいろとお世話になったし、俺とミーアがムーン大陸からショッピングモールに突然移転してきた時にも上手くフォローしてもらったことがあった。

農業や建築の技術も発展したし、商業も発展させたかったので、ちょうどタイミングもいいだろう。

俺はクルステさんを通してお告げを出してもらう。

ショッピングモールの全容と設計図をセリーヌさんを通して王族に渡してもらった。

早速ショッピングモールが作られていく。

資金は王族とルルー商会が折半し、建築は急ピッチで進められた。

3年後、総面積1万3千平方メートルにもなる巨大なショッピングモールがエレクトス王国郊外に誕生したのだ。

エルキュール・ルルーさんが全国の商人に声を掛けて周り、ショッピングモールは無事に全ての店舗が埋まった。

そしてショッピングモールオープン当日、居並ぶ王族の横には、感極まって涙を浮かべるエルキュールさんの顔があった。

このショッピングモールの立案者であり出資者であり、これだけの商店を誘致したその人のオープンの挨拶は商人らしく堂々としていた。

さっきまでの泣き顔はどこへやら。

その堂々とした商売人の顔は、まるでジャン・ルルーさんが乗り移ったようだった。

「さあ、ショッピングモールオープンしまっせー!
みなさんいっぱい楽しんでいってやー!」

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