97 / 132
ムーン大陸でも国造り
食べ物を充実させよう
しおりを挟む
「ヒロシ~、ハンバーグはうまいな~。」
「このハンバーグって食べ物は本当美味しいですね、ヒロシ様」
「あのさあ、ハンバーグもいいけど栄養が偏るんじゃないか?もっといろいろ食べないと。」
「うん?ああ野菜なら外の畑に行けばあるだろ。」
「あれは葉っぱもの中心だからね。もっと炭水化物、そうだな穀物を取らないとな。」
「穀物って?聞いたことないです。」
「そうだよね。元々この世界の主食は虫だったし、穀物を食べる文化が無かったもんな。
穀物っていうのは植物の一種で、俺がいた世界ではそれを主食にしていたんだ。
米っていうのだとか、小麦っていうのとか。たくさんの小さな実を水で混ぜで炊いたり焼いたりして食べるんだよ。」
「それって美味しい?」
「美味しいというよりいろんな食べ方が出来るし、何より1年以上保管できるから安定して供給できるね。
その辺りが虫と大きく違うところかな。」
「それは素晴らしいですわ。白アントも美味しいんですけど冬はなかなか取れないから、値段がグーンと上がっちゃうんですよね。」
「白アントは初めて食べた時驚愕したよ。でも米を炊いたご飯は白アントの焚き物に少し似ているかも。
一度作ってみようか。でもまず籾が無いや。
そうだ、脳内アシスタントさん!ご無沙汰しています。」
「ヒロシ様、ご無沙汰いたしております。」
脳内アシスタントさん、すごく丁寧な口調になっているよ。
「ミケツカミ様から水晶を貰いましたよね。あのおかげでわたしも本体を得られたので、かなりパワーアップしました。
なんでも聞いて下さいね。」
そういや水晶を貰ったのを忘れてたよ。
「じゃあ脳内アシスタントさん、う~ん、呼びにくいなあ。
名前とかないですか?」
「特に名前は無いのでヒロシ様付けて下さい。」
「じゃあ、脳内のノとアシスタントのアで、ノアさんでどう?」
「ノアですか。気に入りました。ありがとうございます。」
「ノアさん、米って分かる?もしこっちの世界にあったら欲しいんだけど。」
「ええ、ありますよ。ヒロシ様が外の世界って言っている場所の南の端にある沼地に自生しています。
ヒロシ様の記憶に場所の情報を転送しますね。」
いきなり頭の中に沼地の風景と稲の原種だろうか少し背の低い草が生えているのがみえた。
それとその地域の地図が一緒に。
「すげえなこれ。ノアさんありがとう。行ってみるよ。」
俺はふたりを連れてその場所に向かう。
イリヤもミーアも蜘蛛の糸で作った新しい服で俺の後をついてくる。
そうそう、あの巨大な森って言っていた場所はクルステさん曰く『マルシェの森』っていうらしい。
マルシェの森には今もあの種類の蜘蛛が住んでいて、定期的に糸を回収して溜め込んである。
染料となる草や虫も大量に見つけてあるから、カラフルな服も作れるようになったんだ。
今ふたりが着ているのはイリヤが真っ白なチュニックのブラウスにジーンズもどきを合わせたもので、ミーアは薄紅色のサマーセーターに7分丈のガウチョパンツもどき。
姉ちゃんが着ていた服をイメージしているから日本のそれと同じじゃないと思うけど、ふたりは気に入ってくれている。
当然飛行機能も付いているから、3人で仲良く飛びながら現地に向かう。
あっという間に到着し、その辺りの土や水ごとごっそりと収納する。
そのまま帰宅してすぐに畑の横に穴をあけて、今とってきたばかりの沼の一部をその穴に置いた。
根付くまで時間がかかりそうだったから促成の魔法を使った。
さすがに農業は学校で習わなかったから知識は無いけど、そこはノアさんがいる。
必要な知識はどんどん記憶に転送されてくるから、あっという間に稲が実った。
とはいえ、日本で見た稲とはかなり違う。
もっと品種改良させないと粒も大きくならないし、量も取れない。
速攻で電気炊飯器の魔道具を作成して精米した米を炊いてみる。
あー、電気は巨大な目が放った雷を収納の中にたくさん溜め込んであるからね。
うん、味が悪いな。
日本で食べた米とは全然違う。
やっぱり品種改良は必要だね。
記憶に品種改良の方法が流れ込んでくるが、結構大変だ。失敗したもの、成功したもの次々とその進化が見えてくるが最短の改良を行ったとしても200年はかかりそうだ。
「うーん、200年は待てないなあ。」
「では、ミケツカミ様から頂いた時空操作でその水田の時間を進めながら改良していってはどうでしょう。」
そうだ、その手があったか。
時間操作を行いながらノアさんに品種改良のアドバイスを貰いつつ作業を進める。
2日後、見事に日本で見た水田が辺り一面に広がっていた。
刈り取ったばかりの稲を魔法で乾かして精米。電気炊飯器で炊いてみる。
「う、美味い!」
日本で食べていた眩いばかりのご飯は懐かしい日本の味がしたんだ。
「美味しいです。」「美味いじゃないか、ヒロシー。」
イリヤもミーアも気に入ってくれたようだ。
俺は収納に大量に入っているターメリックバチのシチューを作って、ご飯に掛けてみた。
美味い、美味すぎる!まさにカレーライスだ。
カレーライスもどきを食べたイリヤ達のふにゃけた顔を見ながら、俺は黙々と食事を進めるのであった。
後日、俺達の家に遊びに来たスペルさん達にカレーもどきを振舞ったところ、この世界の主食が米飯に決まったことは言うまでも無いだろう。
「このハンバーグって食べ物は本当美味しいですね、ヒロシ様」
「あのさあ、ハンバーグもいいけど栄養が偏るんじゃないか?もっといろいろ食べないと。」
「うん?ああ野菜なら外の畑に行けばあるだろ。」
「あれは葉っぱもの中心だからね。もっと炭水化物、そうだな穀物を取らないとな。」
「穀物って?聞いたことないです。」
「そうだよね。元々この世界の主食は虫だったし、穀物を食べる文化が無かったもんな。
穀物っていうのは植物の一種で、俺がいた世界ではそれを主食にしていたんだ。
米っていうのだとか、小麦っていうのとか。たくさんの小さな実を水で混ぜで炊いたり焼いたりして食べるんだよ。」
「それって美味しい?」
「美味しいというよりいろんな食べ方が出来るし、何より1年以上保管できるから安定して供給できるね。
その辺りが虫と大きく違うところかな。」
「それは素晴らしいですわ。白アントも美味しいんですけど冬はなかなか取れないから、値段がグーンと上がっちゃうんですよね。」
「白アントは初めて食べた時驚愕したよ。でも米を炊いたご飯は白アントの焚き物に少し似ているかも。
一度作ってみようか。でもまず籾が無いや。
そうだ、脳内アシスタントさん!ご無沙汰しています。」
「ヒロシ様、ご無沙汰いたしております。」
脳内アシスタントさん、すごく丁寧な口調になっているよ。
「ミケツカミ様から水晶を貰いましたよね。あのおかげでわたしも本体を得られたので、かなりパワーアップしました。
なんでも聞いて下さいね。」
そういや水晶を貰ったのを忘れてたよ。
「じゃあ脳内アシスタントさん、う~ん、呼びにくいなあ。
名前とかないですか?」
「特に名前は無いのでヒロシ様付けて下さい。」
「じゃあ、脳内のノとアシスタントのアで、ノアさんでどう?」
「ノアですか。気に入りました。ありがとうございます。」
「ノアさん、米って分かる?もしこっちの世界にあったら欲しいんだけど。」
「ええ、ありますよ。ヒロシ様が外の世界って言っている場所の南の端にある沼地に自生しています。
ヒロシ様の記憶に場所の情報を転送しますね。」
いきなり頭の中に沼地の風景と稲の原種だろうか少し背の低い草が生えているのがみえた。
それとその地域の地図が一緒に。
「すげえなこれ。ノアさんありがとう。行ってみるよ。」
俺はふたりを連れてその場所に向かう。
イリヤもミーアも蜘蛛の糸で作った新しい服で俺の後をついてくる。
そうそう、あの巨大な森って言っていた場所はクルステさん曰く『マルシェの森』っていうらしい。
マルシェの森には今もあの種類の蜘蛛が住んでいて、定期的に糸を回収して溜め込んである。
染料となる草や虫も大量に見つけてあるから、カラフルな服も作れるようになったんだ。
今ふたりが着ているのはイリヤが真っ白なチュニックのブラウスにジーンズもどきを合わせたもので、ミーアは薄紅色のサマーセーターに7分丈のガウチョパンツもどき。
姉ちゃんが着ていた服をイメージしているから日本のそれと同じじゃないと思うけど、ふたりは気に入ってくれている。
当然飛行機能も付いているから、3人で仲良く飛びながら現地に向かう。
あっという間に到着し、その辺りの土や水ごとごっそりと収納する。
そのまま帰宅してすぐに畑の横に穴をあけて、今とってきたばかりの沼の一部をその穴に置いた。
根付くまで時間がかかりそうだったから促成の魔法を使った。
さすがに農業は学校で習わなかったから知識は無いけど、そこはノアさんがいる。
必要な知識はどんどん記憶に転送されてくるから、あっという間に稲が実った。
とはいえ、日本で見た稲とはかなり違う。
もっと品種改良させないと粒も大きくならないし、量も取れない。
速攻で電気炊飯器の魔道具を作成して精米した米を炊いてみる。
あー、電気は巨大な目が放った雷を収納の中にたくさん溜め込んであるからね。
うん、味が悪いな。
日本で食べた米とは全然違う。
やっぱり品種改良は必要だね。
記憶に品種改良の方法が流れ込んでくるが、結構大変だ。失敗したもの、成功したもの次々とその進化が見えてくるが最短の改良を行ったとしても200年はかかりそうだ。
「うーん、200年は待てないなあ。」
「では、ミケツカミ様から頂いた時空操作でその水田の時間を進めながら改良していってはどうでしょう。」
そうだ、その手があったか。
時間操作を行いながらノアさんに品種改良のアドバイスを貰いつつ作業を進める。
2日後、見事に日本で見た水田が辺り一面に広がっていた。
刈り取ったばかりの稲を魔法で乾かして精米。電気炊飯器で炊いてみる。
「う、美味い!」
日本で食べていた眩いばかりのご飯は懐かしい日本の味がしたんだ。
「美味しいです。」「美味いじゃないか、ヒロシー。」
イリヤもミーアも気に入ってくれたようだ。
俺は収納に大量に入っているターメリックバチのシチューを作って、ご飯に掛けてみた。
美味い、美味すぎる!まさにカレーライスだ。
カレーライスもどきを食べたイリヤ達のふにゃけた顔を見ながら、俺は黙々と食事を進めるのであった。
後日、俺達の家に遊びに来たスペルさん達にカレーもどきを振舞ったところ、この世界の主食が米飯に決まったことは言うまでも無いだろう。
1
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる