100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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ムーン大陸でも国造り

食べ物を充実させよう

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「ヒロシ~、ハンバーグはうまいな~。」

「このハンバーグって食べ物は本当美味しいですね、ヒロシ様」

「あのさあ、ハンバーグもいいけど栄養が偏るんじゃないか?もっといろいろ食べないと。」

「うん?ああ野菜なら外の畑に行けばあるだろ。」

「あれは葉っぱもの中心だからね。もっと炭水化物、そうだな穀物を取らないとな。」

「穀物って?聞いたことないです。」

「そうだよね。元々この世界の主食は虫だったし、穀物を食べる文化が無かったもんな。

穀物っていうのは植物の一種で、俺がいた世界ではそれを主食にしていたんだ。

米っていうのだとか、小麦っていうのとか。たくさんの小さな実を水で混ぜで炊いたり焼いたりして食べるんだよ。」

「それって美味しい?」

「美味しいというよりいろんな食べ方が出来るし、何より1年以上保管できるから安定して供給できるね。

その辺りが虫と大きく違うところかな。」

「それは素晴らしいですわ。白アントも美味しいんですけど冬はなかなか取れないから、値段がグーンと上がっちゃうんですよね。」

「白アントは初めて食べた時驚愕したよ。でも米を炊いたご飯は白アントの焚き物に少し似ているかも。

一度作ってみようか。でもまず籾が無いや。

そうだ、脳内アシスタントさん!ご無沙汰しています。」

「ヒロシ様、ご無沙汰いたしております。」

脳内アシスタントさん、すごく丁寧な口調になっているよ。

「ミケツカミ様から水晶を貰いましたよね。あのおかげでわたしも本体を得られたので、かなりパワーアップしました。

なんでも聞いて下さいね。」

そういや水晶を貰ったのを忘れてたよ。

「じゃあ脳内アシスタントさん、う~ん、呼びにくいなあ。
名前とかないですか?」

「特に名前は無いのでヒロシ様付けて下さい。」

「じゃあ、脳内のノとアシスタントのアで、ノアさんでどう?」

「ノアですか。気に入りました。ありがとうございます。」

「ノアさん、米って分かる?もしこっちの世界にあったら欲しいんだけど。」

「ええ、ありますよ。ヒロシ様が外の世界って言っている場所の南の端にある沼地に自生しています。

ヒロシ様の記憶に場所の情報を転送しますね。」

いきなり頭の中に沼地の風景と稲の原種だろうか少し背の低い草が生えているのがみえた。
それとその地域の地図が一緒に。


「すげえなこれ。ノアさんありがとう。行ってみるよ。」

俺はふたりを連れてその場所に向かう。

イリヤもミーアも蜘蛛の糸で作った新しい服で俺の後をついてくる。

そうそう、あの巨大な森って言っていた場所はクルステさん曰く『マルシェの森』っていうらしい。

マルシェの森には今もあの種類の蜘蛛が住んでいて、定期的に糸を回収して溜め込んである。

染料となる草や虫も大量に見つけてあるから、カラフルな服も作れるようになったんだ。

今ふたりが着ているのはイリヤが真っ白なチュニックのブラウスにジーンズもどきを合わせたもので、ミーアは薄紅色のサマーセーターに7分丈のガウチョパンツもどき。

姉ちゃんが着ていた服をイメージしているから日本のそれと同じじゃないと思うけど、ふたりは気に入ってくれている。

当然飛行機能も付いているから、3人で仲良く飛びながら現地に向かう。

あっという間に到着し、その辺りの土や水ごとごっそりと収納する。

そのまま帰宅してすぐに畑の横に穴をあけて、今とってきたばかりの沼の一部をその穴に置いた。

根付くまで時間がかかりそうだったから促成の魔法を使った。

さすがに農業は学校で習わなかったから知識は無いけど、そこはノアさんがいる。

必要な知識はどんどん記憶に転送されてくるから、あっという間に稲が実った。

とはいえ、日本で見た稲とはかなり違う。

もっと品種改良させないと粒も大きくならないし、量も取れない。

速攻で電気炊飯器の魔道具を作成して精米した米を炊いてみる。

あー、電気は巨大な目が放った雷を収納の中にたくさん溜め込んであるからね。

うん、味が悪いな。

日本で食べた米とは全然違う。

やっぱり品種改良は必要だね。

記憶に品種改良の方法が流れ込んでくるが、結構大変だ。失敗したもの、成功したもの次々とその進化が見えてくるが最短の改良を行ったとしても200年はかかりそうだ。

「うーん、200年は待てないなあ。」

「では、ミケツカミ様から頂いた時空操作でその水田の時間を進めながら改良していってはどうでしょう。」

そうだ、その手があったか。

時間操作を行いながらノアさんに品種改良のアドバイスを貰いつつ作業を進める。

2日後、見事に日本で見た水田が辺り一面に広がっていた。

刈り取ったばかりの稲を魔法で乾かして精米。電気炊飯器で炊いてみる。

「う、美味い!」

日本で食べていた眩いばかりのご飯は懐かしい日本の味がしたんだ。

「美味しいです。」「美味いじゃないか、ヒロシー。」

イリヤもミーアも気に入ってくれたようだ。

俺は収納に大量に入っているターメリックバチのシチューを作って、ご飯に掛けてみた。

美味い、美味すぎる!まさにカレーライスだ。

カレーライスもどきを食べたイリヤ達のふにゃけた顔を見ながら、俺は黙々と食事を進めるのであった。



後日、俺達の家に遊びに来たスペルさん達にカレーもどきを振舞ったところ、この世界の主食が米飯に決まったことは言うまでも無いだろう。
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