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ムーン大陸でも国造り
春はピクニック気分ですね
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1歳の誕生日を迎えた頃から我が家の天使達の成長が目覚ましい。
まずマリヤがハイハイを卒業して、掴まり立ちからよちよち歩きを始める。
それを見ていたレーサがいきなり立っておぼつかない足取りで真似をする。
デニスはもがいているだけだったけど、その3日後にはよちよち歩きを始めた。
真夏の厳しい日差しが和らぎ、吹く風が心地良く感じる頃、しっかりとは程遠いとはいえ、3人共それなりに歩けるようになっていた。
「ヒロシ~、ピクニックに行こうよ~。」
「ピクニックってなんでしょう?」
ミーアは気持ちの良い秋の空に誘われて、ピクニックを所望のようだ。
イリヤはピクニック自体知らないみたいだな。
まぁ王女様だったから知らないのも仕方ないよね。
「イリヤ、ピクニックっていうのはね、お弁当を持って少し遠くに散歩に行くことだよ。」
「まぁ、それは面白そうですね。
是非行きましょう。」
「そうだな、子供達も歩けるようになったから、散歩がてら行ってみるか。」
「やったー。森を抜けたところにある丘に行こうよ。
外の世界も見えるし、景色も綺麗だよ~。」
ミーアが言っているのは巨大な森を通り抜けたところにある草原のことだ。
少し小高い丘になっていて、遠くの方が良く見える場所だ。
昔ミーアとふたりでこの辺りを探検していた時に見つけて、家を建ててからも狩りの途中で一緒にお弁当を食べたっけ。
「いいね。よしあそこにしよう。
どうせならシルベスタさんやクルステさん、フランシス王子一家も誘おうよ。」
俺とミーアが手分けして皆んなを誘いに行く。
俺はフランシス王子家へ。
ミーアは塔に行ってシルベスタさんとクルステさんを誘う予定だ。
ピンポーン
そして3日後、たくさんのお弁当を収納に入れて、準備をちょうど終えた頃、ドアのチャイムが鳴ってフランシス王子一家が入って来た。
「お待たせしましたか。今日はお誘い頂きありがとうございます。」
「もおー、お兄様ったら、また敬語になってますわよ。」
「ごめん、ごめん。なかなか抜けなくってさあ。」
「フランシス王子、シルベスタさん達とは森の入り口で待ち合わせしていますから、行きましょうか。」
「あの森を通り抜けるんだね。
凶暴な動物や魔物がたくさんいるって聞いているけど、大丈夫で…かい?」
「大丈夫ですよ。道も整備してありますし、魔物や大きな獣はさっきミーアが間引きしに行ってましたからね。」
「うん、大丈夫!」
「やあー、わあー、たあ~」
ひとりだけ間延びしているのはもちろん、レーサ。間延び口調は遺伝かな。
「さあ、皆んな行きましょう。
オハルさん、このベビーカー、使いませんか?」
俺はスノウ君用のベビーカーを収納から取り出して、オハルさんに勧める。
うちの子達はイリヤとミーアとノアさんにそれぞれベビーカーを押されてご満悦状態だ。
「まぁ可愛い!
これにスノウを乗せてもいいんですか?」
「ええ、うちの子達とお揃いにしました。
もし良かったら差し上げますので、家でもお使い下さいね。」
「まぁ、こんな素晴らしい物を。
ベビーカーはペルシアスにもありましたけど、こんなに可愛くて、バネの効いたのは初めて見ました。
ありがとうございます。」
スノウ君もベビーカーに乗って、ご満悦。
フランシス王子はベビーカーの仕組みに夢中になってるな。
「お兄様、行きますわよ。」
フランシス王子が我に返ったところで、ピクニックに出発だ。
家を出てしばらくすると巨大な森の入り口に着く。
ベビーカーを押しているから早くは動けないけど、ピクニックを楽しむにはちょうど良いスピードだな。
「ヒロシ君、おはよう。良いピクニック日和になったね。
スノウ君、デニス君、マリヤちゃん、レーサちゃん、久しぶりだねー。」
「だー、だあー、ふにゃー、ぷう~。」
意外にも子供扱いの上手いシルベスタさんは、スノウ君や我が子達にも大人気だ。
「我々も誘って頂きありがとう。」
シルベスタさんの隣でクルステさんも満面の笑みを浮かべている。
クルステさん、こんな顔も出来るんだね。
全然知らなかったよ。
クルステさんの影から若干暗めの顔が覗く。
「わたしは誘って貰えないのですね。
どうせわたしは独身だし、彼氏もいませんからね。ぶつぶつ…ぶつぶつ…」
黒いオーラが一帯に広がっていくようだ。
「ちょ、ちょっと、オシンちゃん。」
「……不幸なわたしを呼んでいるのは、わたしの知らない世界へと旅だって行ったオハルの声か?
いやオハルちゃんはもう手の届かない所へと旅立っ…」
バン!
「いい加減にしなさい、オシン。
帰りなさいって言うわよ!」
クルステさんが豪快にオシンさんの頭を叩く。
「イタ~イ。ごめんなさ~い。クルステ様~。
もうしませんから連れて行って下さいー。
わたしも幸せが欲しいんですうー。」
あーあ、ピクニックは前途多難なようだね。
まずマリヤがハイハイを卒業して、掴まり立ちからよちよち歩きを始める。
それを見ていたレーサがいきなり立っておぼつかない足取りで真似をする。
デニスはもがいているだけだったけど、その3日後にはよちよち歩きを始めた。
真夏の厳しい日差しが和らぎ、吹く風が心地良く感じる頃、しっかりとは程遠いとはいえ、3人共それなりに歩けるようになっていた。
「ヒロシ~、ピクニックに行こうよ~。」
「ピクニックってなんでしょう?」
ミーアは気持ちの良い秋の空に誘われて、ピクニックを所望のようだ。
イリヤはピクニック自体知らないみたいだな。
まぁ王女様だったから知らないのも仕方ないよね。
「イリヤ、ピクニックっていうのはね、お弁当を持って少し遠くに散歩に行くことだよ。」
「まぁ、それは面白そうですね。
是非行きましょう。」
「そうだな、子供達も歩けるようになったから、散歩がてら行ってみるか。」
「やったー。森を抜けたところにある丘に行こうよ。
外の世界も見えるし、景色も綺麗だよ~。」
ミーアが言っているのは巨大な森を通り抜けたところにある草原のことだ。
少し小高い丘になっていて、遠くの方が良く見える場所だ。
昔ミーアとふたりでこの辺りを探検していた時に見つけて、家を建ててからも狩りの途中で一緒にお弁当を食べたっけ。
「いいね。よしあそこにしよう。
どうせならシルベスタさんやクルステさん、フランシス王子一家も誘おうよ。」
俺とミーアが手分けして皆んなを誘いに行く。
俺はフランシス王子家へ。
ミーアは塔に行ってシルベスタさんとクルステさんを誘う予定だ。
ピンポーン
そして3日後、たくさんのお弁当を収納に入れて、準備をちょうど終えた頃、ドアのチャイムが鳴ってフランシス王子一家が入って来た。
「お待たせしましたか。今日はお誘い頂きありがとうございます。」
「もおー、お兄様ったら、また敬語になってますわよ。」
「ごめん、ごめん。なかなか抜けなくってさあ。」
「フランシス王子、シルベスタさん達とは森の入り口で待ち合わせしていますから、行きましょうか。」
「あの森を通り抜けるんだね。
凶暴な動物や魔物がたくさんいるって聞いているけど、大丈夫で…かい?」
「大丈夫ですよ。道も整備してありますし、魔物や大きな獣はさっきミーアが間引きしに行ってましたからね。」
「うん、大丈夫!」
「やあー、わあー、たあ~」
ひとりだけ間延びしているのはもちろん、レーサ。間延び口調は遺伝かな。
「さあ、皆んな行きましょう。
オハルさん、このベビーカー、使いませんか?」
俺はスノウ君用のベビーカーを収納から取り出して、オハルさんに勧める。
うちの子達はイリヤとミーアとノアさんにそれぞれベビーカーを押されてご満悦状態だ。
「まぁ可愛い!
これにスノウを乗せてもいいんですか?」
「ええ、うちの子達とお揃いにしました。
もし良かったら差し上げますので、家でもお使い下さいね。」
「まぁ、こんな素晴らしい物を。
ベビーカーはペルシアスにもありましたけど、こんなに可愛くて、バネの効いたのは初めて見ました。
ありがとうございます。」
スノウ君もベビーカーに乗って、ご満悦。
フランシス王子はベビーカーの仕組みに夢中になってるな。
「お兄様、行きますわよ。」
フランシス王子が我に返ったところで、ピクニックに出発だ。
家を出てしばらくすると巨大な森の入り口に着く。
ベビーカーを押しているから早くは動けないけど、ピクニックを楽しむにはちょうど良いスピードだな。
「ヒロシ君、おはよう。良いピクニック日和になったね。
スノウ君、デニス君、マリヤちゃん、レーサちゃん、久しぶりだねー。」
「だー、だあー、ふにゃー、ぷう~。」
意外にも子供扱いの上手いシルベスタさんは、スノウ君や我が子達にも大人気だ。
「我々も誘って頂きありがとう。」
シルベスタさんの隣でクルステさんも満面の笑みを浮かべている。
クルステさん、こんな顔も出来るんだね。
全然知らなかったよ。
クルステさんの影から若干暗めの顔が覗く。
「わたしは誘って貰えないのですね。
どうせわたしは独身だし、彼氏もいませんからね。ぶつぶつ…ぶつぶつ…」
黒いオーラが一帯に広がっていくようだ。
「ちょ、ちょっと、オシンちゃん。」
「……不幸なわたしを呼んでいるのは、わたしの知らない世界へと旅だって行ったオハルの声か?
いやオハルちゃんはもう手の届かない所へと旅立っ…」
バン!
「いい加減にしなさい、オシン。
帰りなさいって言うわよ!」
クルステさんが豪快にオシンさんの頭を叩く。
「イタ~イ。ごめんなさ~い。クルステ様~。
もうしませんから連れて行って下さいー。
わたしも幸せが欲しいんですうー。」
あーあ、ピクニックは前途多難なようだね。
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