最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

文字の大きさ
36 / 382
第2章  敵はホンノー人にあり

11【ユーリスタ狙われる】

しおりを挟む
<<マサル視点>>
サイカー領をでて、われわれ一行はワーカ領に向かった。
ワーカ領はユーリスタ様の実家であり、ユーリスタ様の実兄であるマーティン・ワーカ侯爵が治める地である。
ワーカ領は、南側を海に面しており、温暖で、漁業の盛んな土地でもある。
今回の訪問は、もちろんワーカ領における改革の進捗を視察することがメインだが、働き詰めのユーリスタ様を気遣う、ネクター王とナーラ大公爵の計らいでもあった。

ここで10日程滞在し、英気を養ってから王都への帰還となる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ワーカ領に到着した我らは、住民の熱烈な歓迎に迎えられ、無事首都ワーカの城に到着した。
マーティン様は、我らの到着を心から喜んで下さり、俺やマーク騎士以下の供周りにもねぎらいの言葉をかけて下さった。

その晩、早速晩さん会が開かれ、ワーカ領の貴族や有力者達との和やかな懇談が行われた。
その中にはユーリスタ様の幼少期を知る者も多く、近年のユーリスタ様の活躍に話題が集まっていた。

無事、晩さん会も終了し、俺達はそれぞれ与えられた部屋に入った。

ユーリスタ様と俺の部屋にはワーカ領の騎士団が護衛に付いてくれることになった。

「バリーン!!」

深夜、ガラスの割れる音が城内に響き、急いで窓を開けて外を見た。

庭に黒い人影が動くのが分かり、俺はすかさず耳と目を強化し、その者を探った。

「ユーリ.... 次……警告では……な…ぞ。」
その者は、城の5メートルはある壁を容易くロープを伝って登り、城外へと出ていった。

俺はそいつに向かって「ファインダー」と唱えた。
この魔法により、見えない魔力の探知機を付けておくと、半径20キロメートル圏内は、その場所を検知できる。

俺は、ユーリスタ様が狙われたと考え、部屋を飛び出しユーリスタ様の部屋に向う。
ユーリスタ様の部屋では、既に護衛が中に入り、安全を確保していた。

窓をみると、大きめの矢じりが付いた強弓用の矢が1本割れた床に散らばったガラスの上に落ちていた。

「ユーリスタ様、大丈夫ですか?」

「ああ、マサル様、大丈夫です。賊は?」

「自室の窓からちょっと見ただけですが、黒ずくめの人影が見えました。今から追います。」

「マサル様、お気をつけて。」

俺は頷くと、窓から飛び出して探知機を追跡した。

探知機の示す場所は、城からどんどん離れて、約15キロメートル離れた、一軒の小さな家の中で止まると、突然消えた。

俺はその家の近くで立ち止まって、「サーチ」魔法を使う。
家の中には、数人が居たであろう魔力の残渣が残っているが、人影は見えない。

「隠遁」魔法で姿を隠して、家の中に潜入した。

魔力の残渣を辿っていくと、本棚にぶつかる。

俺はその本棚の床に、僅かな傷があることに気付き、本棚を軽く押してみた。

すると本棚は少し動いたので、そのまま押した。

本棚の向こうには、もうひとつ部屋があり床に魔法陣が見える。

どうやらその魔法陣を使って、賊は逃げたようだ。

そのまま追跡することも考えたが、何処にでるかもわからないし、複数人いることも確実なので、今日のところは、引き上げることにする。

俺は手持ちの魔石に「サーチ」と「ファインダー」魔法を組み込んで「警報器」を作成、部屋の隅に隠して置いた。

これで誰かが此処に来たら、俺に通知がくる。
警報器には、記録機能を付けておいたので、万が一、俺が駆けつけるのが遅れても、行き先を特定できるだろう。

俺はタブレットを使って、その魔法陣の写真を撮り、検索してみた。

タブレットの画面には、「ホンノー人が使う移動用の魔法陣、200年前までは使われていたが、今では、失われた技術が使われている。」と、表示されている。

どうしてこんなものがあるのかよくわからないので、後でアベルかカインに聞くことにして、城に戻った。

<<マーク視点>>
ユーリスタ様の悲鳴を聞き、わたしはすぐにユーリスタ様の部屋に入った。

真っ先にユーリスタ様の姿を探すと、ベッドの上で落ち着いてこちらを向いておられ、わたしの姿を見止めると、ゆっくり頷かれた。
どうやら大丈夫なようだ。

部屋の中を見渡すと、窓の下には割れたガラスが散乱し、その上には、特殊な型の大きな矢じりが付いた、通常よりも一回り大きな矢が1本落ちている。
この矢は、昔攻城戦に使われていたものによく似ている。
この矢の後ろ側にロープを括りつけ、城壁の上に引っ掛けることで、壁をよじ登ったらしい。

偵察用や、少数での攻撃手段に向いていて、昔はよく使われていたらしいが、城壁が高くなったのと、城壁の上に警備兵を置くようになってからは、使われなくなった物だ。
歴史学の授業で聞いたことがある。
これを使うには非常に強い力が必要なため、人族ではあまり使われず、異能の力を持つホンノー人が好んで使用したと習った。

「ユーリスタ様、この矢は、かつてのホンノー人が使用した物では?」

「そうですね。200年程前、キンコー王国とホンノー人が争っていた頃に使用されていた攻城専用の武器だと記憶しております。
このような古い武器を用いる族とは何者でしょうか?」

そのような話しをしていると、マサル殿が部屋に入ってこられた。
「ユーリスタ様、大丈夫ですか?」

「ああ、マサル様、大丈夫です。賊は?」

「自室の窓からちょっと見ただけですが黒ずくめの人影が見えました。今から追います。」

「マサル様、お気をつけて。」

慌ただしくマサル殿は窓から飛び出していった。

ちょっと、この部屋は3階では?と窓に駆け寄り外を見ると、マサル殿は空中を走っていた。

「ユーリスタ様、マサル殿が....」

「いいのです、マーク。あの規格外さがマサル様ですから。慣れて下さい。」

規格外とかそんなものではないと思うが。

まあ、ユーリスタ様に付く者として能力が高いのは良いことだけれど。

部屋の片付けや、ワーカ領主のマーティン様や、警備隊長への説明を行っていると、マサル殿が戻ってこられた。

「ユーリスタ様、ただいま戻りました。」

「マサル様、ありがとうございます。それで、追跡の方は如何でしたか?」

「はい、ここから約15キロメートル程東に行ったところにある一軒家で、賊の足取りが途絶えております。
家の中を捜索したところ、ホンノー族が昔使用していたと思われる移動用の魔方陣を発見しました。
おそらく、この魔方陣からどこかへ逃亡したと思われます。
家の中には複数人がいた形跡が認められました。
家の中に警報用の魔道具を設置しておきましたので、もし、賊が戻ってきましたら、わたしに警報が届くと思います。」

「そうですか、ホンノー人ですか。実は、この矢も、200年程前までホンノー人が攻城兵器として使用していたものに類似しています。」

「なるほど、賊はホンノー人の線が濃いですね。
先日、ホンノー自治区のトラブル対応を行った時に親しくなったホンノー人の族長がいますので、確認に行ってきます。」

「よろしく、お願いします。マサル様。」

マサル殿は、頷くと、マーティン様や、警備隊長に挨拶をし、最後に私に向かって「ユーリスタ様をお願いします。この魔道具を使えば俺と連絡が取れるので、何かあれば連絡ください。」と言って部屋から出て行った。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。 しかしそれは神のミスによるものだった。 神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。 そして橘 涼太に提案をする。 『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。 橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。 しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。 さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。 これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...