最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

文字の大きさ
156 / 382
第7章 研究室と亜人大陸

15 【政権の奪取】

しおりを挟む
<<ルソン視点>>
ヒラと地下室で無血で政権を奪取するための方策を練った。

はっきり言って今の兄や弟には何の力もない。

双方にあるのは、それぞれの味方となるヤコール家とヤシール家の力だけであった。

ヤコール家は先々代を支えていたため、政治力も武力もある。
特に当主のレオは国内でも有数の切れ者として知られている。

ヤシール家は、当主のビルが己の腕力だけで成り上がってきた新興家だ。
ただ、腕力を身上とするだけあって、従える部下たちにも強者が多い。
武力だけでいえば、我が国でもトップレベルであろう。

その他の家はこの2家の勝者に着く形となるため、風見鶏がほとんどだ。




「ヒラ、ヤコール家とヤシール家の双方の力を無力化するには、どうすれば良いと思う?」

「ルソン様、離間の計を用いて、双方がお互いに衝突して力を失ってもらうというのが一般的な発想でしょうが、これは愚策だと思います。

なぜならば、ヤコブにとって本来の敵はロンドーやスパニであり、国内の戦力を削ぐことは短期的には有効であっても、中長期的にはデメリットでしかありません。」

「わたしもヒラの意見に賛成だ。」

「ありがとうございます。ヤコール家とヤシール家も、今は担ぐ神輿が違うため争っておりますが、両家ともヤコブ家への忠誠は間違いありません。

担ぐ神輿が無くなればおのずと、新しい神輿に忠誠を誓いますでしょう。」

「やはり兄と弟を殺すしかないか。」

「あのおふたりは、権力の魔力に取りつかれておられます。
先代とおっしゃっておられました、『あのふたりには為政者としての器量が無い』と。

ですから、もしどちらかを王としてもヤコブの行く末は茨のものとなるでしょう。」

「わたしも、父上から聞いていた。確かに父上はわたしが当主になることを望んでいたが。」

「ルソン様、今こそ決断の時です。

ルソン様がヤコブ家の次期当主となり、この国を守って頂けませんでしょうか?」

「...わかった。どうやらそれしか方法はなさそうだ。」

「ありがとうございます。それでヤコール家とヤシール家の双方の力を無力化する策ですが、まず双方が相手の村を襲ったという偽の情報を流します。

おそらく、ヤシールのビルはヤコールに直ぐに宣戦布告するでしょう。

ヤコールのレオは慎重派ですが、ビルの性格をよく知っています。ヤシールに対処するためにその兵力の大半を出さざるを得ないと思います。

両軍が戦場となる境界で相対したところを、我が軍5000で囲みます。」

「ヒラ、それだと自棄になった両軍が強硬突破を狙い、損害を大きくしてしまうのではないのか?」

「おっしゃる通りです。ですので、同時にもう一計仕掛けます。

両軍が派兵を開始したと同時に、1000名の兵士を使って、兄上様と弟君を急襲し、捕らえます。

ヤコール軍とヤシール軍が相対し、我が軍が囲んだところで、この事実を伝え、同時にルソン様の当主就任を宣言します。
そしてルソン様が軍の撤兵を指示するのです。

多少の混乱と戦闘は起こるやも知れませんが、全面対決になるよりは良いかと思います。」

「なるほど、基本的にはその案でいこう。ただし、ヤコール軍とヤシール軍を無力化するのにはわたしにも考えがある。

10日ほど時間をくれないか。」

「わかりました。それでは、準備を進めておきます。」

「ヒラ、よろしく頼む。」


わたしは、その足でマサル殿のいるヤライに向かった。

2日後、ヤライでマサル殿に会い、今回の作戦について相談した。

「ルソン殿、その相対する2軍をしばらく足止めできれば良いわけですね。」

「その通りです。何か手はありますか?」

「そうですね、ただ足止めだけするのであれば、広範囲バインド魔法で動けなくしてしまえば簡単ですが、今回のケースは圧倒的な力で戦う気をなくさせる必要がありますからね。

そういう意味では、全軍を一気に土壁で囲ってしまいましょうか。

見えない力で拘束されるよりも、いきなり、そり立った壁に囲まれた方が心が萎えますよね。」

「そんなことが可能ですか?」

「大丈夫です。罠用の魔道具を今から作りましょう。
それを事前に衝突する付近に仕掛けておいてもらえば大丈夫です。

あとは衝突直前に起動ボタンを押してもらえばいいように作っておきます。」

「ありがとうございます。どのくらいでできますでしょうか?」

「ちょっと待って下さいね。」

そう言うとマサル殿は、魔石を10数個取り出し、その場で連勤魔法をかけていく。

その様子を見とれていると、声を掛けられた。

「ルソン殿、できましたよ。これが起動ボタンです。」

まだ始まってから20分ほどしか経っていないが、もうできたようだ。

使用方法を詳しく聞き、わたしはその魔道具を持ってヤコブに戻った。


ヤーマン家ではヒラが準備を進めていてくれたようで、兄と弟を捕らえる計画はいつでも実行できるようになっていた。

わたしはヒラに魔道具の説明を行い、魔道具の設置場所と起動タイミング、それに合わせて計略を巡らせた。

そして決行日、それは3方同時に行われた。

1つ目はヤコール、ヤシール双方の境界沿いにある村を襲撃する部隊。
先に双方の襲撃のデマを喧伝し村人を逃がした後、村の農地を外した一部を焼き払う。

2つ目は、デマを双方の中心地にタイミングを見計らって喧伝する部隊。
互いに急襲された印象を強く与えられるようにデマの内容を考えた。

3つ目は、兄や弟を拘束する部隊。
お互いの軍を境界地に出兵させた後に速やかに行う。

実はこの時に緊密な連絡が取れるよう、マサル殿からトランシーバーも借りていた。

そして決行日から3日目、魔道具の起動が全ての決着をつけたのだった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」 その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ! 「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた! 俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!

処理中です...