最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

文字の大きさ
180 / 382
第8章 亜人大陸の開発

11 【ハリーの苦悩】

しおりを挟む
<<スパニ族宰相ハリー視点>>
陛下よりヤライ、ヤコブ、ロンドーの調査を依頼された。

わたしは早速、信頼できる手の者3人をそれぞれの国に潜入させ、調査に当たらせた。

「ハリー様、ヤライに入れたライヤーとヤコブに入れたコリーから連絡が参りました。」

わたしは執事から手紙を受け取り中を確認した。

当然手紙は暗号化されており、わたしを含め数名の者しか読めない。

見たとしても文字だと判断すること自体無理だろう。

「うん? 村には豊富な水が川より引かれ、耕作地では夏と秋の2回作物が収穫できる?

そんなバカなことはないだろう。

年に2回も収穫出来るなんて!」

「ハリー様、以前知人より聞いたことがあります。

なんでも、東方にある島国では、麦とその土地特有の作物を同じ耕作地で作っていると。」

「それが本当であれば、不可能ではないか。

しかし、ヤライは我が国と同様で平地が多く、川から潤沢に水を引くのは難しいはず。

年に2回も作物を作るとなると、水の確保だけでも大変だと思うが?

まさか、前回の報告にあった村まで水を引いている水路と川に設置してあるというあの丸い構造物か!」

わたしは、前回の報告書に書いてあった絵を見ながら考えた。

川の中に設置されてた丸い木製の構造物。
高さは5メートルほどか。
側面には水を汲むための桶がいくつも付いており、川の流れと共にその構造物が回転すると桶が勝手に水を汲む。

桶は一番上まで来ると中の水を溢すが、溢した先には桶と同じくらいの高さまで延びた水路の橋があり、その水路は村の中心部まで水を引いている。

たしかにこの構造物を大量に作って設置すれば、全ての耕作地に水を引くことは可能だが…………

それほどの技術力と労働力はいったい何処から?………!!

ジャボ大陸!

まさかジャボ大陸からの協力で、これほどまでのことが?………


わたしはヤコブに入れたコリーからの報告を開く。

焦って少し破ってしまうが、些細なことだ。

コリーからの報告では、『これまでに見たことも無い製品がたくさん製造され、どの製品も大量生産されているにも関わらず、非常に精度の高い』とある。

ヤコブは高い技術力を持ちながらも、技術力に拘るばかりに新しい製品の開発に力を入れてこなかったので、新しく製品を増やすのが苦手だったはずだ。

しかも職人の登用基準が非常に高く、いかにドワーフとはいえ、高精度の製品を大量生産することは不可能なはず。

何故こんなことが?

わたしの中で謎は深まるばかりだった。

わたしがその秘密を知るまでに、あと半年の期間が必要であった。



<<ハリー宅掃除婦視点>>
いつものようにハリー様の部屋を掃除していると、机の下に紙の切れ端が落ちていることに気付きました。

あの几帳面なハリー様にしては珍しいことです。

切れ端を拾って見てみると、文字でもなければ、絵でもない子供の落書きみたいなのが書いてあります。

ハリー様にお渡しするべきでしょうか?

でも最近のハリー様はお忙しそうだし、今日も気難しそうだったから、こんなの渡したら怒られそう。

わたしはそう判断すると、その紙をゴミ箱に捨てました。

「あら、もうこんな時間!
急がなくっちゃ。」

わたしは次の部屋に急ぎました。



<<ヤコブに潜入中のコリー視点>>
ヤコブに行くのは何年ぶりだろうか?

ヤコブはドワーフの国で、頑固な職人が多い。
それぞれの家の技術を一子相伝で守っているので、機密管理にもうるさいところだ。

何よりも、仕事しているか酒を飲んでいるかどっちかなので、常に酒臭い。

俺の嫌いな酒の匂いが街のいたるところでプンプンしている。

こんなところできれば来たくないのだが、ハリー様のご命令とあらば仕方がない。

どうせ何百年と変わらない生活をしているのだ、数年来ていなかったとしても何も変わってはいまい。



久しぶりのヤコブの街は相変わらず酒臭い。

やっぱり何も変わっていないじゃないか!

とりあえず、商店に入ってみて品物に変化が無ければさっさと適当に報告してスパニに帰ろう。

俺は街の大通りにある一軒の商店に入った。


店に入って驚いた。
品物の数が多い。

以前来た時は、物がほとんど並んで無かった。

どんなものが欲しいかを店主に説明して、オーダーすることが普通だったのだ。

だから、店頭にはサンプルくらいしか置いていなかった。

オーダーメイドだから、価格は作り手の言い値になってしまい、高くついた。

もちろん品物は良い物なので、価格に不満は無いのだけれど、時間はかかるし、もう少し廉価品も欲しい時だってあった。


しかし今は全く違う。
品揃えは豊富で、高価な物から廉価品まで様々な種類がある。

奥には在庫もあるようで、店主が次々と出してくる。

値札を見ると、製作した工房名が書かれているが、廉価品の方には『ロンドー製』の文字が入っている。

ロンドーと講和条約を結んだと聞いているが、輸入も始めたようだ。

もちろん、ヤコブの工房で作られた物は値も張るが品質は高い。

それに比べてロンドーの物は、少し品質は落ちるが値は安い。

日常使いであれば問題無いレベルだろう。

ヤコブ内での生産品もロンドーからの輸入品もよく売れているようだ。

店主に聞くと、族長がルソン殿に代わってからヤコブは急成長したようだ。

ルソン殿はうわさではジャボ大陸に渡り、向こうで成功して戻って来たと聞いている。

もしかしたら、向こうの大陸の知識を導入したことで、いろいろと変わったのかもしれない。

もう少し調査をしてみよう。







しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...