181 / 382
第8章 亜人大陸の開発
12 【コリーの報告】
しおりを挟む
<<ヤコブに潜入中のコリー視点>>
商店でこの国の変化に気付いた俺は、早速調査に乗り出した。
街の調査というと、酒場からが鉄則だろう。
ヤコブの酒場はかなり酒臭くて閉口してしまうが、しようがない。
酒場はわたしの予想通り酒臭くて活気に満ちている。
ただ予想外だったのは、ドワーフ以外が意外に多かったことだ。
ヤコブの工房が作る品物はどれもこの大陸有数の高品質なので、それを求めて他国の商人がいることはそれなりにあった。
しかし、宿屋で食事するのがほとんどで、酒場に来るのは珍しかった。
以前の酒場には、喉が焼け付くような火酒とか、それに合う酷く濃い味のツマミしか置いていなかったからだ。
ところが今日来てみると、店内の3割程度はドワーフ以外だ。
ダークエルフはロンドー、エルフはヤライ、獣人は我が国からの亡命者か。
うん?あの連中は見たこと無いな。
ちょうど通り掛かった店員に聞いてみる。
「俺はスパニの商人なんだが、久しぶりに来たらずいぶんと街の雰囲気が変わっているねぇ。
外国人もたくさんいるみたいだし。
ところで、あそこにいる連中は見たことないんだけど、何処の国の者だい?」
「スパニの方だったらご存知ないかもしれませんねぇ。
あの人達はジャボ大陸から来られた『人族』ですよ。」
「ジャボ大陸だと!!」
しまった、思わず大声をだしてしまった。
廻りを見渡すと、皆くすくすと笑っている。
「ははっ、お客さん、やっぱり知らなかったんだね。」
「ジャボ大陸の方達はそんなに有名なのかい?」
「有名も何もヤライ、ヤコブ、ロンドーの3国じゃあ、ある程度の規模の街には住んでいるからねぇ。
よく働くし優しいしね。
一緒に働くドワーフ達も大勢いて、今じゃ街の一員だよ。」
「何故ジャボ大陸から?」
わたしの頭はかなり混乱していた。
「理由はよく分からないんだけどね、2年ほど前にこの大陸に渡って来たって話しだよ。
ヤライに出稼ぎに行ってた奴等が言ってたからねぇ。
そしたら、長らく姿を隠しておられたルソン様が突然現れて族長になられたのさ。
ルソン様はジャボ大陸に行っておられたそうだよ。
それからはあっという間さ。
ヤライの族長の娘とロンドーの族長が結婚したり、ヤライ、ロンドーとの3国平和協定が結ばれたりねぇ。
ジャボ大陸共、平和協定を結んだっていう噂が流れたかと思うと、いろいろな改革があっちこっちで進められて、いろんな種族が入って来たんだよ。
『人族』もそのうちのひとつさ。
始めは驚いたけどねぇ。
本当に良い人達なんだよ。
各地に物流センターって言うのを作ったかと思うと、見たことも無い食べ物や商品をあちこちからたくさん持って来てくれたんだよ。
それだけじゃないよ。
ここらで作っている商品も他所で売って来てくれるんだ。
ルソン様の改革で、ここいらでも様々な新商品が作られ始めたからねぇ。
そりゃいっぱい売れたよ。
なんたってヤコブの商品は天下一品だからねぇ。
でもさ、あんまり大量には作れないからねぇ。
他所に売る量も頭打ちになったのさ。
そしたらさあ、ルソン様の指示で新しい仕事のやり方に取り組む工房が出てきたんだ。
そしたらさぁ、商品を作るスピードが2倍以上に上がったって言うじゃないか。
最近は頭の硬かった工房も、新しい仕事の仕方を取り入れたんで、ますます生産能力っていうのが増えたみたいだよ。
そんでヤライやロンドーだけでなく、ジャボ大陸にも売るようになったんだって。
一気に街が活気づいたねぇ。」
店員が興奮したように一気に捲し立てたが、思わぬところで大量の情報が手に入った。
少し精査しないとダメだが、こういう酒場のお節介店員の話しは案外精度が高いのだ。
「いろいろ教えてくれてありがとう。
何かお勧めをくれないか?」
「あいよ!」
その後テーブルに次々と並べられる料理に驚く。
まずは『ビアー』と呼ばれる酒だ。
黄金色で泡が絶えず出ている。
ひと口目は、口の中に広がるシュワっていう感触に驚いたが、飲み込む時の心地良さに病みつきになりそうだ。
次は『ハンバーグ』。
肉なのに柔らかくて美味しい。
口の中に入れると肉汁がたっぷり出てきて美味しさが広がる。
店員に薦められるままに、『コメ』に乗せて食べてみた。
『コメ』の優しく甘い味に『ハンバーグ』の肉汁が良く合うのだ。
たぶん毎日食べても飽きないだろう。
他にも色々な料理を堪能して、わたしは酒場を後にした。
その後調査を進める中で、わたしはとうとうカトウ公爵と言う名前に行き着いたのだ。
どうやら、このカトウ公爵と呼ばれるジャボ大陸の人族が、この美味しい? いや素晴らしい改革を持ち込んだようだ。
わたしはハリー様への報告書の最後にこのことを付け加えた。
最重要機密なので、特に紙の隅っこに小さくだが。
商店でこの国の変化に気付いた俺は、早速調査に乗り出した。
街の調査というと、酒場からが鉄則だろう。
ヤコブの酒場はかなり酒臭くて閉口してしまうが、しようがない。
酒場はわたしの予想通り酒臭くて活気に満ちている。
ただ予想外だったのは、ドワーフ以外が意外に多かったことだ。
ヤコブの工房が作る品物はどれもこの大陸有数の高品質なので、それを求めて他国の商人がいることはそれなりにあった。
しかし、宿屋で食事するのがほとんどで、酒場に来るのは珍しかった。
以前の酒場には、喉が焼け付くような火酒とか、それに合う酷く濃い味のツマミしか置いていなかったからだ。
ところが今日来てみると、店内の3割程度はドワーフ以外だ。
ダークエルフはロンドー、エルフはヤライ、獣人は我が国からの亡命者か。
うん?あの連中は見たこと無いな。
ちょうど通り掛かった店員に聞いてみる。
「俺はスパニの商人なんだが、久しぶりに来たらずいぶんと街の雰囲気が変わっているねぇ。
外国人もたくさんいるみたいだし。
ところで、あそこにいる連中は見たことないんだけど、何処の国の者だい?」
「スパニの方だったらご存知ないかもしれませんねぇ。
あの人達はジャボ大陸から来られた『人族』ですよ。」
「ジャボ大陸だと!!」
しまった、思わず大声をだしてしまった。
廻りを見渡すと、皆くすくすと笑っている。
「ははっ、お客さん、やっぱり知らなかったんだね。」
「ジャボ大陸の方達はそんなに有名なのかい?」
「有名も何もヤライ、ヤコブ、ロンドーの3国じゃあ、ある程度の規模の街には住んでいるからねぇ。
よく働くし優しいしね。
一緒に働くドワーフ達も大勢いて、今じゃ街の一員だよ。」
「何故ジャボ大陸から?」
わたしの頭はかなり混乱していた。
「理由はよく分からないんだけどね、2年ほど前にこの大陸に渡って来たって話しだよ。
ヤライに出稼ぎに行ってた奴等が言ってたからねぇ。
そしたら、長らく姿を隠しておられたルソン様が突然現れて族長になられたのさ。
ルソン様はジャボ大陸に行っておられたそうだよ。
それからはあっという間さ。
ヤライの族長の娘とロンドーの族長が結婚したり、ヤライ、ロンドーとの3国平和協定が結ばれたりねぇ。
ジャボ大陸共、平和協定を結んだっていう噂が流れたかと思うと、いろいろな改革があっちこっちで進められて、いろんな種族が入って来たんだよ。
『人族』もそのうちのひとつさ。
始めは驚いたけどねぇ。
本当に良い人達なんだよ。
各地に物流センターって言うのを作ったかと思うと、見たことも無い食べ物や商品をあちこちからたくさん持って来てくれたんだよ。
それだけじゃないよ。
ここらで作っている商品も他所で売って来てくれるんだ。
ルソン様の改革で、ここいらでも様々な新商品が作られ始めたからねぇ。
そりゃいっぱい売れたよ。
なんたってヤコブの商品は天下一品だからねぇ。
でもさ、あんまり大量には作れないからねぇ。
他所に売る量も頭打ちになったのさ。
そしたらさあ、ルソン様の指示で新しい仕事のやり方に取り組む工房が出てきたんだ。
そしたらさぁ、商品を作るスピードが2倍以上に上がったって言うじゃないか。
最近は頭の硬かった工房も、新しい仕事の仕方を取り入れたんで、ますます生産能力っていうのが増えたみたいだよ。
そんでヤライやロンドーだけでなく、ジャボ大陸にも売るようになったんだって。
一気に街が活気づいたねぇ。」
店員が興奮したように一気に捲し立てたが、思わぬところで大量の情報が手に入った。
少し精査しないとダメだが、こういう酒場のお節介店員の話しは案外精度が高いのだ。
「いろいろ教えてくれてありがとう。
何かお勧めをくれないか?」
「あいよ!」
その後テーブルに次々と並べられる料理に驚く。
まずは『ビアー』と呼ばれる酒だ。
黄金色で泡が絶えず出ている。
ひと口目は、口の中に広がるシュワっていう感触に驚いたが、飲み込む時の心地良さに病みつきになりそうだ。
次は『ハンバーグ』。
肉なのに柔らかくて美味しい。
口の中に入れると肉汁がたっぷり出てきて美味しさが広がる。
店員に薦められるままに、『コメ』に乗せて食べてみた。
『コメ』の優しく甘い味に『ハンバーグ』の肉汁が良く合うのだ。
たぶん毎日食べても飽きないだろう。
他にも色々な料理を堪能して、わたしは酒場を後にした。
その後調査を進める中で、わたしはとうとうカトウ公爵と言う名前に行き着いたのだ。
どうやら、このカトウ公爵と呼ばれるジャボ大陸の人族が、この美味しい? いや素晴らしい改革を持ち込んだようだ。
わたしはハリー様への報告書の最後にこのことを付け加えた。
最重要機密なので、特に紙の隅っこに小さくだが。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる