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第10章 ダンジョン攻略
9 【ダンジョン再攻略3】
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<<ランス視点>>
2回目にダンジョンに入った翌日から、3日ほど魔法の研修を行なった。
皆んな喜んでくれているから、役に立ったんだと思う。
ダンジョンの1回目から先頭に立っていた剣士の人なんて、涙を流しながら喜んでくれていた。
最初はどうなるかと思ったけど、研修をやって本当に良かったと思う。
今日は研修の締めとして皆んなの魔法の実力を見せてもらうことになっている。
ギルド長のグリルさんが、皆んなの実力を把握しておきたいと言い出したからなんだけどね。
魔法使いから順に新しく手に入れた魔法を披露していく。
なかなか威力のある攻撃魔法を繰り出す人もいて、グリルさんもホクホク顔みたい。
最後はこれまで魔力が無かった人達の番になった。
拙いながらも攻撃魔法を繰り出す人や自分の剣に魔力を纏わせて魔剣にする人が多かった。
泣いて喜んでいた剣士さんの姿もあった。
剣士さんは、回復魔法を使えるようになっていた。
「一応、火魔法もある程度使えるようにはなったんだがよぉ、威力を出そうとしたら、魔素を集めるのに時間が掛かってな。
どうやら俺には魔力ってもんが全く無いみたいだな。
実戦で使うにはちと心許ないからな、回復魔法なら自分のタイミングで使えるしよぉ。」
少し照れ笑いしながら話す剣士さん。
最前線で戦う剣士だからこそ、一番必要な魔法なのかもしれないと思うんだ。
たぶんこの剣士さんは、怪我はしなさそうだから、他の剣士さん達のことを思いやってのことだろうね。
「よし!皆んなの力は見せてもらった。
だいぶ戦力アップ出来た。
俺は嬉しいぞぉ。
よし、明日からは、またダンジョンに潜るぞ!」
「「「おー!」」」
グリルさんの掛け声に皆んな嬉しそうだ。
その後、皆んなに揉みくちゃにされながら御礼を言われたりして、かなり照れ臭かったけど、研修をやって本当に良かったと思ったんだ。
<<グリル視点>>
ランス様のおかげで、大幅な戦力アップが出来た。
3度目の挑戦は、1階層目から行うことにした。
魔法の成果を実戦で確認すると共に経験値を積んで欲しいからな。
散々苦労した1から4階層だったが、魔法による効果は大きい。
120人もいるから、潤沢に魔法も使える。
遠方からの魔法攻撃で、戦闘時間も短縮され、ずいぶんと楽に進めるようになった。
あっという間に4階層目の転移魔法陣が置いてあるところまでやって来た。
「グリルさん、こりゃ余裕だなぁ。
あんなに苦労してたっていうのになぁ。」
「そうだなナルン。思った以上の効果だな。
しかし、お前が回復魔法を覚えていてくれて、本当に助かった。」
負傷者を癒すために後方に下がって手当てしてくれているナルンと話す。
「そうかい、それは良かったよ。
まさか俺が魔法を使うなんてなぁ。
特にダンジョンの中は俺には好都合みたいだな。
俺は周囲の魔素を集めて魔法を使うから、魔素の多いダンジョン内は、魔法を使いたい放題だ。」
「確かにこの回復魔法はダンジョン内では、非常に有効だな。
これは皆に覚えさせよう。
ナルン、講師を頼んだぞ。」
「ああ、これを皆が使えるようになったら、ダンジョン攻略の致死率もかなり軽減されるだろうなぁ。」
横で聞いているマサル様やランス様も嬉しそうにしておられる。
「マサル様、5階層目に行こうと思うのですが。」
「今の皆さんだったら大丈夫だと思いますよ。
油断だけはしないで下さいね。」
「よし皆んな。下に降りるぞー!」
「「「おー!」」」
5階層目で最初に出てきたのは、ウサギの魔物だった。
動きが非常に速く、ジャンプで上下に移動するため、魔法でも捉えにくい。
火魔法を使える者を複数人並べて、ウサギの軌道に沿って複数の場所に同時に魔法を発射させる。
何度か試してみると、だんだん動きが分かってきたのか、命中率が上がり、ウサギのエリアも問題なくクリア出来た。
ウサギの次はコウモリだ。
コウモリは何と言っても数が多い。
多少の魔法では無理がある。
通常コウモリは、ダンジョンの入り口付近にいることが多いため、大規模な火魔法を使うのが定石であるが、ダンジョンの深くにいる今使うのは危険度が高い。
「わたしに任せて下さい。」
エルフの血を引くと言われている弓使いのA級冒険者サリだ。
確か彼女は、矢に纏わせた炎の魔法を得意としていたはずだ。
「分かった。サリ、頼んだぞ。
他の者は、サリの援護に回れ。」
魔法による遠隔攻撃組がサリの後方に、剣士組がサリの周りに集まって、サリのサポート体制を取る。
サリは器用に3本の矢をつがえて、一気に引き絞る。
キリキリと弓を引き絞る音が響き、3本の矢は放たれた。
大量のコウモリの中にバラけて発射された3本の矢からはバチバチという音と共に、光が出ている。
矢がコウモリに届くと、コウモリ達は、その大半が下に落ちていった。
雷魔法だ。矢に雷魔法を纏わせてコウモリ達を感電させたのだ。
雷は空気や物質を伝播する。
密集しているコウモリ達を感電させるには、非常に効果的な魔法と言えよう。
サリは続けて矢を発射、コウモリのほとんどは下に落ちた。
「皆んな後は頼んだよ。」
サリの言葉に、まだ残っているコウモリに剣士が、下で感電しているコウモリ達には火魔法使いが攻撃し、ほどなくコウモリも全て殲滅出来た。
「サリ、よくやった。素晴らしい判断と腕だったな。」
俺の言葉にサリは目を細めて嬉しそうにするのだった。
2回目にダンジョンに入った翌日から、3日ほど魔法の研修を行なった。
皆んな喜んでくれているから、役に立ったんだと思う。
ダンジョンの1回目から先頭に立っていた剣士の人なんて、涙を流しながら喜んでくれていた。
最初はどうなるかと思ったけど、研修をやって本当に良かったと思う。
今日は研修の締めとして皆んなの魔法の実力を見せてもらうことになっている。
ギルド長のグリルさんが、皆んなの実力を把握しておきたいと言い出したからなんだけどね。
魔法使いから順に新しく手に入れた魔法を披露していく。
なかなか威力のある攻撃魔法を繰り出す人もいて、グリルさんもホクホク顔みたい。
最後はこれまで魔力が無かった人達の番になった。
拙いながらも攻撃魔法を繰り出す人や自分の剣に魔力を纏わせて魔剣にする人が多かった。
泣いて喜んでいた剣士さんの姿もあった。
剣士さんは、回復魔法を使えるようになっていた。
「一応、火魔法もある程度使えるようにはなったんだがよぉ、威力を出そうとしたら、魔素を集めるのに時間が掛かってな。
どうやら俺には魔力ってもんが全く無いみたいだな。
実戦で使うにはちと心許ないからな、回復魔法なら自分のタイミングで使えるしよぉ。」
少し照れ笑いしながら話す剣士さん。
最前線で戦う剣士だからこそ、一番必要な魔法なのかもしれないと思うんだ。
たぶんこの剣士さんは、怪我はしなさそうだから、他の剣士さん達のことを思いやってのことだろうね。
「よし!皆んなの力は見せてもらった。
だいぶ戦力アップ出来た。
俺は嬉しいぞぉ。
よし、明日からは、またダンジョンに潜るぞ!」
「「「おー!」」」
グリルさんの掛け声に皆んな嬉しそうだ。
その後、皆んなに揉みくちゃにされながら御礼を言われたりして、かなり照れ臭かったけど、研修をやって本当に良かったと思ったんだ。
<<グリル視点>>
ランス様のおかげで、大幅な戦力アップが出来た。
3度目の挑戦は、1階層目から行うことにした。
魔法の成果を実戦で確認すると共に経験値を積んで欲しいからな。
散々苦労した1から4階層だったが、魔法による効果は大きい。
120人もいるから、潤沢に魔法も使える。
遠方からの魔法攻撃で、戦闘時間も短縮され、ずいぶんと楽に進めるようになった。
あっという間に4階層目の転移魔法陣が置いてあるところまでやって来た。
「グリルさん、こりゃ余裕だなぁ。
あんなに苦労してたっていうのになぁ。」
「そうだなナルン。思った以上の効果だな。
しかし、お前が回復魔法を覚えていてくれて、本当に助かった。」
負傷者を癒すために後方に下がって手当てしてくれているナルンと話す。
「そうかい、それは良かったよ。
まさか俺が魔法を使うなんてなぁ。
特にダンジョンの中は俺には好都合みたいだな。
俺は周囲の魔素を集めて魔法を使うから、魔素の多いダンジョン内は、魔法を使いたい放題だ。」
「確かにこの回復魔法はダンジョン内では、非常に有効だな。
これは皆に覚えさせよう。
ナルン、講師を頼んだぞ。」
「ああ、これを皆が使えるようになったら、ダンジョン攻略の致死率もかなり軽減されるだろうなぁ。」
横で聞いているマサル様やランス様も嬉しそうにしておられる。
「マサル様、5階層目に行こうと思うのですが。」
「今の皆さんだったら大丈夫だと思いますよ。
油断だけはしないで下さいね。」
「よし皆んな。下に降りるぞー!」
「「「おー!」」」
5階層目で最初に出てきたのは、ウサギの魔物だった。
動きが非常に速く、ジャンプで上下に移動するため、魔法でも捉えにくい。
火魔法を使える者を複数人並べて、ウサギの軌道に沿って複数の場所に同時に魔法を発射させる。
何度か試してみると、だんだん動きが分かってきたのか、命中率が上がり、ウサギのエリアも問題なくクリア出来た。
ウサギの次はコウモリだ。
コウモリは何と言っても数が多い。
多少の魔法では無理がある。
通常コウモリは、ダンジョンの入り口付近にいることが多いため、大規模な火魔法を使うのが定石であるが、ダンジョンの深くにいる今使うのは危険度が高い。
「わたしに任せて下さい。」
エルフの血を引くと言われている弓使いのA級冒険者サリだ。
確か彼女は、矢に纏わせた炎の魔法を得意としていたはずだ。
「分かった。サリ、頼んだぞ。
他の者は、サリの援護に回れ。」
魔法による遠隔攻撃組がサリの後方に、剣士組がサリの周りに集まって、サリのサポート体制を取る。
サリは器用に3本の矢をつがえて、一気に引き絞る。
キリキリと弓を引き絞る音が響き、3本の矢は放たれた。
大量のコウモリの中にバラけて発射された3本の矢からはバチバチという音と共に、光が出ている。
矢がコウモリに届くと、コウモリ達は、その大半が下に落ちていった。
雷魔法だ。矢に雷魔法を纏わせてコウモリ達を感電させたのだ。
雷は空気や物質を伝播する。
密集しているコウモリ達を感電させるには、非常に効果的な魔法と言えよう。
サリは続けて矢を発射、コウモリのほとんどは下に落ちた。
「皆んな後は頼んだよ。」
サリの言葉に、まだ残っているコウモリに剣士が、下で感電しているコウモリ達には火魔法使いが攻撃し、ほどなくコウモリも全て殲滅出来た。
「サリ、よくやった。素晴らしい判断と腕だったな。」
俺の言葉にサリは目を細めて嬉しそうにするのだった。
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