最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第11章 ランスの恋

13 【セラフ頑張る】

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<<ランス視点>>
「ふうー。こんなものかな。」

首都となった最初の街を囲んでいた5つの山を造成して、3つの街と2つの村を作ったんだ。

もちろん、上下水道は完備だよ。

住宅街の拡張工事は順調に進んでいる。

首都から延びる広い幹線道路は、山を周りながら登るように敷かれていて、その道路沿いに家が建つ。

家と家の間には公園や商店が作れるように何件か毎に間隔を空けてあるんだ。

日の当たり難い場所には、木工所や鉄鋼所、炭焼小屋等を配置する予定。
産業も重要だしね。


首都からロープウェイが数本張られていて、頂上まで20分くらいで着く。

途中の駅は幹線道と繋がっているから、便利は良いと思う。

街の1つは、別荘地にする予定だ。

各国の王家や貴族からの要望が多いからね。


村には田んぼと畑をたくさん作った。

山肌に沿って段々になるように削っていき、そこに集落を作っていく。

住宅と、田んぼ、畑が同じ階層に確保できるように考えたんだ。

村にはロープウェイ以外に『ケーブルカー』も作った。

ケーブルカーは、木製の大きな木箱を、山の上に置いた魔道具でケーブルを引き上げる形にした。

途中にある倉庫の中を通るようにしたから、農機具や肥料、タネなんかを運ぶのにとっても便利だってみんな喜んでくれているよ。

村には他にも、ため池を数ヶ所用意しておいた。

もし干ばつになった時に、飲み水は海水から作ることが出来るけど、田んぼの水の確保は重要だよね。


ジョージさん達が頑張ってくれたおかげで、僕が魔法を使うことはほぼ無くなっている。

魔法無しで工事できないと困るもの。

お父様は材料の加工や工事関係がすごく得意らしく、ジョージさん達を集めて研修会を開いていた。

僕も一緒に聞いているんだけど、今まで考え付かなかったような手法を説明してくれる。

大規模魔法でなんでもこなせてしまうお父様だけど、魔法なんて使わなくても、本当はできるんだよね。

本当にすごいよ。改めて尊敬しちゃった。


「いやあ、ここの土木技術は素晴らしいものがあります。

我が国と比較しても、100年は先を行っていますよ。

是非ご教授頂きたいものです。」


ハローマ王国から工事現場の視察に来られている建設大臣様が、さきほどからため息交じりだ。

工法を考えたお父様もすごいし、その考えをすぐに理解して実際の現場に取り込んでしまうジョージさん達もすごいと思う。

このチームは世界最強だ。




「ランス、お昼ごはん持ってきた。」

もうそんな時間か。 お昼はセラフが持ってきてくれるようになった。

亜空間ポーチに入れておけば、作り立てをそのまま食べられるんで、そうしていたんだけど、最近はセラフが持ってきてくれることになったので、お言葉に甘えているんだ。

皆んなもセラフの顔を見るのを楽しみにしているみたいだし。

セラフは工事をしている皆んなにお弁当を配り終えると、僕の隣に来た。

こうしていつも2人で並んでお弁当を食べる。

今日は何が入っているんだろう。

「やったー!今日はハンバーグとカレーライスだ!」

僕の大好物が2つも入っている。

「前にランスが好きだっていってたから。でも毎日じゃダメだってメアリさんが言うから。」

少し頬を染めたセラフが、自分の弁当をあける。

そこには厚焼き玉子と、ソーセージ、その他野菜等が色とりどりに並んでいた。

「ランス、これも食べて良い。」

セラフが、言葉少なにつぶやく。

「ありがとう。いただきます。」



楽しいランチタイムも終わり、作業に戻る。

美味しいものを食べて、しっかり休憩を摂ったから、皆んな元気いっぱいだ。

作業はどんどん進んでいく。



「わたしも手伝う。」

セラフが自分も手伝うって言い出した。

「じゃあ、僕と一緒に白線を引いて行こうか。」

この国では、道路に白い線を3本引くのがルール。

端に引く2本は、歩行者と馬車を分けるための線。

真ん中の1本は、馬車が左側通行するための線。

他の国では、基本的に馬車が優先される。

貴族が馬車を使うことが多いからね。

歩行者は、馬車を避けて通る必要があるため、危険な目に遭うことが多いんだ。

この国に貴族は居ないから、歩行者も安全に歩けるようにって、白い線を道路に引きことに決まった。

真ん中の線は、馬車が対向し易いようにだよ。

視察に来た他国の官僚達はその話しを聞いて、珍しそうに道路を見ながら納得している。

キンコー王国でも、王都のメインストリートには線が引かれたって聞いた。

歩行者の怪我がほぼ無くなったってみんな喜んでいるらしい。



僕とセラフは話しをしながら黙々と線を引いていく。

道の幅より少し狭い白線を引くための専用道具をひたすら引っ張っていくだけの簡単なお仕事。

セラフと並んで2人で坂道を引いて登っていく。

結構重労働なんだけど、重力魔法を使えば軽くなるからね。

マリス様のことやセラフの仕事のことなんかを聞いたり、僕の小学生時代のエピソードを話したりしながら歩いていると、あっという間に時間が経った。

「ランス様、今日はこのくらいにしておきましょう。」

ジョージさんに声を掛けられて、夕焼けに気付いた。

僕もセラフもほんのり汗をかいている。

「セラフ、今日は手伝ってくれてありがとう。」

「明日も手伝って良い?」

セラフは明日も手伝ってくれるって。

「ありがとう、助かるよ。」

夕焼けを背景にしたセラフの笑みが眩しかった。

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