最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

文字の大きさ
252 / 382
第11章 ランスの恋

14 【とある休日の出来事】

しおりを挟む
<<セラフ視点>>
「セラフちゃん、今日は休日なんだから食堂の手伝いはしなくてもいいのよ。
イリヤちょ......あれ居ないわね。どこに行ったのかしら?」

「イリヤ様だったらセイルと買い物に行ったはずだが。」

「ハリー君そうなんだ、セイルちゃんと買い物に行ったのかあ。

じゃあ、セラフちゃん、わたしとお買い物に行きましょうか。」

リザベート様は、いつも気軽に声を掛けてくださる。

この国の王妃なのにね。

「はい。」

「良かった。ほんと楽しみだわ。服を着替えに行かなきゃ。

あっそうだ、セラフちゃん、着ていく服はある?

無かったら、わたしの若い時の服がたくさんあるから、それをとりあえず着ていく?

セラフちゃんの服もたくさん買わなきゃね。」

「この前イリヤちゃんに買ってもらいました。」

「そう、じゃあ、着替えたらここで集合ね。」


わたしは部屋の戻って服を着替える。

以前イリヤちゃんに買ってもらった薄いピンクのワンピース。

ランス君が『よく似合うね』って言ってくれたから、お気に入り。

もちろん、ランス君にもらったお手製の髪飾りもつけていくわ。

わたしの赤い髪に合うようにと、ちょっと大きめの白い花の形になったもの。

「あら、セラフちゃん。すごく可愛いわ。」

リビングに行くとリザベート様は既に来ておられ、わたしの格好を褒めて下さった。

「さあ、行きましょう。」

メインストリートに出るまでは馬車を使う。

「ほんとはね、歩いて行きたいんだけど、皆んなが気を使うからって。」

メインストリートに面した馬車止めに馬車が止まる。

「カールさん、ありがとう。じゃあちょっと行ってきますね。」

ここまで送ってくれた御者のカールさんにリザベート様がお礼を言って馬車を降り、メインストリートに出る。

「最初はこの店に入りましょう。」

イリヤちゃんと行ったのとは違うお店で、大人のお店って感じ。

「イリヤとだったら子供っぽいところばっかりだったでしょ。

セラフちゃんにはこんなのもいいと思うんですよね。」

地上に降りてからは、ランス達の年齢に合わせているので子供服を着ていますが、上にいる時は大人サイズです。

でも、いつもメイド服のわたしには、少し刺激的かもしれません。

少し広めの試着室にたくさんの服を持ち込んでふたりで試着タイムです。

リザベート様、見た目よりスタイルが良くて、わたしも大人サイズになって張り合います。

わたし達って思念体というか、人間みたいに実体が無いから自由に姿を変えられます。

リザベート様より少し豊満な実体を作り出す。

「あら、セラフちゃん、そんなこともできるのね。まあ当然よね。

でもこれでお洋服を探すのがもっと楽しみになったわ。」

リザベート様の指示で次から次へと新しい服が持ち込まれ、着せ替え人形状態のわたしがその試着室から出られたのは、2時間後だった。

「こんなものかしらね。じゃあこれをお願いね。」

リザベート様が子供用、大人用合わせて10着程度店員に渡す。

「リザベート様、お代は結構でございます。」

「そんなのダメよ。ちゃんとお支払いいたしますわ。」

「いえ、聖女様がお買いになられた店というだけで、私どもの店に箔が付きますので。
それに、リザベート様にお金を払わせたなんて知れたら、本店の大旦那様に叱られてしまいます。」

「じゃあ1着分だけおまけして頂くわ。それと写真機はある?」

「はい、ございますが?」

「じゃあ、わたしとこの子を撮って下さい。お店に飾っておけば、効果が大きいんじゃない?」

「リザベート様、お心遣いありがとうございます。
少しお待ち頂けますでしょうか。」

店員が奥に下がっていった。

リザベート様は『ペロッ』と舌をだして、おどけて見せる。

マリス様がいつも仰っておられるように、この人は聖女と呼ばれるのにふさわしい人だと思う。

マサル様もリザベート様も既に人間としては永遠とも言える生を与えられているし、死後は望めば神として新しい生を送ることが既に決定しているのは、マリス様とわたしの秘密。



その店で撮影された写真は、その後数百年経ってもその店に飾り続けられたということだ。




「さあ、次の店に行きましょうか。次はドレスね。

せっかくそんなに綺麗な姿なんだから、その姿でも地上で活躍してくださいね。

そうね、子供のセラフちゃんのお母さんって設定はどうかしら。

わたしの幼馴染で親友って設定で。」

この姿で綺麗な服を着飾るのも悪くはないわね。

ランスはこの姿を見てどう思うかな。


その後、わたしはリザベート様にメインストリート中にある服屋を連れまわされたのです。


すっかり日が暮れてしまった帰り道、仕事帰りのランスと出会った。

「お母様、ただいま。その方は?」

「ランスお帰り。誰だと思う?ランスのよく知っている人よ。」

「うーん」

「セラフちゃんよ。」

「えっ!」

「どう綺麗でしょ。これからセラフちゃんがこの姿の時にはお母さんのお友達として、お茶会とかに出てもらうことにしたの。」

うーん、ちょっと大変そうだけど、おもしろそう。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜

サカキ カリイ
ファンタジー
「なんだ!あの農具は!槍のつもりか?」「あいつの頭見ろよ!鍋を被ってるやつもいるぞ!」ギャハハと指さして笑い転げる正規軍の面々。 魔王と魔獣討伐の為、軍をあげた帝国。 討伐の為に徴兵をかけたのだが、数合わせの事情で無経験かつ寄せ集め、どう見ても不要である部隊を作った。 魔獣を倒しながら敵の現れる発生地点を目指す本隊。 だが、なぜか、全く役に立たないと思われていた部隊が、背後に隠されていた陰謀を暴く一端となってしまう…! 〜以下、第二章の説明〜 魔道士の術式により、異世界への裂け目が大きくなってしまい、 ついに哨戒機などという謎の乗り物まで、この世界へあらわれてしまう…! 一方で主人公は、渦周辺の平野を、異世界との裂け目を閉じる呪物、巫女のネックレスを探して彷徨う羽目となる。 そしてあらわれ来る亡霊達と、戦うこととなるのだった… 以前こちらで途中まで公開していたものの、再アップとなります。 他サイトでも公開しております。旧タイトル「茫漠と彷徨えるなにか」。 「離れ小島の二人の巫女」の登場人物が出てきますが、読まれなくても大丈夫です。 ちなみに巫女のネックレスを持って登場した魔道士は、離れ小島に出てくる男とは別人です。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...