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第11章 ランスの恋
14 【とある休日の出来事】
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<<セラフ視点>>
「セラフちゃん、今日は休日なんだから食堂の手伝いはしなくてもいいのよ。
イリヤちょ......あれ居ないわね。どこに行ったのかしら?」
「イリヤ様だったらセイルと買い物に行ったはずだが。」
「ハリー君そうなんだ、セイルちゃんと買い物に行ったのかあ。
じゃあ、セラフちゃん、わたしとお買い物に行きましょうか。」
リザベート様は、いつも気軽に声を掛けてくださる。
この国の王妃なのにね。
「はい。」
「良かった。ほんと楽しみだわ。服を着替えに行かなきゃ。
あっそうだ、セラフちゃん、着ていく服はある?
無かったら、わたしの若い時の服がたくさんあるから、それをとりあえず着ていく?
セラフちゃんの服もたくさん買わなきゃね。」
「この前イリヤちゃんに買ってもらいました。」
「そう、じゃあ、着替えたらここで集合ね。」
わたしは部屋の戻って服を着替える。
以前イリヤちゃんに買ってもらった薄いピンクのワンピース。
ランス君が『よく似合うね』って言ってくれたから、お気に入り。
もちろん、ランス君にもらったお手製の髪飾りもつけていくわ。
わたしの赤い髪に合うようにと、ちょっと大きめの白い花の形になったもの。
「あら、セラフちゃん。すごく可愛いわ。」
リビングに行くとリザベート様は既に来ておられ、わたしの格好を褒めて下さった。
「さあ、行きましょう。」
メインストリートに出るまでは馬車を使う。
「ほんとはね、歩いて行きたいんだけど、皆んなが気を使うからって。」
メインストリートに面した馬車止めに馬車が止まる。
「カールさん、ありがとう。じゃあちょっと行ってきますね。」
ここまで送ってくれた御者のカールさんにリザベート様がお礼を言って馬車を降り、メインストリートに出る。
「最初はこの店に入りましょう。」
イリヤちゃんと行ったのとは違うお店で、大人のお店って感じ。
「イリヤとだったら子供っぽいところばっかりだったでしょ。
セラフちゃんにはこんなのもいいと思うんですよね。」
地上に降りてからは、ランス達の年齢に合わせているので子供服を着ていますが、上にいる時は大人サイズです。
でも、いつもメイド服のわたしには、少し刺激的かもしれません。
少し広めの試着室にたくさんの服を持ち込んでふたりで試着タイムです。
リザベート様、見た目よりスタイルが良くて、わたしも大人サイズになって張り合います。
わたし達って思念体というか、人間みたいに実体が無いから自由に姿を変えられます。
リザベート様より少し豊満な実体を作り出す。
「あら、セラフちゃん、そんなこともできるのね。まあ当然よね。
でもこれでお洋服を探すのがもっと楽しみになったわ。」
リザベート様の指示で次から次へと新しい服が持ち込まれ、着せ替え人形状態のわたしがその試着室から出られたのは、2時間後だった。
「こんなものかしらね。じゃあこれをお願いね。」
リザベート様が子供用、大人用合わせて10着程度店員に渡す。
「リザベート様、お代は結構でございます。」
「そんなのダメよ。ちゃんとお支払いいたしますわ。」
「いえ、聖女様がお買いになられた店というだけで、私どもの店に箔が付きますので。
それに、リザベート様にお金を払わせたなんて知れたら、本店の大旦那様に叱られてしまいます。」
「じゃあ1着分だけおまけして頂くわ。それと写真機はある?」
「はい、ございますが?」
「じゃあ、わたしとこの子を撮って下さい。お店に飾っておけば、効果が大きいんじゃない?」
「リザベート様、お心遣いありがとうございます。
少しお待ち頂けますでしょうか。」
店員が奥に下がっていった。
リザベート様は『ペロッ』と舌をだして、おどけて見せる。
マリス様がいつも仰っておられるように、この人は聖女と呼ばれるのにふさわしい人だと思う。
マサル様もリザベート様も既に人間としては永遠とも言える生を与えられているし、死後は望めば神として新しい生を送ることが既に決定しているのは、マリス様とわたしの秘密。
その店で撮影された写真は、その後数百年経ってもその店に飾り続けられたということだ。
「さあ、次の店に行きましょうか。次はドレスね。
せっかくそんなに綺麗な姿なんだから、その姿でも地上で活躍してくださいね。
そうね、子供のセラフちゃんのお母さんって設定はどうかしら。
わたしの幼馴染で親友って設定で。」
この姿で綺麗な服を着飾るのも悪くはないわね。
ランスはこの姿を見てどう思うかな。
その後、わたしはリザベート様にメインストリート中にある服屋を連れまわされたのです。
すっかり日が暮れてしまった帰り道、仕事帰りのランスと出会った。
「お母様、ただいま。その方は?」
「ランスお帰り。誰だと思う?ランスのよく知っている人よ。」
「うーん」
「セラフちゃんよ。」
「えっ!」
「どう綺麗でしょ。これからセラフちゃんがこの姿の時にはお母さんのお友達として、お茶会とかに出てもらうことにしたの。」
うーん、ちょっと大変そうだけど、おもしろそう。
「セラフちゃん、今日は休日なんだから食堂の手伝いはしなくてもいいのよ。
イリヤちょ......あれ居ないわね。どこに行ったのかしら?」
「イリヤ様だったらセイルと買い物に行ったはずだが。」
「ハリー君そうなんだ、セイルちゃんと買い物に行ったのかあ。
じゃあ、セラフちゃん、わたしとお買い物に行きましょうか。」
リザベート様は、いつも気軽に声を掛けてくださる。
この国の王妃なのにね。
「はい。」
「良かった。ほんと楽しみだわ。服を着替えに行かなきゃ。
あっそうだ、セラフちゃん、着ていく服はある?
無かったら、わたしの若い時の服がたくさんあるから、それをとりあえず着ていく?
セラフちゃんの服もたくさん買わなきゃね。」
「この前イリヤちゃんに買ってもらいました。」
「そう、じゃあ、着替えたらここで集合ね。」
わたしは部屋の戻って服を着替える。
以前イリヤちゃんに買ってもらった薄いピンクのワンピース。
ランス君が『よく似合うね』って言ってくれたから、お気に入り。
もちろん、ランス君にもらったお手製の髪飾りもつけていくわ。
わたしの赤い髪に合うようにと、ちょっと大きめの白い花の形になったもの。
「あら、セラフちゃん。すごく可愛いわ。」
リビングに行くとリザベート様は既に来ておられ、わたしの格好を褒めて下さった。
「さあ、行きましょう。」
メインストリートに出るまでは馬車を使う。
「ほんとはね、歩いて行きたいんだけど、皆んなが気を使うからって。」
メインストリートに面した馬車止めに馬車が止まる。
「カールさん、ありがとう。じゃあちょっと行ってきますね。」
ここまで送ってくれた御者のカールさんにリザベート様がお礼を言って馬車を降り、メインストリートに出る。
「最初はこの店に入りましょう。」
イリヤちゃんと行ったのとは違うお店で、大人のお店って感じ。
「イリヤとだったら子供っぽいところばっかりだったでしょ。
セラフちゃんにはこんなのもいいと思うんですよね。」
地上に降りてからは、ランス達の年齢に合わせているので子供服を着ていますが、上にいる時は大人サイズです。
でも、いつもメイド服のわたしには、少し刺激的かもしれません。
少し広めの試着室にたくさんの服を持ち込んでふたりで試着タイムです。
リザベート様、見た目よりスタイルが良くて、わたしも大人サイズになって張り合います。
わたし達って思念体というか、人間みたいに実体が無いから自由に姿を変えられます。
リザベート様より少し豊満な実体を作り出す。
「あら、セラフちゃん、そんなこともできるのね。まあ当然よね。
でもこれでお洋服を探すのがもっと楽しみになったわ。」
リザベート様の指示で次から次へと新しい服が持ち込まれ、着せ替え人形状態のわたしがその試着室から出られたのは、2時間後だった。
「こんなものかしらね。じゃあこれをお願いね。」
リザベート様が子供用、大人用合わせて10着程度店員に渡す。
「リザベート様、お代は結構でございます。」
「そんなのダメよ。ちゃんとお支払いいたしますわ。」
「いえ、聖女様がお買いになられた店というだけで、私どもの店に箔が付きますので。
それに、リザベート様にお金を払わせたなんて知れたら、本店の大旦那様に叱られてしまいます。」
「じゃあ1着分だけおまけして頂くわ。それと写真機はある?」
「はい、ございますが?」
「じゃあ、わたしとこの子を撮って下さい。お店に飾っておけば、効果が大きいんじゃない?」
「リザベート様、お心遣いありがとうございます。
少しお待ち頂けますでしょうか。」
店員が奥に下がっていった。
リザベート様は『ペロッ』と舌をだして、おどけて見せる。
マリス様がいつも仰っておられるように、この人は聖女と呼ばれるのにふさわしい人だと思う。
マサル様もリザベート様も既に人間としては永遠とも言える生を与えられているし、死後は望めば神として新しい生を送ることが既に決定しているのは、マリス様とわたしの秘密。
その店で撮影された写真は、その後数百年経ってもその店に飾り続けられたということだ。
「さあ、次の店に行きましょうか。次はドレスね。
せっかくそんなに綺麗な姿なんだから、その姿でも地上で活躍してくださいね。
そうね、子供のセラフちゃんのお母さんって設定はどうかしら。
わたしの幼馴染で親友って設定で。」
この姿で綺麗な服を着飾るのも悪くはないわね。
ランスはこの姿を見てどう思うかな。
その後、わたしはリザベート様にメインストリート中にある服屋を連れまわされたのです。
すっかり日が暮れてしまった帰り道、仕事帰りのランスと出会った。
「お母様、ただいま。その方は?」
「ランスお帰り。誰だと思う?ランスのよく知っている人よ。」
「うーん」
「セラフちゃんよ。」
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