最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

文字の大きさ
299 / 382
第14章 そして神になった

7【とある星の再生3】

しおりを挟む
<<ムーアの父親、村長視点>>

仲間を率いて遊びに行っていたはずのムーアがひとりで帰って来た。

いや後ろには最近この村に現れたケンジとかいう若者がいるな。

「親父。ちょっと一緒に来てくれないか。

ケンジがとんでもない物を作ったから見て欲しいんだ。」

「何だ、そのとんでもない物とは?」

「デッかい塔だよ。ほら、あそこに見えるだろ。」

さっき隣村から帰って来たばかりで、全く気が付かなかったが、たしかに遠くに塔が見える。

ただ高すぎて上の方は雲に隠れているようだ。

どうやら村の民達は気付いていたようでこちらに数人が近づいて来た。

「村長!あれはいったい何だね?」

広場に集まって騒然としている民を代表して、猟師のヤンマが聞いてくる。

「ヤンマか、ムーアが事情を知っているようだ。

一緒に聞いてみよう。

ムーア、ケンジ君、説明を頼むよ。」

「おーい、皆んな!村長が説明してくれるぞー。

こっちへ集まれー。」

村の民達がわたしの前に集まってくる。

「じゃあ、俺から話しますね。

あれはビルって言うものです。

朝から俺が作りました。」

周りが騒然とする。

当然だ。ケンジ君はまだ14歳。

もうすぐ成人するとは言っても、未だムーアと同じ子供である。

その彼があの巨大な塔を作ったなんて、とてもじゃ無いが信じられない。


「ムーア、ケンジ君、お前達の言うことは分かった。

だが一度わしも見てみぬことにはなんとも言えんな。」




30分後、ケンジ君に案内されてたどり着いたのは巨大な壁の前だった。

「ほー!なんなんじゃこれは?」

「これがビルです。

こちらの中に村を新たに作ります。っていうかもう作ってありますので見てもらっても良いですか?」

「親父、とりあえず確認してくれよ。とにかく凄いんだよ!」

見たことも無い高い塔と光り輝く何か分からない素材に戸惑うわたしを見かねて、興奮気味なムーアに背中を押されたわたしはビルの入口へと連れていかれた。

「親父、ここで一旦止まるんだ。
よく見てろよ。」

自動扉から少し離れた場所で立ち止まって振り向くムーアの顔には悪戯っ子のそれが表れている。

戸惑いつつも頷くしかあるまい。

息子のムーアの前にはキラキラと輝く壁があり、その先には年配の男がいる。

「ムーア、だ、大丈夫なのか?」

誰なんだあの男は。


「あんなところに村長のそっくりさんがいるぞ。」

付いてきた村人の声に村長が振り向く。

なに?俺そっくりだと!

分かったぞ!あれは鏡だな。

前に王都に行った際に教会で見たやつだ。

しかしあれは途方も無い値段だと聞いたが。

たしか教会にあった物も手のひらよりも少し大きなくらいだったが、王子様の戴冠式に王家から贈られたものだと、司祭が自慢しとったくらいだ。

しかし、ここにあるのは途方もなく巨大だ。

いったい幾らするのだ!!

ムーアが1歩踏み出すと、鏡が真ん中で開いて、中に空間が生まれた。

躊躇いなくムーアが中に入り、こちらに振り返る。

「何してるんだよう、こっちだよ。」

悪戯ぽく笑うムーアに少しイラッとするが、あいつが入った以上ここで躊躇うことは出来ない。
皆が見ているのだ。

一呼吸おいて一気に駆け込む。

バン!!

い、痛い。

知らぬ間に鏡が閉じていたようだ。

やはり油断すべきではない。

鏡を睨みつけていると、うっすら見えているムーアが大笑いしている。

「村長、大丈夫ですか?
ここからゆっくり進んで下さい。

俺が先に立ちますから、付いて来て下さいね。」

前を行くケンジ君の後を付いて行くと、鏡は勝手に開いて、わたし達は中に進むことが出来た。

「さあ皆さんこちらですよ。」

ケンジ君の案内で別の小さな部屋に入ると、急に浮揚感に見舞われる。

思わず声を上げようとしたが、同行した若い者が先に声を上げたので我慢する。

村長の威厳を守るのも一苦労だな。

焦る気持ちをどうにか抑えてしばらくすると、チーンという音と共に浮揚感が治まった。

目の前の扉が開くと、そこには神の国のごとき光景が広がっていた。


<<ケンジ視点>>

村長達を屋上に案内した。

エレベータが着くなり大きなどよめきが沸き立つ。

神の国だ…誰かが呟くとそれに感化されたのか、皆さんがその場にひれ伏したんだよ。

俺が慌ててると無情にも時間切れの扉が閉じる。

その光景に、皆さんプチパニックとなり、更にカオスに。

慌てて開くボタンを押して、ムーアと共に皆さんを屋上へと押し出した。

ここは地上800メートルの世界。

エレベータから出ただけだと、空の青さしか見えない。

しかも砂漠の一部であるこの一帯には、オアシスもなく、水の確保が何よりも重要なのだが、目の前には豊富に水を湛えたプールがある。

たしかに彼らから見たら神の国かも。

「さあ、皆さんの新しい村に案内しましょう。」

村長以下村人達の反応を見たケンジはすっかり有頂天になっている。

村がここに引っ越してくることを確証し、疑いもしない。

それはムーア達も同じこと。

いつもは子供扱いばかりされている自分達が、ここでは大人達よりもよく知っている。

その優越感は子供達を有頂天にさせるのに十分だった。

「親父、なにボケッとしてるんだよ。
次は村を見に行くぞ。」

ムーアの言葉に村長達もおずおずとついて行ったのだ。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。 しかしそれは神のミスによるものだった。 神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。 そして橘 涼太に提案をする。 『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。 橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。 しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。 さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。 これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...