376 / 382
第14章 そして神になった
【アキラ君の行方5】
しおりを挟む
<<アスカ教授視点>>
「あら、これは次元トンネルの古代魔方陣に似ているわね。」
マサルさんが壁に映し出した図柄を見て直感的に思ったわ。
わたしは次元トンネルの説明を続けた。
「次元トンネルとは文字通り、ふたつの次元を繋ぐ為に使う技術で、この時に両端に使う魔方陣に似ているのね。
今では次元移動は基本的に禁止されているから、使われることはほとんど無いはず。
特に普通に次元移動するだけだったら転移魔方陣を使った方が圧倒的に便利だしね。
だから、この魔方陣は大量の人や物資を次元間で移動させる時に使用されたんじゃないかっていうのが通説になっているの。
実際に古代遺跡から出土される魔方陣跡の多くがこの魔方陣。
でも不思議なことに、そのほとんどが受信側で送信側の魔方陣はほとんど見つかってないのよね。
だから次元を行き来していたと言うよりは、別の次元から一方的に何かを送っていたって考えられるわ。
でも残念ながら、送り側が何処だったのか分からないし、何を送っていたのかも分からないままなの。
そんな古代の魔方陣、魔方陣自体の解析はかなり進んでいて、基本的な機能はほぼ分かるようになってきたんだけど、根本的な考え方が、術式の組み方で当時と今では大きく違うところがたくさんあって、『何故こんなことしてるの?』っていうところが結構あるわね。
この次元トンネルの魔方陣もそうなの。
受信側はたくさん見つかっていて、送信側はほとんど見つかっていないんだけど、この魔方陣が対であったと断定したのは、魔方陣の種類を表す場所に記載されていた文字が同じだったから。
そして受信側だと断定したのは、魔方陣をくぐってからの術式が見受けられたからなの。
じゃあ送信側といえば、送信後に付き物の物質固定が描かれていたからそう判断されたんだよね。
でも、肝心の転送部分が受信側と一緒なの。
本当なら物質分解の魔方陣が必要なはずなんだけど、それが見当たらなかったんだ。
それに出土数がほとんど無いから、それ以上分析が進んでいないの。」
ここまで話してセットしておいたコーヒーメーカーからカップ3杯分を抽出して机の上に並べた。
「どうぞ、お口に合うか分からないけどね。」
「「いただきます。」」
濃い目のコーヒーに一息ついて、話しを続ける。
「この魔方陣は送信側みたいね。
ほら、この部分がこちらと違うでしょ。ここにはたぶん送信順の並び替え手順が描かれていると思うのよね。
でもさっきも言ったけど、並べ替えした後に物質を変換する術式がどこにも見当たらないのよ。」
深いため息をついているとマサルさんとユウコちゃんが目を見合わせて頷き合ってる。
「アスカ教授、これを見て下さい。」
マサルさんが、今投影されている魔方陣の映像の隣に別の映像を映す。
「これは?」
「これは魔方陣の中央付近の図柄の下に隠されていた図柄です。先程おっしゃっていた物質変換の魔方陣ってこれじゃないですか?」
その映像を見つめて記憶を辿る。受信側に描かれている物質変換の魔方陣に似ていなくもないが、少し違うような、でも鉱石から金属を生成する錬金魔方陣にこんな図柄があったかも。
「この映像しばらく借りていていい?他の研究者達にも見せて意見を聞きたいの。」
「ええ、ぜひよろしくお願いします。この媒体は既にコピーしてありますのでこちらを置いていきます。
ただ、この映像は犯罪が絡んでいる可能性が大きいので扱いについては十分に注意願います。」
「分かったわ。何か判明したらすぐに連絡するわね。」
その後軽く情報交換をしてマサルさん達は帰っていった。
残っていたコヒーを飲み干したわたしは早速研究者仲間に連絡を入れて今日の話しを伝えたわ。
珍しい次元トンネルの送信側が見つかったこともそうなんだけど、魔方陣の一部を2重にして描かれていることが分かったのは、これまでの研究者の常識を一変させるほどの大発見なのよね。
全ての古代魔方陣を調べ直す必要があるわ。
それからの数日間は大変だったわよ。
研究者伝手に話しを聞いた大勢の古代魔方陣研究者がわたしの研究室に押しかけて来たの。
そして様々な議論を戦わせながら嵐のように去っていく日々が続いたのよ。
全国の研究者のほとんどが来たんじゃないかしら。
学会で顔を見たことがある程度の偉い研究者の方々と親密になれたのは良かったけどね。
皆さん大変興奮して、この映像のコピーを望まれたわ。
だけどマサルさんとの約束があるから、丁重にお断りしたの。
その代わり、この研究所内にある資料室をいつでも開放して映像を見られるようにしたわ。
それとマサルさんと相談して公開して良い画像は配ることにしたので、連日の騒ぎは10日程でひと段落したかしらね。
「もしもし、ああアスカ君か、この前の映像を見せてもらったよ。わたしなりの調査結果が出たから、今からお話ししたいのだが、こちらに来れないかな?」
考古学の第一人者で学会の重鎮でもあるシュパード教授から連絡が入ったのはマサルさん達が来てからちょうど1カ月後のことだったの。
「あら、これは次元トンネルの古代魔方陣に似ているわね。」
マサルさんが壁に映し出した図柄を見て直感的に思ったわ。
わたしは次元トンネルの説明を続けた。
「次元トンネルとは文字通り、ふたつの次元を繋ぐ為に使う技術で、この時に両端に使う魔方陣に似ているのね。
今では次元移動は基本的に禁止されているから、使われることはほとんど無いはず。
特に普通に次元移動するだけだったら転移魔方陣を使った方が圧倒的に便利だしね。
だから、この魔方陣は大量の人や物資を次元間で移動させる時に使用されたんじゃないかっていうのが通説になっているの。
実際に古代遺跡から出土される魔方陣跡の多くがこの魔方陣。
でも不思議なことに、そのほとんどが受信側で送信側の魔方陣はほとんど見つかってないのよね。
だから次元を行き来していたと言うよりは、別の次元から一方的に何かを送っていたって考えられるわ。
でも残念ながら、送り側が何処だったのか分からないし、何を送っていたのかも分からないままなの。
そんな古代の魔方陣、魔方陣自体の解析はかなり進んでいて、基本的な機能はほぼ分かるようになってきたんだけど、根本的な考え方が、術式の組み方で当時と今では大きく違うところがたくさんあって、『何故こんなことしてるの?』っていうところが結構あるわね。
この次元トンネルの魔方陣もそうなの。
受信側はたくさん見つかっていて、送信側はほとんど見つかっていないんだけど、この魔方陣が対であったと断定したのは、魔方陣の種類を表す場所に記載されていた文字が同じだったから。
そして受信側だと断定したのは、魔方陣をくぐってからの術式が見受けられたからなの。
じゃあ送信側といえば、送信後に付き物の物質固定が描かれていたからそう判断されたんだよね。
でも、肝心の転送部分が受信側と一緒なの。
本当なら物質分解の魔方陣が必要なはずなんだけど、それが見当たらなかったんだ。
それに出土数がほとんど無いから、それ以上分析が進んでいないの。」
ここまで話してセットしておいたコーヒーメーカーからカップ3杯分を抽出して机の上に並べた。
「どうぞ、お口に合うか分からないけどね。」
「「いただきます。」」
濃い目のコーヒーに一息ついて、話しを続ける。
「この魔方陣は送信側みたいね。
ほら、この部分がこちらと違うでしょ。ここにはたぶん送信順の並び替え手順が描かれていると思うのよね。
でもさっきも言ったけど、並べ替えした後に物質を変換する術式がどこにも見当たらないのよ。」
深いため息をついているとマサルさんとユウコちゃんが目を見合わせて頷き合ってる。
「アスカ教授、これを見て下さい。」
マサルさんが、今投影されている魔方陣の映像の隣に別の映像を映す。
「これは?」
「これは魔方陣の中央付近の図柄の下に隠されていた図柄です。先程おっしゃっていた物質変換の魔方陣ってこれじゃないですか?」
その映像を見つめて記憶を辿る。受信側に描かれている物質変換の魔方陣に似ていなくもないが、少し違うような、でも鉱石から金属を生成する錬金魔方陣にこんな図柄があったかも。
「この映像しばらく借りていていい?他の研究者達にも見せて意見を聞きたいの。」
「ええ、ぜひよろしくお願いします。この媒体は既にコピーしてありますのでこちらを置いていきます。
ただ、この映像は犯罪が絡んでいる可能性が大きいので扱いについては十分に注意願います。」
「分かったわ。何か判明したらすぐに連絡するわね。」
その後軽く情報交換をしてマサルさん達は帰っていった。
残っていたコヒーを飲み干したわたしは早速研究者仲間に連絡を入れて今日の話しを伝えたわ。
珍しい次元トンネルの送信側が見つかったこともそうなんだけど、魔方陣の一部を2重にして描かれていることが分かったのは、これまでの研究者の常識を一変させるほどの大発見なのよね。
全ての古代魔方陣を調べ直す必要があるわ。
それからの数日間は大変だったわよ。
研究者伝手に話しを聞いた大勢の古代魔方陣研究者がわたしの研究室に押しかけて来たの。
そして様々な議論を戦わせながら嵐のように去っていく日々が続いたのよ。
全国の研究者のほとんどが来たんじゃないかしら。
学会で顔を見たことがある程度の偉い研究者の方々と親密になれたのは良かったけどね。
皆さん大変興奮して、この映像のコピーを望まれたわ。
だけどマサルさんとの約束があるから、丁重にお断りしたの。
その代わり、この研究所内にある資料室をいつでも開放して映像を見られるようにしたわ。
それとマサルさんと相談して公開して良い画像は配ることにしたので、連日の騒ぎは10日程でひと段落したかしらね。
「もしもし、ああアスカ君か、この前の映像を見せてもらったよ。わたしなりの調査結果が出たから、今からお話ししたいのだが、こちらに来れないかな?」
考古学の第一人者で学会の重鎮でもあるシュパード教授から連絡が入ったのはマサルさん達が来てからちょうど1カ月後のことだったの。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる