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第8部 ぽんこつMy.HERO
第8話 やられたらやり返す……恩返しだ!
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「――ねぇ、バカなの士狼? アンタの頭は、常にお花畑なの? 年中無休の常夏カーニバルなの?」
「フッ、モテない男子の自意識を舐めるなよ? 優しくされたから惚れてみる、キモイと言われても付きまとう。誰彼かまわず……一目惚れだ!」
「ソレ普通に迷惑なヤツよね?」
学校に到着するなり、芽衣に人気の居ない階段へと連れて行かれて10分少々。
何故か今朝の出来事を知っていた芽衣に、グチグチッ! とお小言を言われ続ける、8時20分。
俺はプルプル!? と身体を震わせつつ、余裕で正座待機しながら、呆れる芽衣の言葉の暴力を一心不乱にその身体に受け止めていた。
「なんであんな分かりきったハニートラップに引っかかるのよ? アンタ、ついこの間も蜂谷さんに騙されたばかりじゃない。その前は鹿目さんにも騙されて……なんなの? 3歩歩いたら忘れちゃう、鳥頭さんなの?」
「……つぅか、何でおまえがそのことを知ってんだよ? まだ誰にも言ってねぇのに」
「……偶然アタシも、あの十字路を通りかかったのよ」
「偶然って……おまえ。芽衣の家からまったくの逆方向じゃねぇか。なんでそんな所に居たんだよ?」
「ま、毎日同じ道じゃ、ツマラナイでしょ!? だから気分を変えて、今日はちょっと遠回りしてみたの! なによ? 文句ある!?」
「めっちゃ逆ギレしてくるじゃん、コイツ……」
いやまぁ、もちろん文句なんかありませんよ?
文句なんかありませんので、その「うぅ~っ!」と低く唸るの、止めてくれます?
爆乳わん娘の【ワンちゃん状態】を思い出すから、ちょっと怖いんだよなぁ、ソレ?
「ごほんっ。でもまぁ、彼女が何を思って、こんな蛮行に走ったのかは、分からなくもないけどね」
「と、言いますと?」
「生徒会長選挙よ、生徒会長選挙。おそらく士狼を籠絡して、自分の味方に引き入れ、コチラの陣営を混乱させようとしているんでしょうね。ほんと、やることがみみっちいわ」
でも、と芽衣は耳まで裂けんばかりにニンマリ♪ と笑い、
「考えようによっては、これはチャンスね」
「チャンス?」
今朝の大和田ちゃんのように、悪い笑みをニチャリ♪ と浮かべる、我らが女神さま。
あぁ……このパターンは、どうせまたロクでもないコトを思いついたんだろうなぁ。
なんて1人諦観していると、芽衣がズビシッ! と俺の鼻先に、その彫刻刀のような人差し指を向けて、こう言った。
「いいこと士狼? アンタ、アタシのスパイになりなさい!」
「はぃっ?」
「だからスパイよ、スパイ! 日本人らしく言うのであれば『間者』ね。間者になって、彼女の陣営に潜りこみ、弱味やら何やらを握ってきなさい!」
「えぇ~?」
俺が不満気な声をあげると、芽衣が急に申し訳なさそうな顔になって「ごめんね?」と謝ってきた。
「そっかぁ。あんな分かりきったハニートラップにすら引っかかる、おバカな士狼には、スパイなんて難しい仕事出来るわけないかぁ。ごめんね? ムリなお願いしちゃって?」
「あぁん!? なんだとこの女!? できらぁ! スパイくらい簡単にできらぁ! ――ハッ!?」
ヤベッ!? と思ったときは、いつもアフターフェスティバル☆
芽衣は「してやったり!」と、ほくそ笑みながら、
「さすが士狼ね! それじゃ大和田さんへのスパイ役、頼むわよ!」
「ちょっ、ちょっと待って芽衣ちゃん!? 今のは言葉の綾ちゃんで!?」
「誰よ『言葉の綾ちゃん』って? 焦り過ぎて、言語中枢がおかしくなってるわよ、アンタ?」
俺がさらに言い募ろうとした矢先、芽衣が「まぁ、待ちなさいな」とばかりに、手のひらを俺の方に向け、言葉を遮ってきた。
「安心しなさい。今回は特別に、成功報酬も用意してあるわ」
「成功報酬? チクショウ……なんかクエストみたいでカッコいいじゃねぇか」
この女、相変わらず俺の男心のツボを的確にスナイプしてきやがる。
おかげで俺の中の好奇心と言う名の化け物が、バキバキチ●ポのごとくムクムクッ! と起き上がってきやがった。
芽衣はワクワク! と言った様子の俺に向かって、ニンマリと笑みを深めながら、
「大和田さんの弱味に繋がるような、有益な情報を手に入れることが出来たら、士狼が喉から手が出るほど欲しいモノをプレゼントしてあげるわ」
「お、俺が喉から手が出るほど欲しいモノ? も、もしかして!? よこたんの生着替え写真集か!? そ、それとも、よこたんのヌード写真――ふがっ!?」
「どれも違うわよ。というか、なんで洋子に関するお願いばかりなのよ……このバカ」
何故かいじけたような不満気たっぷりの表情で、俺の鼻をムギュッ! と摘み上げる女神さま。
そのままガスコンロのスイッチよろしく、90度に回そうとしてくるので、ほんと質が悪い。
ちょっ!? 俺の鼻はそっちには曲がらなイデェェェェェェッ!?
「イダダダダッ!? ごめん、ごめん!? 謝るから離してくださイデデデデデデデッ!?」
「たくっ、どうしてアンタは、そうやってすぐにエッチことを考えるわけ? 思春期か!?」
「思春期だよ?」
ようやく芽衣の魔の手から、俺のイケてるお鼻が解放される。
うぅ、痛かったぁ。
まったく? これで俺の鼻に少しでも傷がついていたら、全国の大神ガールズが泣いているところだぞ?
と、非難がましい瞳を芽衣に向けるが、何故か逆に『じとぉ……』とした瞳を向けられてしまう。
えっ?
なんで俺がそんな責められるような目で見られなきゃいけないわけ?
理不尽すぎない?
「ともかく! 成功報酬はエッチなことじゃないから」
「エロいことじゃないのかぁ……」
「露骨にガッカリするんじゃないわよ……」
芽衣の湿った視線を肌で感じながら、思考を巡らす。
エロくなくて、俺が喉から手が出るほど欲しいモノ?
う~ん、なんだろ?
20個ほどしか思いつかないぞ。
つぅか、エロいモノじゃないなら、別になんでもいいや。
なんてことを考えていると、芽衣はおもむろにポケットからスマホを取り出して、
「もし彼女の有益な情報を入手することが出来たなら、士狼がアタシの胸を揉みし抱いている【例の写真】を、全部削除してあげるわ」
「OK、我が命に代えても」
負けられない戦いが、ここにある。
「フッ、モテない男子の自意識を舐めるなよ? 優しくされたから惚れてみる、キモイと言われても付きまとう。誰彼かまわず……一目惚れだ!」
「ソレ普通に迷惑なヤツよね?」
学校に到着するなり、芽衣に人気の居ない階段へと連れて行かれて10分少々。
何故か今朝の出来事を知っていた芽衣に、グチグチッ! とお小言を言われ続ける、8時20分。
俺はプルプル!? と身体を震わせつつ、余裕で正座待機しながら、呆れる芽衣の言葉の暴力を一心不乱にその身体に受け止めていた。
「なんであんな分かりきったハニートラップに引っかかるのよ? アンタ、ついこの間も蜂谷さんに騙されたばかりじゃない。その前は鹿目さんにも騙されて……なんなの? 3歩歩いたら忘れちゃう、鳥頭さんなの?」
「……つぅか、何でおまえがそのことを知ってんだよ? まだ誰にも言ってねぇのに」
「……偶然アタシも、あの十字路を通りかかったのよ」
「偶然って……おまえ。芽衣の家からまったくの逆方向じゃねぇか。なんでそんな所に居たんだよ?」
「ま、毎日同じ道じゃ、ツマラナイでしょ!? だから気分を変えて、今日はちょっと遠回りしてみたの! なによ? 文句ある!?」
「めっちゃ逆ギレしてくるじゃん、コイツ……」
いやまぁ、もちろん文句なんかありませんよ?
文句なんかありませんので、その「うぅ~っ!」と低く唸るの、止めてくれます?
爆乳わん娘の【ワンちゃん状態】を思い出すから、ちょっと怖いんだよなぁ、ソレ?
「ごほんっ。でもまぁ、彼女が何を思って、こんな蛮行に走ったのかは、分からなくもないけどね」
「と、言いますと?」
「生徒会長選挙よ、生徒会長選挙。おそらく士狼を籠絡して、自分の味方に引き入れ、コチラの陣営を混乱させようとしているんでしょうね。ほんと、やることがみみっちいわ」
でも、と芽衣は耳まで裂けんばかりにニンマリ♪ と笑い、
「考えようによっては、これはチャンスね」
「チャンス?」
今朝の大和田ちゃんのように、悪い笑みをニチャリ♪ と浮かべる、我らが女神さま。
あぁ……このパターンは、どうせまたロクでもないコトを思いついたんだろうなぁ。
なんて1人諦観していると、芽衣がズビシッ! と俺の鼻先に、その彫刻刀のような人差し指を向けて、こう言った。
「いいこと士狼? アンタ、アタシのスパイになりなさい!」
「はぃっ?」
「だからスパイよ、スパイ! 日本人らしく言うのであれば『間者』ね。間者になって、彼女の陣営に潜りこみ、弱味やら何やらを握ってきなさい!」
「えぇ~?」
俺が不満気な声をあげると、芽衣が急に申し訳なさそうな顔になって「ごめんね?」と謝ってきた。
「そっかぁ。あんな分かりきったハニートラップにすら引っかかる、おバカな士狼には、スパイなんて難しい仕事出来るわけないかぁ。ごめんね? ムリなお願いしちゃって?」
「あぁん!? なんだとこの女!? できらぁ! スパイくらい簡単にできらぁ! ――ハッ!?」
ヤベッ!? と思ったときは、いつもアフターフェスティバル☆
芽衣は「してやったり!」と、ほくそ笑みながら、
「さすが士狼ね! それじゃ大和田さんへのスパイ役、頼むわよ!」
「ちょっ、ちょっと待って芽衣ちゃん!? 今のは言葉の綾ちゃんで!?」
「誰よ『言葉の綾ちゃん』って? 焦り過ぎて、言語中枢がおかしくなってるわよ、アンタ?」
俺がさらに言い募ろうとした矢先、芽衣が「まぁ、待ちなさいな」とばかりに、手のひらを俺の方に向け、言葉を遮ってきた。
「安心しなさい。今回は特別に、成功報酬も用意してあるわ」
「成功報酬? チクショウ……なんかクエストみたいでカッコいいじゃねぇか」
この女、相変わらず俺の男心のツボを的確にスナイプしてきやがる。
おかげで俺の中の好奇心と言う名の化け物が、バキバキチ●ポのごとくムクムクッ! と起き上がってきやがった。
芽衣はワクワク! と言った様子の俺に向かって、ニンマリと笑みを深めながら、
「大和田さんの弱味に繋がるような、有益な情報を手に入れることが出来たら、士狼が喉から手が出るほど欲しいモノをプレゼントしてあげるわ」
「お、俺が喉から手が出るほど欲しいモノ? も、もしかして!? よこたんの生着替え写真集か!? そ、それとも、よこたんのヌード写真――ふがっ!?」
「どれも違うわよ。というか、なんで洋子に関するお願いばかりなのよ……このバカ」
何故かいじけたような不満気たっぷりの表情で、俺の鼻をムギュッ! と摘み上げる女神さま。
そのままガスコンロのスイッチよろしく、90度に回そうとしてくるので、ほんと質が悪い。
ちょっ!? 俺の鼻はそっちには曲がらなイデェェェェェェッ!?
「イダダダダッ!? ごめん、ごめん!? 謝るから離してくださイデデデデデデデッ!?」
「たくっ、どうしてアンタは、そうやってすぐにエッチことを考えるわけ? 思春期か!?」
「思春期だよ?」
ようやく芽衣の魔の手から、俺のイケてるお鼻が解放される。
うぅ、痛かったぁ。
まったく? これで俺の鼻に少しでも傷がついていたら、全国の大神ガールズが泣いているところだぞ?
と、非難がましい瞳を芽衣に向けるが、何故か逆に『じとぉ……』とした瞳を向けられてしまう。
えっ?
なんで俺がそんな責められるような目で見られなきゃいけないわけ?
理不尽すぎない?
「ともかく! 成功報酬はエッチなことじゃないから」
「エロいことじゃないのかぁ……」
「露骨にガッカリするんじゃないわよ……」
芽衣の湿った視線を肌で感じながら、思考を巡らす。
エロくなくて、俺が喉から手が出るほど欲しいモノ?
う~ん、なんだろ?
20個ほどしか思いつかないぞ。
つぅか、エロいモノじゃないなら、別になんでもいいや。
なんてことを考えていると、芽衣はおもむろにポケットからスマホを取り出して、
「もし彼女の有益な情報を入手することが出来たなら、士狼がアタシの胸を揉みし抱いている【例の写真】を、全部削除してあげるわ」
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