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最終部 シンデレラボーイはこの『最強』を打ち砕く義務がある!
第12話 士狼、生徒会やめるってよ
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「――この古羊芽衣、一生の不覚です……」
くぅっ!? と顏を歪ませ、珍しく生徒会長席で死んだようにダウンするメイ・コヒツジ。
何とか芽衣の投身自殺を阻止することに成功した、9時間後の生徒会室にて。
今朝の出来事がまだ尾を引いているのか、生きる屍となった芽衣が、仕事もロクに手をつけず、机に突っ伏して「うぅ~、うぅ~」と唸っていた。
そんな芽衣の姿が珍しいのか、元気が驚いたように目をパチクリさせながら、
「古羊はん? 今日は朝からどうしたんや? ずっと唸ってばっかりや。なんか知っとるか、相棒?」
「聞いてやるな、元気。女の子にはな、そういう日もあるんだよ」
「そういう日……あぁっ! なるほどのぅ、もしかして『あの日』か!」
「サルノくんはさ、もう少しデリカシーについて学んだ方がいいと思うなぁ……。そんなんじゃ、シバさんに嫌われちゃうよ?」
「あっ、ちょっと妹はん? 正論でボディを殴らんでくれへんか? 泣きそうになるさかい」
よこたんの悪意のない刃のような言葉が、元気の心を抉る!
叱られた子犬のようにシュンッ!? と肩を落とす元気に「ご、ごめんね!?」と慌ててフォローを入れる爆乳わん娘。
「気にすんな、よこたん。殴られやすいボディをしているコイツが悪いんだから――って、うん?」
俺が同級生2人から視線を切り、再び芽衣の方へと意識を向けると、そこには意地の悪い笑みを顔に張りつけた大和田ちゃんが近づいていた。
大和田ちゃんは取り出したスマホの画面をタップするなり、ソレを芽衣の耳元まで持っていく。
瞬間、再び芽衣が凄まじい勢いで身を起こし、ロケットダッシュの要領で窓から投身自殺を図ろうとして――って、おいっ!?
「待て芽衣! 早まるな!」
「離してっ! 離してください士狼っ!? あんなモノがこの世に存在している世界で、わたしは生きてはいけませんっ!」
慌てて芽衣の腰に抱き着き、なんとか生徒会室の中へと引きずり込む。
そんな俺たちのやり取りを、心底楽しそうに邪悪な笑みを浮かべて見守る大和田ちゃん。
あぁ、そんな『いいオモチャが見つかった!』みたいな顔を浮かべて……。
いや本当、お兄たまソックリでシロウびっくり!
「ちょっ!? やめたげてよ、大和田ちゃん! 今の芽衣ちゃんは童貞のピュアピュアハート並み繊細なんだから! 『取り扱い注意』のあの赤紙が必要なレベルなんだぞ!? 優しくしてあげて、先輩からのお願い!」
「いやぁ、ゴメン、ゴメン。弱ってる会長を見てたら、つい」
てへ♪ と、苺のように真っ赤な舌をチロチロッ! 出す大和田ちゃん。
可愛い♥
きっと大和田ちゃんは好きな子にはイジワルしたくなるタイプの子なんだろうなぁ。
される方は堪ったもんじゃないけどね!
うわぁ、これから絶対に面倒なコトになるじゃ~ん。
よこたんが芽衣を慰めるときくらい面倒なコトになるじゃ~ん。
勘弁してよもぉ~。
――こんこんっ。
「ん? 誰か来たみたい、はぁ~い!」
小気味よいノックの音が生徒会室に木霊し、全員の意識が古びた扉の方へと集中する。
よこたんが「ちょっと待ってくださいねぇ~」と間延びした声をあげながら席から立ち上がり、パタパタッ! とドアの前まで移動する。
そのままゆっくりと扉をあけると、そこにはおさげの髪をした牛乳瓶の底のようなメガネをかけた女子生徒が「失礼します」と一礼してきた。
俺はこの女子生徒を知っている。
そう彼女こそ、森実高校風紀委員長にして、俺の剥き出しのお股のゾウさんに顔面からダイブした勇気ある少女。
その名も――
「ムラタさん! どうしたの、生徒会に用事?」
「はい。今、会長は居られますか?」
「う、うん。あっ、中へどうぞ」
「それでは失礼します」
再び頭をペコリッ! と下げながら、両手いっぱいに抱きかかえた書類を持って、生徒会室の中へと入ってくる村田仁美委員長。
相変わらずTHE・堅物ッ! と言わんばかりに口を一文字に結び、仏頂面のままギョロリッ! と生徒会室を、というより役員たちを一瞥する。
やがてその瞳が俺を捉えると、これでもかと言わんばかりに眉根を寄せる村田委員長。
おっとぉ?
もしかして、俺があまりにイケメン過ぎて見惚れちゃったかぁ?
「お疲れさまです村田さん。わたしに何か用事でしょうか?」
先ほどまでトチ狂っていたのが嘘のように、優雅に会長席に座り村田委員長に微笑む芽衣。
相変わらずスゲェ変わり身の速さだ。
ほんと近くで見ていた大和田ちゃんがドン引きしているじゃないか。
村田委員長は、そんな大和田ちゃんの事などさっさと無視して、芽衣の席まで近づくと、その大量に抱えていた紙束をドンッ! と机の上に置いてみせた。
「? なんですか、コレは?」
「そのまんまの意味です。どうぞ確認の方をよろしくお願いします」
淡々とそう告げる村田委員長に「分かりました」と、いつもの笑みを顔に張り付けながら、紙束の1番上を1枚手に取る芽衣。
そのままソレに視線を落として……笑みを凍らせた。
「メイちゃん?」
「会長?」
「どったんや、古羊はん?」
「……これは一体どういうコトですか、村田さん?」
役員たちの声を無視して、猫を被っているときの芽衣にしては珍しく、鋭い視線を村田委員長にぶつけてみせた。
村田委員長は相変わらず淡々とした声音で、
「ですから、そのまんまの意味です。『了承』のサインをよろしくお願いします」
と言った。
途端に芽衣の眉間にシワが寄る。
おぉっ、マジで珍しいな?
芽衣が人前だというのに、不愉快そうに顔を歪めるのは。
そんな2人のやり取りがやけに気になった俺たち役員は、2人の傍まで近づき、芽衣と同じく紙束の中から1枚拝借し、視線を落とした。
そこには生徒の名前とサイン、それと大きな文字でデカデカとこう記されていた。
――『生徒会役員 大神士狼 解雇願い』と。
「風紀委員長の権限及び、森実高校在校生の過半数の署名により、今ここに生徒会役員『大神士狼』の解雇を申し出ます」
こうして嵐は突然はじまった。
くぅっ!? と顏を歪ませ、珍しく生徒会長席で死んだようにダウンするメイ・コヒツジ。
何とか芽衣の投身自殺を阻止することに成功した、9時間後の生徒会室にて。
今朝の出来事がまだ尾を引いているのか、生きる屍となった芽衣が、仕事もロクに手をつけず、机に突っ伏して「うぅ~、うぅ~」と唸っていた。
そんな芽衣の姿が珍しいのか、元気が驚いたように目をパチクリさせながら、
「古羊はん? 今日は朝からどうしたんや? ずっと唸ってばっかりや。なんか知っとるか、相棒?」
「聞いてやるな、元気。女の子にはな、そういう日もあるんだよ」
「そういう日……あぁっ! なるほどのぅ、もしかして『あの日』か!」
「サルノくんはさ、もう少しデリカシーについて学んだ方がいいと思うなぁ……。そんなんじゃ、シバさんに嫌われちゃうよ?」
「あっ、ちょっと妹はん? 正論でボディを殴らんでくれへんか? 泣きそうになるさかい」
よこたんの悪意のない刃のような言葉が、元気の心を抉る!
叱られた子犬のようにシュンッ!? と肩を落とす元気に「ご、ごめんね!?」と慌ててフォローを入れる爆乳わん娘。
「気にすんな、よこたん。殴られやすいボディをしているコイツが悪いんだから――って、うん?」
俺が同級生2人から視線を切り、再び芽衣の方へと意識を向けると、そこには意地の悪い笑みを顔に張りつけた大和田ちゃんが近づいていた。
大和田ちゃんは取り出したスマホの画面をタップするなり、ソレを芽衣の耳元まで持っていく。
瞬間、再び芽衣が凄まじい勢いで身を起こし、ロケットダッシュの要領で窓から投身自殺を図ろうとして――って、おいっ!?
「待て芽衣! 早まるな!」
「離してっ! 離してください士狼っ!? あんなモノがこの世に存在している世界で、わたしは生きてはいけませんっ!」
慌てて芽衣の腰に抱き着き、なんとか生徒会室の中へと引きずり込む。
そんな俺たちのやり取りを、心底楽しそうに邪悪な笑みを浮かべて見守る大和田ちゃん。
あぁ、そんな『いいオモチャが見つかった!』みたいな顔を浮かべて……。
いや本当、お兄たまソックリでシロウびっくり!
「ちょっ!? やめたげてよ、大和田ちゃん! 今の芽衣ちゃんは童貞のピュアピュアハート並み繊細なんだから! 『取り扱い注意』のあの赤紙が必要なレベルなんだぞ!? 優しくしてあげて、先輩からのお願い!」
「いやぁ、ゴメン、ゴメン。弱ってる会長を見てたら、つい」
てへ♪ と、苺のように真っ赤な舌をチロチロッ! 出す大和田ちゃん。
可愛い♥
きっと大和田ちゃんは好きな子にはイジワルしたくなるタイプの子なんだろうなぁ。
される方は堪ったもんじゃないけどね!
うわぁ、これから絶対に面倒なコトになるじゃ~ん。
よこたんが芽衣を慰めるときくらい面倒なコトになるじゃ~ん。
勘弁してよもぉ~。
――こんこんっ。
「ん? 誰か来たみたい、はぁ~い!」
小気味よいノックの音が生徒会室に木霊し、全員の意識が古びた扉の方へと集中する。
よこたんが「ちょっと待ってくださいねぇ~」と間延びした声をあげながら席から立ち上がり、パタパタッ! とドアの前まで移動する。
そのままゆっくりと扉をあけると、そこにはおさげの髪をした牛乳瓶の底のようなメガネをかけた女子生徒が「失礼します」と一礼してきた。
俺はこの女子生徒を知っている。
そう彼女こそ、森実高校風紀委員長にして、俺の剥き出しのお股のゾウさんに顔面からダイブした勇気ある少女。
その名も――
「ムラタさん! どうしたの、生徒会に用事?」
「はい。今、会長は居られますか?」
「う、うん。あっ、中へどうぞ」
「それでは失礼します」
再び頭をペコリッ! と下げながら、両手いっぱいに抱きかかえた書類を持って、生徒会室の中へと入ってくる村田仁美委員長。
相変わらずTHE・堅物ッ! と言わんばかりに口を一文字に結び、仏頂面のままギョロリッ! と生徒会室を、というより役員たちを一瞥する。
やがてその瞳が俺を捉えると、これでもかと言わんばかりに眉根を寄せる村田委員長。
おっとぉ?
もしかして、俺があまりにイケメン過ぎて見惚れちゃったかぁ?
「お疲れさまです村田さん。わたしに何か用事でしょうか?」
先ほどまでトチ狂っていたのが嘘のように、優雅に会長席に座り村田委員長に微笑む芽衣。
相変わらずスゲェ変わり身の速さだ。
ほんと近くで見ていた大和田ちゃんがドン引きしているじゃないか。
村田委員長は、そんな大和田ちゃんの事などさっさと無視して、芽衣の席まで近づくと、その大量に抱えていた紙束をドンッ! と机の上に置いてみせた。
「? なんですか、コレは?」
「そのまんまの意味です。どうぞ確認の方をよろしくお願いします」
淡々とそう告げる村田委員長に「分かりました」と、いつもの笑みを顔に張り付けながら、紙束の1番上を1枚手に取る芽衣。
そのままソレに視線を落として……笑みを凍らせた。
「メイちゃん?」
「会長?」
「どったんや、古羊はん?」
「……これは一体どういうコトですか、村田さん?」
役員たちの声を無視して、猫を被っているときの芽衣にしては珍しく、鋭い視線を村田委員長にぶつけてみせた。
村田委員長は相変わらず淡々とした声音で、
「ですから、そのまんまの意味です。『了承』のサインをよろしくお願いします」
と言った。
途端に芽衣の眉間にシワが寄る。
おぉっ、マジで珍しいな?
芽衣が人前だというのに、不愉快そうに顔を歪めるのは。
そんな2人のやり取りがやけに気になった俺たち役員は、2人の傍まで近づき、芽衣と同じく紙束の中から1枚拝借し、視線を落とした。
そこには生徒の名前とサイン、それと大きな文字でデカデカとこう記されていた。
――『生徒会役員 大神士狼 解雇願い』と。
「風紀委員長の権限及び、森実高校在校生の過半数の署名により、今ここに生徒会役員『大神士狼』の解雇を申し出ます」
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