みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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最終部 シンデレラボーイはこの『最強』を打ち砕く義務がある!

第18話 いくぞ! これが最後の戦いだ!

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「――まさか33人と互角の勝負をするなんて……。一体どんな体力をしているんですか、このクソムシは?」



 愕然とした表情を浮かべながら、汗だくになって天を仰ぐ俺を見つめてくる、村田委員長。

 そんな俺の周りでは、アマゾンを含むカス共総勢32人が、肩で息をしながら地面へと転がっていた。

 場所は森実駅から徒歩5分の駅前の公園内。

 そこで大我さんを含む33人と俺1人でサッカーをし、縦横無尽に公園内を走り回っていた。

 結果は……まぁ負けてしまったが、それでも我ながらよく善戦したものだと、自分で自分を褒めてあげたくなる。



「ハァ、ハァ、ハァ……ッ!? な、なるほど、確かにこりゃバケモノだな。33人を1人で相手にするとか、お前ほんとに人間か? どういう体力してんだよ?」

「いやぁ、それほどでもあるけどさ!」



 他の奴らと同じく肩で息をしながら、なんとか膝をつかずにギリギリの所で立ち上がっている大我さんに褒められ、ちょっと照れる。

 俺が1人照れ照れと身をよじっていると、死屍累々と転がる男達の間を縫うように、古羊姉妹と大和田ちゃんが、ヒョコヒョコと1試合終えた俺のもとまで歩いてきた。



「相変わらずの体力オバケですね、士狼は」
「ほんと、天から与えられた才能を肉体に極振りし過ぎっしょ……」

「そ、そんな事を言っている場合じゃないよ、2人とも! ど、どうするの!? ししょー、負けちゃったよ!? このままじゃ生徒会を辞めなきゃいけないんだよ!?」

「ふふふっ、副会長の言う通りです。少々驚きましたが、これでコチラが2勝。つまり、この勝負はワタシたちの勝利です!」



 あわわわわっ!? と、右往左往するマイ☆エンジェル。

 そんな爆乳わんとは対照的に、「ふふんっ♪」と牛乳瓶のような厚底メガネをキランッ☆ と輝かせる、村田委員長。

 唇の端がり上がるのを抑えきれないのか、珍しく笑みをこぼす委員長。



「さぁクソムシッ! 約束通り、生徒会役員の座を小鳥遊くんに譲っていただきましょうか?」
「えっ、ナニ言ってんの委員長? ――勝負はこれからじゃないか」

「「「「「はっ?」」」」」



 元気を除くこの場に居る全員がほうけた声をあげ、俺を見据えた。

 俺は「何言ってんだコイツ?」と、疑問符を浮かび上がらせている委員長たちに、さも当然のようにこう言ってやった。



「だって、今までの勝負は『お遊び』でしょ? 次の勝負で勝った奴が、問答無用で生徒会役員になるルールじゃなかったっけ?」

「な、なんという後出し……さすが相棒や!」
「凄まじいまでの手のひら返しですね……今までの勝負は一体?」
「ここまで来たら、逆にもう清々しさすら感じるし」
「も、もう何でもいいや! 頑張れ、ししょーっ!」
「な、なんて諦めの悪い……っ!? いい加減負けを認めて、生徒会役員の座を渡しなさい、このクソムシ!」



 歯茎剥き出しで「シャーッ!」と威嚇してくる、村田委員長。

 そんな彼女に今、割りとディープなキスをして口を塞いでやったら、どんな反応をするだろうか?

 と、俺の中で試してガッテンしてみたくなる気持ちがムクムクッ! とスタンドアップしていると、



「……わかった。その最後の勝負で決着をつけよう」



 呼吸を整え終えた大我さんが、キリッ! とした表情で小さく頷いてくれた。

 た、小鳥遊くん!? と驚く委員長。

 俺はこれ以上委員長が余計なコトを口にする前に、さっさと最後の勝負内容を高らかに宣言した。



「よしっ、それでこそ男だ! 最終決戦の内容、それは……ジャンケンだ! ジャンケンで勝った方が森実生徒会役員だ!」

「……ほんと今までの勝負は何だったんだよ?」

「ちなみに負けた方は、黒マジックでお尻に『おとこ大歓だいかんゲイッ!』もしくは太ももに『正』の字を4つか書いて貰う。もちろん油性でな!」

「流石は相棒やっ! なんて恐ろしい罰ゲームを思いつくんや! ほんとに同じ人間かっ?」
「はぅぅ……っ!? ししょーがまたエッチなコト言ってるよぉ」
「??? なんで『お尻』と『太もも』だし? ラクガキするなら顔じゃないの?」
「大和田さんは気にしなくていいんですよ?」
「このクソムシが……」



 キラキラとしたカスの目で俺を見つめる元気。

 シュボッ! と顏を赤くしたまま「はぅぅ……」と俯いてしまうマイ☆エンジェル。

 意外と我が生徒会役員の中で1番ピュアな大和田ちゃんが首を傾げ、それを芽衣が生温かい眼差まなざしで見守る。

 そして我らが風紀委員長は……ウ●コにいたウジを見るような目で、俺を見下していた。

 なるほどな。

 俺じゃなければ今頃、心が壊れているところだ。



「……あぁ~、何でもいいから早くやろうぜ?」
「よく言った! それでこそ我がライバルだ!」
「……誰がライバルだ、誰が」



 俺は我が親友に向かって「元気、ミュージック・スタート!」と、パチンッ☆ と指を鳴らした。

 瞬間、元気のスマホから軽快な音楽が公園内に木霊した。

 ズンッ♪ チャン♪ ズンズンチャン♪

 ズンッ♪ チャン♪ ズンズンチャン♪



『――や~きゅう~すぅ~るなら♪ こういう具合にしやしゃんせ♪』
「……しかも野球拳かよ」



 辟易へきえきしながら、ノリノリで踊る俺と元気を射抜く大我さん。

 ふふふっ! そのモヤシのごとき身体を、お天道様のもとへとさらけ出させてやるわ!

 いっくぞぉぉぉぉぉぉぉっ!



OUTアウト? SAFEセーフ? よよいのぉ――」
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