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最終部 シンデレラボーイはこの『最強』を打ち砕く義務がある!
第19話 サラバ生徒会! ~『さよなら』だけが人生だ!~
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「――はい、はい。すいません、はい。お騒がせしました……」
もう来るんじゃないぞ? と、青色の服を着こんだ屈強そうなオジさんに見送れらながら、警察署の裏で全裸で解放される俺。
バタンッ! と重々しく閉まっていく扉を見送りながら、ふと振り返ると、俺が公園内で脱ぎ捨てた服を持って待機してくれていた芽衣たちが、「士狼」と駆け足で近づいて来てくれた。
「案外解放されるまでに、けっこう時間が掛かりましたね?」
「大丈夫、ししょー? へ、変な事されなかった?」
「いやぁ、まさかシロパイが裸になった瞬間に、タイミングよく警察が巡回に来るなんてね?もう神様のイタズラとしか思えないイベントだったし」
「ホンマやでぇ! しかも相棒が『逮捕は嫌だあぁぁぁぁぁぁっ!?』って叫びながら、パトカーの後部座席に押し込まれる光景なんて……もうある種の類まれなるセンスを生まれ持った天才の計算なくしては不可能な神の御業としか思えない景色やったでぇ!」
仲間たちの温かい声が耳に優しい。
俺は瞳をうるうるっ! させつつ、芽衣が持っていた俺のパンツを受け取りながら、その場でそっと足を通した。
「ありがとう、みんな。みんなが名乗り出てくれなかったら、俺、危うく前科一犯になるところだったわ」
いやぁ、もうビビるぜ?
5分としないうちに大我さんに野球拳で全敗するは、服は剥かれるは、スッポンポンにさせられるは、警察に全裸で職質されるは、全裸で手錠をかけられるは、全裸のまま白と黒のツートンカラーの車に連行されるはと、もう人生終了の1歩手前までいったもんね。
手首に残る手錠の冷たさとか、俺の肩を掴む警察官の手とか、今思い出しても背筋が震えてくるわ。
まぁ誤解だと分かって貰えたから、こうして解放されてはいるんだけどさ……もう謝罪も何も無いんだぜ、アイツら?
ロクな謝罪もなく、謎の人形を1個くれたまま、全裸で裏から放り出された時は、マジで殺意の波動に目覚めそうになったモノだ。
今なら警察署内で殺意の赴くままに、給料泥棒共を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返しても、世界は俺を許してくれるんじゃないだろうか?
「やっと解放されましたか、クソムシ」
「……もう夕方じゃねぇか。何時間拘束されてんだよ……」
少し離れたところで、やや声を張り上げる村田委員長と大我さん。
絶対に近づかないぞ! という強い意思を感じる。
というか、なんで2人とも変態を見るような目で俺を見てくるのだろうか?
いそいそと服を着直しながら、「はて?」と首を捻る俺。
そんなプリティーでキュートな俺の仕草に胸がトキめいたのか、ピクピクッ!? と頬を痙攣させている委員長が、笑顔で口をひらいた。
「さてクソムシ……いや大神士狼。これで分かったでしょう? 『人望』も『能力』も『運』に至ってさえ、アナタより小鳥遊くんの方が圧倒的に上だということが」
その勝ち誇った笑みに、何も言い返すことが出来ず、俺は「うぅ……」と呻くことしか出来ない。
それが余計に村田委員長の笑みを深めるスパイスとなってしまう。
よこたんと大和田ちゃんが、何か言おうと口を開きかけるが、委員長がソレを制するように片手を挙げて、彼女たちの動きを止めた。
「今さら余計な口出しは無用です。それとも、1度約束しておきながら、反故にしようというのですか? それでも誇り高き森実高校の生徒会役員なんですか?」
うぐぅっ!? と、カエルが潰されたときのような声を口の端から漏らす、爆乳わん娘とプチデビル後輩。
2人は最後の頼みの綱として芽衣を見るのだが……芽衣はゆっくりと首を左右に振った。
「残念ですが、今回ばかりはどうする事も出来ません」
「そ、そんなぁっ!?」
「そ、それじゃシロパイは……」
愕然とする2人と、唇を噛みしめ俯く芽衣。
そんな女性陣の姿を満足そうに眺めながら、村田委員長は大我さんの背中をぽんっ! と叩いた。
「約束通り、今日から小鳥遊大我くんが、大神士狼に代わり生徒会役員になります。みなさん、仲良くしてあげてくださいね♪」
場違いなほど酷く上機嫌な声だけが、全員の耳に重く響く。
村田委員長は『愉快で堪らない❤』といった笑みを隠すことなく、まっすぐ俺だけを見据えると、「今までお疲れ様でした」と初めて俺に優しい言葉をかけてくれた。
「――大神士狼くん。たった今、この瞬間からアナタは……生徒会をクビです♪」
それではアリーヴェデルチ❤ と、ヒラヒラ手を振る委員長。
こうして俺は、アッサリと森実高校生徒会役員の座を追放されたのであった。
もう来るんじゃないぞ? と、青色の服を着こんだ屈強そうなオジさんに見送れらながら、警察署の裏で全裸で解放される俺。
バタンッ! と重々しく閉まっていく扉を見送りながら、ふと振り返ると、俺が公園内で脱ぎ捨てた服を持って待機してくれていた芽衣たちが、「士狼」と駆け足で近づいて来てくれた。
「案外解放されるまでに、けっこう時間が掛かりましたね?」
「大丈夫、ししょー? へ、変な事されなかった?」
「いやぁ、まさかシロパイが裸になった瞬間に、タイミングよく警察が巡回に来るなんてね?もう神様のイタズラとしか思えないイベントだったし」
「ホンマやでぇ! しかも相棒が『逮捕は嫌だあぁぁぁぁぁぁっ!?』って叫びながら、パトカーの後部座席に押し込まれる光景なんて……もうある種の類まれなるセンスを生まれ持った天才の計算なくしては不可能な神の御業としか思えない景色やったでぇ!」
仲間たちの温かい声が耳に優しい。
俺は瞳をうるうるっ! させつつ、芽衣が持っていた俺のパンツを受け取りながら、その場でそっと足を通した。
「ありがとう、みんな。みんなが名乗り出てくれなかったら、俺、危うく前科一犯になるところだったわ」
いやぁ、もうビビるぜ?
5分としないうちに大我さんに野球拳で全敗するは、服は剥かれるは、スッポンポンにさせられるは、警察に全裸で職質されるは、全裸で手錠をかけられるは、全裸のまま白と黒のツートンカラーの車に連行されるはと、もう人生終了の1歩手前までいったもんね。
手首に残る手錠の冷たさとか、俺の肩を掴む警察官の手とか、今思い出しても背筋が震えてくるわ。
まぁ誤解だと分かって貰えたから、こうして解放されてはいるんだけどさ……もう謝罪も何も無いんだぜ、アイツら?
ロクな謝罪もなく、謎の人形を1個くれたまま、全裸で裏から放り出された時は、マジで殺意の波動に目覚めそうになったモノだ。
今なら警察署内で殺意の赴くままに、給料泥棒共を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返しても、世界は俺を許してくれるんじゃないだろうか?
「やっと解放されましたか、クソムシ」
「……もう夕方じゃねぇか。何時間拘束されてんだよ……」
少し離れたところで、やや声を張り上げる村田委員長と大我さん。
絶対に近づかないぞ! という強い意思を感じる。
というか、なんで2人とも変態を見るような目で俺を見てくるのだろうか?
いそいそと服を着直しながら、「はて?」と首を捻る俺。
そんなプリティーでキュートな俺の仕草に胸がトキめいたのか、ピクピクッ!? と頬を痙攣させている委員長が、笑顔で口をひらいた。
「さてクソムシ……いや大神士狼。これで分かったでしょう? 『人望』も『能力』も『運』に至ってさえ、アナタより小鳥遊くんの方が圧倒的に上だということが」
その勝ち誇った笑みに、何も言い返すことが出来ず、俺は「うぅ……」と呻くことしか出来ない。
それが余計に村田委員長の笑みを深めるスパイスとなってしまう。
よこたんと大和田ちゃんが、何か言おうと口を開きかけるが、委員長がソレを制するように片手を挙げて、彼女たちの動きを止めた。
「今さら余計な口出しは無用です。それとも、1度約束しておきながら、反故にしようというのですか? それでも誇り高き森実高校の生徒会役員なんですか?」
うぐぅっ!? と、カエルが潰されたときのような声を口の端から漏らす、爆乳わん娘とプチデビル後輩。
2人は最後の頼みの綱として芽衣を見るのだが……芽衣はゆっくりと首を左右に振った。
「残念ですが、今回ばかりはどうする事も出来ません」
「そ、そんなぁっ!?」
「そ、それじゃシロパイは……」
愕然とする2人と、唇を噛みしめ俯く芽衣。
そんな女性陣の姿を満足そうに眺めながら、村田委員長は大我さんの背中をぽんっ! と叩いた。
「約束通り、今日から小鳥遊大我くんが、大神士狼に代わり生徒会役員になります。みなさん、仲良くしてあげてくださいね♪」
場違いなほど酷く上機嫌な声だけが、全員の耳に重く響く。
村田委員長は『愉快で堪らない❤』といった笑みを隠すことなく、まっすぐ俺だけを見据えると、「今までお疲れ様でした」と初めて俺に優しい言葉をかけてくれた。
「――大神士狼くん。たった今、この瞬間からアナタは……生徒会をクビです♪」
それではアリーヴェデルチ❤ と、ヒラヒラ手を振る委員長。
こうして俺は、アッサリと森実高校生徒会役員の座を追放されたのであった。
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