みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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真・最終部 みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

第23話 アナタに『恋』したドブネズミより ~たくさんの『愛』をこめて~

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 信菜は豆粒のように小さくなっていく士狼の背中へ、いつまでも声をかけ続けた。

 そして士狼の姿が完全に視界から外れるなり、「ふぅ~」と一仕事終えたサンタのような気分で、大きく息を吐き捨てた。



「はぁ~、やっと行った、やっと行った。ほんっっっと、世話の焼ける先輩達だこと」



 疲れた、疲れた! と、コキコキ肩を鳴らす信菜。

 そんな信菜の背後で、いつの間にか帰ってきていた鷹野が「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」と悲鳴にも似た声をあげて、号泣していた。



「行っちゃダメや、喧嘩狼ぃぃぃぃぃっ!? カムバック・キンタマァァァァァァッ!?」
「タカさん……さすがに大神様を『金玉』呼ばわりするのは、どうかと思いますよ?」



 世界三大瀑布ばくふに匹敵する水量の涙をこぼすハードゲイに、冷静にツッコム信愛。

 相変わらず何やってだか……と、2人を呆れた目で眺めていた信菜。

 そんな妹の冷たい視線を無視して、実兄じっけいは彼女の隣まで移動した。

 信愛は制服のポケットから洗い立てのハンカチを取り出すと、そっと可愛い妹の方へと差し出した。

 信菜は兄から差し出されたハンカチをマジマジと見下ろしながら、はて? と首を捻った?



「えっ? なにコレ、お兄ちゃん?」
「いえ、そろそろ必要になる頃かなと思いましてね」
「??? 別にハンカチなら自分のを――」



 持ってるけど? そう彼女が口にするよりも早く、信愛は可愛い妹の肩を叩いて、こう言った。



「よく我慢しましたね? 流石はお兄ちゃんの妹です。……でも、もう我慢しなくていいんですよ?」
「~~~~~~~ッ!?」



 瞬間、今の今までギリギリの所で食い止めていた信菜の感情のダムが、一気に決壊した。



「な、なにを言って、るし……?」
「1人でよく頑張りましたね、信菜さん」
「だ、だから……なにを言って……くぅっ!?」



 何とか気丈きじょうに振る舞おうとしたが、もうダメだった。

 気がつくと、暴れ狂う感情が涙の奔流ほんりゅうとなって、瞳からハラハラとこぼれ落ちていった。



「あぁっ……あぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァ~~~~ッ!?」



 溢れ出た想いが嗚咽おえつとなって、我先にと彼女の桃色の唇から飛び出していく。

 聞いているだけでコチラが悲しくなってくる彼女の慟哭どうこくを、信愛は身に染みこませながら、妹の身体を優しく抱きしめた。

 信菜はそんな兄に身体を預け、無我夢中で愛しの人の名を叫び続ける。



「シロパイッ! シロパイ、シロパイ! あぁぁぁぁァァァァァァ――ッ!」



 もう届かない事は分かっている。

 それでも信菜は、喉が枯れるまで叫び続けた。

 バカな事をしたなと、自分でも思っている。

 それでも不思議と後悔はない。

 その損得勘定を抜きにして、他人のために、愛しの人のために行動する彼女の姿は、どこぞの『おバカなリーゼント野郎』と同じ姿だった。

 後悔は……ない。

 無いハズなのに……



「胸が……痛い。痛いよぉ、お兄ちゃん……ッ」



 今にも張り裂けんばかりに痛む、彼女の胸。

 そんな苦しむ妹を、ほんの少しだけ力強く抱きしめ、彼は言った。



「……信菜さんは『恋』をしたのですね」
「~~~~ッ!? うぁっ、あぁっ、あぁぁぁぁァァァァァ――ッ!?!?」



 ――その日、森実高校へと続く坂の上で。

 初めての『恋』を知り、初めての『失恋』を経験した、気高きドブネズミの咆哮ほうこうが、優しく世界を包み込んだ。
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