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第15話:束の間の逢瀬
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ヴィンセントの真っ直ぐな想いに根負けしたトゥリアは、彼を受け入れる事にした。
「本当に仕方のない子だね」
「あの日、貴女に心奪われたから僕は生きてこれた…愛しているのです」
誰よりも、何よりも。
その想いだけでここまで来たのだから。
唇を重ね、肌を重ね。
ヴィンセントにとっての幸福な時間は、その後十年ほど続いた。
人間にとっては長くも感じる十年、しかしトゥリアからすれば人生の中で僅かな時間。
念願叶ってトゥリアと濃厚な時間を過ごせたヴィンセントにとっても、それは過ぎてしまうとあっという間であった。
月に一度は森を訪れトゥリアと過ごしてきた、ある日。
「…もう会えない」
トゥリアが告げた一言に、ヴィンセントは衝撃を受ける。
「何故ですか?」
最後は食べてくれる約束のはず、そう問いかけるヴィンセント。
トゥリアの答えは、予想を超えるものだった。
「…子供ができた」
自分が母になることはない、そう思っていたのに。
その胎内に芽生えてしまった命に気づいたトゥリアは、別れを決めたのだ。
「子供!?僕とトゥリアさんの?」
「他に誰が居るって言うんだい」
「なら何故、もう会えないなんて言うんですか」
子供ができたからさようならなんて、ヴィンセントが納得するはずもない。
「あたしらとあんたとでは生きる長さが違う。魔女に父親は必要ないのさ」
トゥリア自身にも父親の記憶はない。
代々女にだけ受け継がれる『魔女の力』は、母と娘だけの暮らしの中で守られてきたのだ。
「僕も一緒に育てたい、子供に会いたい。貴女一人に背負わせるなんて出来るはずない!」
「ヴィンセント…あんたは残りの人生を王として生きるんだよ。この子の父親である必要はないんだ」
家族の元へお帰り、と言うトゥリアにヴィンセントは首を振る。
「嫌です、僕も一緒に育てます!最後の時まで一緒に居させてください」
「ヴィンセント…」
トゥリアには迷いがあった。
魔女は子供ができにくい体質のため、腹の子を堕ろすという選択肢はない。
しかしヴィンセントと共に歩む人生というのも考えられなかったのだ。
彼を森から追い出し、二度とここは辿り着けないように森に頼むか。
それとも記憶操作の薬を使うか…ヴィンセントの性格からして、トゥリアの事を覚えたまま余生を過ごすのは酷というもの。
ならば忘れさせてしまった方が彼のためだ、そうは思ってもトゥリアは躊躇う。
(あたしのことを忘れないで欲しいなんて。こんな我儘な事を思うようになっちまうとはね)
トゥリアの出した結論は…
「本当に仕方のない子だね」
「あの日、貴女に心奪われたから僕は生きてこれた…愛しているのです」
誰よりも、何よりも。
その想いだけでここまで来たのだから。
唇を重ね、肌を重ね。
ヴィンセントにとっての幸福な時間は、その後十年ほど続いた。
人間にとっては長くも感じる十年、しかしトゥリアからすれば人生の中で僅かな時間。
念願叶ってトゥリアと濃厚な時間を過ごせたヴィンセントにとっても、それは過ぎてしまうとあっという間であった。
月に一度は森を訪れトゥリアと過ごしてきた、ある日。
「…もう会えない」
トゥリアが告げた一言に、ヴィンセントは衝撃を受ける。
「何故ですか?」
最後は食べてくれる約束のはず、そう問いかけるヴィンセント。
トゥリアの答えは、予想を超えるものだった。
「…子供ができた」
自分が母になることはない、そう思っていたのに。
その胎内に芽生えてしまった命に気づいたトゥリアは、別れを決めたのだ。
「子供!?僕とトゥリアさんの?」
「他に誰が居るって言うんだい」
「なら何故、もう会えないなんて言うんですか」
子供ができたからさようならなんて、ヴィンセントが納得するはずもない。
「あたしらとあんたとでは生きる長さが違う。魔女に父親は必要ないのさ」
トゥリア自身にも父親の記憶はない。
代々女にだけ受け継がれる『魔女の力』は、母と娘だけの暮らしの中で守られてきたのだ。
「僕も一緒に育てたい、子供に会いたい。貴女一人に背負わせるなんて出来るはずない!」
「ヴィンセント…あんたは残りの人生を王として生きるんだよ。この子の父親である必要はないんだ」
家族の元へお帰り、と言うトゥリアにヴィンセントは首を振る。
「嫌です、僕も一緒に育てます!最後の時まで一緒に居させてください」
「ヴィンセント…」
トゥリアには迷いがあった。
魔女は子供ができにくい体質のため、腹の子を堕ろすという選択肢はない。
しかしヴィンセントと共に歩む人生というのも考えられなかったのだ。
彼を森から追い出し、二度とここは辿り着けないように森に頼むか。
それとも記憶操作の薬を使うか…ヴィンセントの性格からして、トゥリアの事を覚えたまま余生を過ごすのは酷というもの。
ならば忘れさせてしまった方が彼のためだ、そうは思ってもトゥリアは躊躇う。
(あたしのことを忘れないで欲しいなんて。こんな我儘な事を思うようになっちまうとはね)
トゥリアの出した結論は…
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