少年王は妖艶な妃に恋をする

歌龍吟伶

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第7話

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夜になり、リラフィアはイルヴィンドの帰りを待っていた。

先に食べていてと伝言があったが、夕飯に手をつけず背筋を伸ばして座っている。


「…王妃様、作り直して参りましょうか」


侍従の申し出にも首を振った。


「いいえ、このままで構わないわ。勿体無いもの」


「ですが…」


王妃に冷めた食事をさせるなどあり得ない…侍従たちが戸惑っていると、イルヴィンドが帰ってきた。

ガチャリ


「ただいまー…あれっ、まだ食べてなかったの?」


手付かずの食事に驚くイルヴィンドを、


「おかえりなさいませ、陛下。」


リラフィアが笑顔で出迎える。


「お疲れでございましょう、先に湯殿ゆどのに浸かられますか?」


「あ、うん…でもご飯冷めちゃってるでしょ?リラフィアもお腹すいてるんじゃない?待ってなくて良かったのに」


結婚以来、どんなに帰りが遅くなってもリラフィアはイルヴィンドを待っているのだ。

王妃として当然だと言うが、イルヴィンドは心苦しかった。


「わたくしのことはご心配なさらず。陛下のお食事は出来立てを用意させますわ」


「え、いいよ僕も冷めてるやつで!リラフィアにだけ食べさせられないよ」


慌ただしく支度をしようとする侍従たちを止め、材料が無駄になるならみんなで食べるよう伝える。

そしてリラフィアに申し訳なく思いつつ湯殿に向かうイルヴィンドであった。


(…イルヴィンドに気を使わせてしまったわ。わたくしが待っているとイルヴィンドまで冷たいご飯になってしまうのね)


彼には少しでもいい暮らしをして欲しいのに。

明日からは食事の支度を遅くさせようと決めるリラフィアであった。

そしてお風呂を済ませたイルヴィンドとリラフィアは、2人で食卓に着く。


「ごめんねいつも待たせちゃって」


「陛下が謝ることでは御座いませんわ」


「今日は何をしていたの?」


なるべく会話をする。

それは2人で決めた約束事の1つだ。

少しでも早く慣れてもらうためにリラフィアが提案し、イルヴィンドも打ち解けたい気持ちはあるため同意した。

職務に追われて代わり映えのない日々だが、イルヴィンドは懸命に話題を探して会話するよう心がける。


「本日は長官たちのご婦人方とお茶会をしました」


「そっか、ライラも一緒?」


リラフィアの友人であり、自身の近衛騎士隊長の妻となったライラ。

イルヴィンドも何度かあったことがある。


「ええ、お茶会後に自室でもお喋りしましたの」


誰にどんな嫌味を言われたとか、誰が不穏な動きをしているとか、そういう事は伝えない。

イルヴィンドに余計な仕事を増やさない、リラフィアはそう決めていつも独断で動いてきた。
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