20 / 56
第20話
しおりを挟む
リラフィアは苛立ちに任せて話し続ける。
「レミリア嬢の王子様は陛下でございましょう、お歳も近いですしお若いですし、側室として相応しいのでは?」
「な、なに言ってるの?レミリアとはそんなんじゃないよ、そりゃ確かに前は結婚するのかもって思ってたけど」
「わたくしが居なければ、父が無理にわたくしを推薦しなければ、お二人は結ばれていた筈です」
自分でも何を言っているのか分からない…こんな事は初めてだった。
リラフィアがイルヴィンドの顔を見られなくなっていると、彼は大きく息を吸って真剣な顔になる。
「…リラフィア、よく聞いて。」
聞きたくない。
耳を塞ぎたい衝動に駆られるリラフィアの手をイルヴィンドが握る。
「…あのね、僕のお嫁さんはリラフィアだけだよ」
イルヴィンドは彼女を真っ直ぐ見つめ、はっきり伝えた。
「側室なんて考えたこともない。そんなの要らないもん…」
母亡き後の父は狂ってしまった…母の痕跡を消し、すぐに後妻も側室も迎えて。
しかしイルヴィンド意外に子供を儲ける事は遂に無く、記憶にある限り父はいつも苛立たしげに自分を見ていた。
「父上は母上を愛してた…だからこそ失った穴が大きすぎて他の人を求めたんだと思う」
心から愛する人を失う辛さはリラフィアも嫌というほど分かる。
動揺を見せるリラフィアに、イルヴィンドは笑顔で言った。
「リラフィア言ってくれたよね、夫婦内恋愛しましょうって。僕はまだ大人になれてないけど、頑張りたいと思ってるんだよ」
不安げに揺れるリラフィアの瞳をしっかり見つめ、安心させようとその頬を撫でるイルヴィンド。
「リラフィアとだから頑張れる。僕は君の自慢の夫になりたいんだ」
イルヴィンドはそこまで言うとリラフィアの頬に軽く口付けをし、一気に恥ずかしくなって手を離した。
「…申し訳ございませんでした」
リラフィアも恥ずかしくて堪らなくなり顔を背ける。
(わたくしとしたことが…なんてこと言ってしまったのかしら。きっと酷い顔をしているわ)
勘違いで嫉妬するなんて自分らしくもない、そんな自分が信じられない。
「あ、そうだ…レミリアが言う王子様っていうのはね、物語の中みたいな白馬に乗ったかっこよくて頼れる勇者みたいな人のことなの」
昔からレミリアが夢見ている理想の王子様についてイルヴィンドから説明され、リラフィアは少し笑ってしまった。
可愛らしい少女の夢、それは昔の自分にとっての亡き恋人のようで。
きちんと話をすれば仲良くなれるかも知れないなと思うリラフィア。
ぎこちない夫婦はその夜、手を握りあって眠りについたのであった。
「レミリア嬢の王子様は陛下でございましょう、お歳も近いですしお若いですし、側室として相応しいのでは?」
「な、なに言ってるの?レミリアとはそんなんじゃないよ、そりゃ確かに前は結婚するのかもって思ってたけど」
「わたくしが居なければ、父が無理にわたくしを推薦しなければ、お二人は結ばれていた筈です」
自分でも何を言っているのか分からない…こんな事は初めてだった。
リラフィアがイルヴィンドの顔を見られなくなっていると、彼は大きく息を吸って真剣な顔になる。
「…リラフィア、よく聞いて。」
聞きたくない。
耳を塞ぎたい衝動に駆られるリラフィアの手をイルヴィンドが握る。
「…あのね、僕のお嫁さんはリラフィアだけだよ」
イルヴィンドは彼女を真っ直ぐ見つめ、はっきり伝えた。
「側室なんて考えたこともない。そんなの要らないもん…」
母亡き後の父は狂ってしまった…母の痕跡を消し、すぐに後妻も側室も迎えて。
しかしイルヴィンド意外に子供を儲ける事は遂に無く、記憶にある限り父はいつも苛立たしげに自分を見ていた。
「父上は母上を愛してた…だからこそ失った穴が大きすぎて他の人を求めたんだと思う」
心から愛する人を失う辛さはリラフィアも嫌というほど分かる。
動揺を見せるリラフィアに、イルヴィンドは笑顔で言った。
「リラフィア言ってくれたよね、夫婦内恋愛しましょうって。僕はまだ大人になれてないけど、頑張りたいと思ってるんだよ」
不安げに揺れるリラフィアの瞳をしっかり見つめ、安心させようとその頬を撫でるイルヴィンド。
「リラフィアとだから頑張れる。僕は君の自慢の夫になりたいんだ」
イルヴィンドはそこまで言うとリラフィアの頬に軽く口付けをし、一気に恥ずかしくなって手を離した。
「…申し訳ございませんでした」
リラフィアも恥ずかしくて堪らなくなり顔を背ける。
(わたくしとしたことが…なんてこと言ってしまったのかしら。きっと酷い顔をしているわ)
勘違いで嫉妬するなんて自分らしくもない、そんな自分が信じられない。
「あ、そうだ…レミリアが言う王子様っていうのはね、物語の中みたいな白馬に乗ったかっこよくて頼れる勇者みたいな人のことなの」
昔からレミリアが夢見ている理想の王子様についてイルヴィンドから説明され、リラフィアは少し笑ってしまった。
可愛らしい少女の夢、それは昔の自分にとっての亡き恋人のようで。
きちんと話をすれば仲良くなれるかも知れないなと思うリラフィア。
ぎこちない夫婦はその夜、手を握りあって眠りについたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気がつけば異世界
蝋梅
恋愛
芹沢 ゆら(27)は、いつものように事務仕事を終え帰宅してみれば、母に小さい段ボールの箱を渡される。
それは、つい最近亡くなった骨董屋を営んでいた叔父からの品だった。
その段ボールから最後に取り出した小さなオルゴールの箱の中には指輪が1つ。やっと合う小指にはめてみたら、部屋にいたはずが円柱のてっぺんにいた。
これは現実なのだろうか?
私は、まだ事の重大さに気づいていなかった。
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる