少年王は妖艶な妃に恋をする

歌龍吟伶

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第30話

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玉座の横に立ち見下ろしてくるリラフィアを、メラニーは鬼のような形相で睨みつけた。


「不正の証拠など、あり得ませんわ!不正などしてませんもの!」


「信用できる証言も得られています」


誰が、とは言わなかったがメラニーはミリスが口を割ったのだと気づく。


「あの女が何か言ったのですか?そんなもの証拠になりません!」


「あの女、とは誰のことを指しているのでしょう」


「領主のミリスに決まってます!」


「領主をあの女呼ばわりですか」


リラフィアのため息混じりの苦言にも神経を逆撫でされ、メラニーの暴走は止まらない。


「だいたい、一体何をお調べになっていたとおっしゃるのですか?」


メラニーはニヤリと笑った。


「私知ってますのよ、貴女様が陛下の目を盗んで汚らしい男と密会していたのを!」


まさかメラニーに見張られていたとは思わなかったと表情を曇らせるリラフィア、その顔を見てメラニーは勝ち誇った顔で胸を張る。


「お世継ぎもまだだというのに、他の男と通じているなんて!これは一大事ですわ!」


「部下と仕事の話をしていただけです。ライラ夫人も一緒でしたし」


入り口で待機していたライラも、その通りだと声を上げた。


「ではどのような人物とどのような話をしていたのか、陛下に報告してらっしゃるのかしら?」


「…いいえ」


イルヴィンドには全てが終わってから報告するつもりだったため、面会の許可などは取っていない。

それを不貞行為だと言われればリラフィアに不利だった。


「陛下に言えないような関係の男と会っていた、そうお認めになるのね!」


そうメラニーが叫んだ時、


「何の騒ぎ?」


イルヴィンドが現れた。

メラニーの周囲には取り巻きたちが集まっているが、リラフィアはライラを側に置くこともなく一人で玉座の横に立っている状況。

イルヴィンドはグルリと室内を見渡すと、ゆっくり玉座に向かって歩き出す。


「陛下!王妃様の不貞行為を進言いたします!」


穏やかではない発言に、宰相ケネスが眉を寄せる。

しかしイルヴィンドは足を止めず、玉座への階段を登るとリラフィアの前に立った。


「陛下、わたくし…」


不貞などしていない、そう言おうとするリラフィアを制してイルヴィンドは振り向き、


「メラニー・ディラン、其方そなたの主張を聞こう」


発言権を与える。

国王がその背中でさり気なく王妃を庇っていることに気付かず、メラニーは生き生きとした顔で先程の主張を繰り返した。

メラニーの話を静かに聞くイルヴィンド。

後ろにいるリラフィアからは表情が窺えない。

しかし宰相やライラは、彼がいつもと違う事に気づいていた。
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