少年王は妖艶な妃に恋をする

歌龍吟伶

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第48話

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定例貴族会議。

予算についてなど財務関係の話が進む中、アドラー侯爵が手を挙げた。


「陛下。お世継ぎに関してなのですが」


(う、来た…)


イルヴィンドは嫌な顔をしないよう気を引き締め、アドラー侯爵に発言権を与える。


「意見があるならば聞こう」


最近ではリラフィアがそばに居なくても国王らしく振る舞えるようになってきたイルヴィンド。

若すぎる王に不安を抱いていた貴族たちからの支持も得られるようになってきている。


「ご即位から3年、ご成婚からも2年近く経ちます。そろそろお世継ぎに関してのお考えをお聞かせいただきたい」


「考えも何も、その件は時の流れも必要だと申したはずだが」


会議のたびに急かされ、何度も理解を求めてきた。

イルヴィンドの年齢のこともあり、多くの貴族は理解を示してくれたのだがアドラー侯爵は納得しないうちの一人。


「時の流れとおっしゃいますが、現在王家の血を引くものは陛下ただお一人。万が一のことがあった場合、直系の血が絶える恐れがあるのですよ」


縁起でもない話だが、立場上仕方ないのも理解している。

イルヴィンドは小さく息を吐く。


「心配をかけていることはすまないと思う。だが、言われて簡単に子供を授かるという話でもないだろう」


未だに手が出せない話はしないでくれと願いながら、王として精一杯振る舞うイルヴィンド。

しかし、


「ですが陛下、お言葉ですがお二人は未だに清い身であるとか」


恋人がいたリラフィアの事も清い身と表現したのはアドラーなりの嫌味だったのだが、女官長を妻に持つアドラーの発言によりそれが事実であると周囲は認識する。

気弱な王が手を出せていないという噂はあったが、普段城内に居ない貴族達は噂話として聞いていただけだったのだ。


「そ、それは…」


一気に普段のイルヴィンドに戻りそうになる、すかさず宰相ケネスが助け舟を出した。


「アドラー侯爵、発言を謹んでください」


「これは重大な問題なのです、誰も意見をせずなあなあにしていい話ではないでしょう」


だから自分が心を鬼にして苦言を呈しているのだ、と胸を張るアドラー侯爵。

ざわめきが生まれる中、それまで黙っていたイルガ公爵が口を開く。


「これは両陛下の問題だ、我々といえども口を出すべきではない。焦るのは時期早々だろう」


アーノルド・イルガ公爵。

先王が兄と慕うほど親しかった人物で、イルヴィンドのことは生まれた時から見守ってきた。

即位後からずっと王家に次ぐ権力を持つ公爵家が後ろ盾になっているため、表立ってイルヴィンドを批判するものが少なかったのだ。
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