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第49話
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「イルガ公爵、悠長なことを言っていても時の流れは止められないのですよ」
アドラー侯爵は食い下がる。
「王妃様は大変優秀な方だと伺っております。だからこそ、この際王妃様にはしばらく公務に専念していただき、側室を迎える事をお考え頂きたいのです」
子供ができないのは王妃が国政に口出しするからだ、そう言いたい様子のアドラー。
黙っているわけにいかずイルヴィンドも反論する。
「ジョン・アドラーよ、王妃に責任があるとでもいうのか?」
「いいえ、そのようなことは」
「たとえこの場の全員が側室に賛成し候補者を連れてきたとしても、私は受け入れない」
もうこの話は終わりだ、そう言ってイルヴィンドは席を立つ。
アドラーは納得していないが渋々立ち上がり、参加者らはイルヴィンドに頭を下げ退室を見送った。
「…困ったものだ」
大袈裟に肩をすくめるアドラーに、数人の貴族が寄っていく。
「いやはや、まだまだ子供ですな」
「アドラー侯爵の親心をご理解いただけない様子」
そんな彼らに冷たい視線を送り、イルガ公爵は部屋を後にする。
(あやつらの爵位を残したのは間違いだったか)
前宰相バルカンの裏切りによる粛清で、子爵は入れ替わったのだがアドラー侯爵は地位を守っていた。
(イルヴィンドを守る、それはあいつの最後の願い…あいつとの最後の約束なのだ)
先王アルヴィオを思い浮かべ、イルガ公爵は空を見上げる。
急に寝台から起きられなくなったアルヴィオに呼ばれて話をした時、彼はバルカンの裏切りを察している様子だった。
その魔の手がイルヴィンドに迫る事だけは避けたいと、震える手を伸ばしてきた時の事は一生忘れないだろう。
最愛の妻を亡くして心を壊したアルヴィオは、イルヴィンドを遠ざけた。
しかし息子への愛を失ったわけではなかったのだ。
常に気にかけていたが、亡き妻の面影を色濃く残すイルヴィンドの顔が見られない。
アルヴィオは悩み苦しみ、悲しみに支配され逃れられなくなっていた。
弟のように思っていたアルヴィオの忘れ形見であるイルヴィンドを思い、イルガはリラフィアへの謁見を申し込んだ。
(イルヴィンドを最も近くで守れるのは王妃だ…しかしその王妃のことも守らなくては)
二人の距離が縮まっているという嬉しい噂を耳にする機会が増えた、それを喜んでいる一人であるイルガ。
王妃に何かあれば、あの若き王もまた父のように壊れてしまう…なによりも恐れている事態。
アドラーが大人しく引き下がるはずはない、そう確信しリラフィアの元へと向かうのであった。
アドラー侯爵は食い下がる。
「王妃様は大変優秀な方だと伺っております。だからこそ、この際王妃様にはしばらく公務に専念していただき、側室を迎える事をお考え頂きたいのです」
子供ができないのは王妃が国政に口出しするからだ、そう言いたい様子のアドラー。
黙っているわけにいかずイルヴィンドも反論する。
「ジョン・アドラーよ、王妃に責任があるとでもいうのか?」
「いいえ、そのようなことは」
「たとえこの場の全員が側室に賛成し候補者を連れてきたとしても、私は受け入れない」
もうこの話は終わりだ、そう言ってイルヴィンドは席を立つ。
アドラーは納得していないが渋々立ち上がり、参加者らはイルヴィンドに頭を下げ退室を見送った。
「…困ったものだ」
大袈裟に肩をすくめるアドラーに、数人の貴族が寄っていく。
「いやはや、まだまだ子供ですな」
「アドラー侯爵の親心をご理解いただけない様子」
そんな彼らに冷たい視線を送り、イルガ公爵は部屋を後にする。
(あやつらの爵位を残したのは間違いだったか)
前宰相バルカンの裏切りによる粛清で、子爵は入れ替わったのだがアドラー侯爵は地位を守っていた。
(イルヴィンドを守る、それはあいつの最後の願い…あいつとの最後の約束なのだ)
先王アルヴィオを思い浮かべ、イルガ公爵は空を見上げる。
急に寝台から起きられなくなったアルヴィオに呼ばれて話をした時、彼はバルカンの裏切りを察している様子だった。
その魔の手がイルヴィンドに迫る事だけは避けたいと、震える手を伸ばしてきた時の事は一生忘れないだろう。
最愛の妻を亡くして心を壊したアルヴィオは、イルヴィンドを遠ざけた。
しかし息子への愛を失ったわけではなかったのだ。
常に気にかけていたが、亡き妻の面影を色濃く残すイルヴィンドの顔が見られない。
アルヴィオは悩み苦しみ、悲しみに支配され逃れられなくなっていた。
弟のように思っていたアルヴィオの忘れ形見であるイルヴィンドを思い、イルガはリラフィアへの謁見を申し込んだ。
(イルヴィンドを最も近くで守れるのは王妃だ…しかしその王妃のことも守らなくては)
二人の距離が縮まっているという嬉しい噂を耳にする機会が増えた、それを喜んでいる一人であるイルガ。
王妃に何かあれば、あの若き王もまた父のように壊れてしまう…なによりも恐れている事態。
アドラーが大人しく引き下がるはずはない、そう確信しリラフィアの元へと向かうのであった。
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