少年王は妖艶な妃に恋をする

歌龍吟伶

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第51話

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西方領土へ続く山道付近。


「そろそろか?」


「時間通りならもうすぐ通るはずだな」


マーサに雇われた殺し屋達は、山道の上の方に待機しリラフィア一行を待っていた。

護衛の数は前後に分かれて合わせて四十人ほど、正面から襲っても返り討ちにされるだけ。

ならばと上から岩を落とす作戦だ。


「崖崩れに巻き込まれて事故死…これなら俺たちが追われることもないしな」


「良い作戦だよな、こんなんでがっぽり金貰えるなんてな!」


彼らは成功後の大金を想像し笑いが止まらなかった。

前金は無事受け取っている、雇い主が金を払う事は間違いなさそうだ。


「しかし王妃ってのはとんでもなく美人なんだろう?ただ殺しちまうのはもったいねえよな」


「隙がありゃ攫ってタノシイコトしたいんだけどな」


男達が下卑た笑いを浮かべる中、リラフィアを乗せた馬車が見えてきた。


「お、あれだな…豪華な馬車に乗りやがって」


「護衛どもも良い服着てやがる」


「やっぱよ、ちーっと痛い目に遭ってもらおうぜ」


欲が優先した愚かな男達は、急遽予定を変更し岩を落とすタイミングを変える。

馬車だけを狙う予定だったのを止め、先頭をいく護衛たちに当たるよう早めに岩を落とした。


「退避ー!!」


大きな岩が複数転がり落ちてくることに気づいた騎士たちの列が乱れ、馬車も止まる。

王妃が乗るのは二台ある馬車の一台目のはず、そう聞いていた殺し屋たちは二台目の馬車目掛けて次の岩を転がした。

身軽に動かない馬車は避けきれず、岩の直撃を受けた馬車馬が飛び上がりながら馬車ごと落下する。

女官らが乗っているはずの馬車は崖下へと消えた。

大きな岩が上手い具合に道を塞ぎ、後方の護衛達の行手を塞ぎ王妃の馬車を守るのは先頭の騎士達だけ。


「ひひひっ、これはチャンスだな」


「運が俺たちに味方してるぜ」


上手くいったと喜びながら、殺し屋達は下へ降りる。

騎士の数は十人、男達は三十人。

何度も殺しの依頼を成功させてきた彼らは自信があった。


「よー、ちょっとそこの馬車に用があるんだが」


「何だ貴様ら、我らが誰か分かっていての狼藉ろうぜきか!」


「もちろんわかってるぜ、王妃様をよこして貰おうか」


「俺たちと楽しく遊ぼうぜー」


騎士達は剣を構え馬車を守る体勢を取る。


「無礼者!」


「全員叩き切ってやる!」


「へへへっ、後ろのお仲間さんは来れないぜー?」


「こちとら何人も殺してきてるんだ、いくら騎士様でも俺たちに勝てるかな」


騎士と殺し屋達が睨み合う中、馬車のドアが開き男達の意識がそちらへ向いた。
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