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第54話
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「貴女の企みには気づいていました」
マーサはリラフィアが好む紅茶に不妊の薬を仕込み、他の貴族の名で送っていた。
しかしリラフィアは、何度か茶会で会ったものの合わないと感じて距離を縮めなかった婦人の名で送られてきた物を不審に思い、最初から調べていたのだ。
その送り主がマーサであると突き止めてからずっと警戒していたところに今回の事件。
イルヴィンドが彼女を厳しく罰したくないようだからと様子を見ていたが、さすがに限度を超えている。
「知っていた、ですって?」
「ええ、最初に送られてきた時からおかしいと思いましたもの。だから一口も飲んでおりませんわよ」
呆然とするマーサ。
無事とはいえ毒を盛られていた事など初耳だったイルヴィンドは、リラフィアに駆け寄った。
「ちょっと待って初めて聞いたよ?そんな危険な目に遭ってたなら教えてよ!」
「申し訳ございません陛下、陛下はマーサを許したいようでしたので伝えるかどうか迷っていたのです」
「う…でもリラフィアのほうが大事だからね?!」
微笑みで誤魔化そうとするリラフィアの手を、イルヴィンドはしっかり握る。
「あのねリラフィア。僕は君のことが大切なんだ、失いたくないし怪我したりするのだって嫌なんだよ。僕が頼りないからって内緒にしないで」
頼りないとは思っていないのだが、今まで自力で解決してきたリラフィアの悪い癖なのだ。
「申し訳ございません…これからはきちんとお話しますから」
「それ前にも聞いたよ、今度こそ約束してくれる?」
「…はい」
「目を見てもう一度」
「はい」
どちらが年上だっただろうか。
いつのまにか立場が逆転してしまった。
二人の様子を見てマーサは悔しげに唇を噛み締めたが、もう何も言わず。
アドラーと共に連行されていく。
「別々の地下牢へ。取調べ官は手配してある」
「御意」
イルヴィンドは複雑な思いで見送ったが、リラフィアに視線を戻すと笑顔になった。
「本当に無事でよかった!計画知ってても心配だったんだよ!」
「ご心配お掛けしました、陛下の騎士達のおかげで人的被害はありませんでしたわ。馬が一頭犠牲になったのは申し訳ないですが」
可哀想な事をしてしまった、死ななくていい命を散らしてしまったことに責任を感じるリラフィア。
落ち込む彼女をイルヴィンドは優しく抱きしめる。
「優しいリラフィア、僕の自慢のお嫁さん」
「…イルヴィンド様…」
「大好きだよ」
リラフィアはイルヴィンドの顔を見ようとしたが、恥ずかしがったイルヴィンドが抱きしめる力を強めたため真っ赤になった耳しか見えなかった。
「陛下、わたくしも陛下を愛しております」
ぎゅっと抱きしめ返し伝えるリラフィア。
するとイルヴィンドがビクリと震えた。
「ちょっと待って、なんか狡い」
「なにが狡いんですの?」
「愛してるなんて!僕がいうべきなのに先に言われた!」
「そんなこと言われましても…」
体を離したイルヴィンドは、戸惑うリラフィアの目を真っ直ぐに見つめ。
「愛してるよ、リラフィア。これからもよろしくね」
頬を赤く染めながらも笑顔でそう伝えた。
---その後の二人は、大変仲睦まじく暮らしたという。
歴史には、3人の子供を授かりイルヴィンドが50歳の時に長男に国王の座を譲って退位したと記されている。
即位したのが早かったのだから退位も早めにさせてくれという本人の強い希望によるもので、退位後の二人はリラフィアの生まれ故郷である北方領土に移り住んだという。
老いてなお美しいリラフィアと幸せに暮らしたイルヴィンドの人生は、後世に長く語り継がれる人気の恋物語になったとか。
-完-
マーサはリラフィアが好む紅茶に不妊の薬を仕込み、他の貴族の名で送っていた。
しかしリラフィアは、何度か茶会で会ったものの合わないと感じて距離を縮めなかった婦人の名で送られてきた物を不審に思い、最初から調べていたのだ。
その送り主がマーサであると突き止めてからずっと警戒していたところに今回の事件。
イルヴィンドが彼女を厳しく罰したくないようだからと様子を見ていたが、さすがに限度を超えている。
「知っていた、ですって?」
「ええ、最初に送られてきた時からおかしいと思いましたもの。だから一口も飲んでおりませんわよ」
呆然とするマーサ。
無事とはいえ毒を盛られていた事など初耳だったイルヴィンドは、リラフィアに駆け寄った。
「ちょっと待って初めて聞いたよ?そんな危険な目に遭ってたなら教えてよ!」
「申し訳ございません陛下、陛下はマーサを許したいようでしたので伝えるかどうか迷っていたのです」
「う…でもリラフィアのほうが大事だからね?!」
微笑みで誤魔化そうとするリラフィアの手を、イルヴィンドはしっかり握る。
「あのねリラフィア。僕は君のことが大切なんだ、失いたくないし怪我したりするのだって嫌なんだよ。僕が頼りないからって内緒にしないで」
頼りないとは思っていないのだが、今まで自力で解決してきたリラフィアの悪い癖なのだ。
「申し訳ございません…これからはきちんとお話しますから」
「それ前にも聞いたよ、今度こそ約束してくれる?」
「…はい」
「目を見てもう一度」
「はい」
どちらが年上だっただろうか。
いつのまにか立場が逆転してしまった。
二人の様子を見てマーサは悔しげに唇を噛み締めたが、もう何も言わず。
アドラーと共に連行されていく。
「別々の地下牢へ。取調べ官は手配してある」
「御意」
イルヴィンドは複雑な思いで見送ったが、リラフィアに視線を戻すと笑顔になった。
「本当に無事でよかった!計画知ってても心配だったんだよ!」
「ご心配お掛けしました、陛下の騎士達のおかげで人的被害はありませんでしたわ。馬が一頭犠牲になったのは申し訳ないですが」
可哀想な事をしてしまった、死ななくていい命を散らしてしまったことに責任を感じるリラフィア。
落ち込む彼女をイルヴィンドは優しく抱きしめる。
「優しいリラフィア、僕の自慢のお嫁さん」
「…イルヴィンド様…」
「大好きだよ」
リラフィアはイルヴィンドの顔を見ようとしたが、恥ずかしがったイルヴィンドが抱きしめる力を強めたため真っ赤になった耳しか見えなかった。
「陛下、わたくしも陛下を愛しております」
ぎゅっと抱きしめ返し伝えるリラフィア。
するとイルヴィンドがビクリと震えた。
「ちょっと待って、なんか狡い」
「なにが狡いんですの?」
「愛してるなんて!僕がいうべきなのに先に言われた!」
「そんなこと言われましても…」
体を離したイルヴィンドは、戸惑うリラフィアの目を真っ直ぐに見つめ。
「愛してるよ、リラフィア。これからもよろしくね」
頬を赤く染めながらも笑顔でそう伝えた。
---その後の二人は、大変仲睦まじく暮らしたという。
歴史には、3人の子供を授かりイルヴィンドが50歳の時に長男に国王の座を譲って退位したと記されている。
即位したのが早かったのだから退位も早めにさせてくれという本人の強い希望によるもので、退位後の二人はリラフィアの生まれ故郷である北方領土に移り住んだという。
老いてなお美しいリラフィアと幸せに暮らしたイルヴィンドの人生は、後世に長く語り継がれる人気の恋物語になったとか。
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