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第2章〜魔女の娘〜
第6話
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男はジェイファン・ルーカスと名乗った。
きっと戦死したと思われているだろう、と力なく語るジェイファン。
彼はしばらく館で静養する事になった。
「おはようございます、トゥリアさん」
ジェイファンは魔女に対する偏見などはないらしく、毎朝笑顔で挨拶をしてくる。
慣れない反応に戸惑いつつも、トゥリアは少しずつ心を開いていった。
「ほれ、今日は採れたてハーブをお茶にしたよ」
森に自生していたハーブを使ったハーブティーの香りが広がる。
ギルシュにも好評で、三人はお茶の時間を楽しんだ。
「…はぁ…」
ジェイファンの傷が癒えるにつれ、彼のため息が増えていく。
気づいたトゥリアは声をかけた。
「なんだい、国へ帰りたいのかい」
「ええ…まあ、帰りたいですね」
家族に無事を伝えたい、と話すジェイファンの目には涙が滲んでいる。
「しかし…ここでお世話になったことは話せませんし、次に戦場へ駆り出されればもう生きて戻れないでしょう」
戦況は日々劣勢へと傾いている、きっと国王はすぐに戦いの場へ戻れと命じるだろう。
トゥリアには人間の考えが理解できなかった。
「なんで殺し合うんだかね。欲張らず自分の国で暮らせばいいのに、相手のものを欲しがるからこんな事になるんだ」
国土の奪い合いは人類永遠の目標なのか。
トゥリアより遥かに長い時を生きているギルシュも遠い目をして頷く。
「彼らは限りある短い命だからこそ、現状に満足できないのでしょう…満たされることを知らず、常に飢えている」
若さですねえと笑うギルシュ。
彼にとっては完全に他人事だ。
「はは…貴方達からすれば、我々は赤子同然なのかもしれませんね。人間もそれくらいおおらかに考えられるようになりたいものです」
特に国王の考えが変わらなければ、とジェイファンは悲しげだ。
捨て駒のように散っていく兵士たちの命。
王はいくらでも替えが効くと思っているようだが、すでに小さい村の働き手すら借り出されて男人口が減っている。
「このままでは国が死んでしまう…陛下にご理解頂けないものだろうか」
無駄な願いだろうということは分かっていた。
説得を試みた側近らは皆処刑され、今の国王は暴走している。
愛国心というものがないトゥリアには彼の気持ちが理解できないが、彼の苦しみを和らげてあげたいという思いを抱き始めていた。
きっと戦死したと思われているだろう、と力なく語るジェイファン。
彼はしばらく館で静養する事になった。
「おはようございます、トゥリアさん」
ジェイファンは魔女に対する偏見などはないらしく、毎朝笑顔で挨拶をしてくる。
慣れない反応に戸惑いつつも、トゥリアは少しずつ心を開いていった。
「ほれ、今日は採れたてハーブをお茶にしたよ」
森に自生していたハーブを使ったハーブティーの香りが広がる。
ギルシュにも好評で、三人はお茶の時間を楽しんだ。
「…はぁ…」
ジェイファンの傷が癒えるにつれ、彼のため息が増えていく。
気づいたトゥリアは声をかけた。
「なんだい、国へ帰りたいのかい」
「ええ…まあ、帰りたいですね」
家族に無事を伝えたい、と話すジェイファンの目には涙が滲んでいる。
「しかし…ここでお世話になったことは話せませんし、次に戦場へ駆り出されればもう生きて戻れないでしょう」
戦況は日々劣勢へと傾いている、きっと国王はすぐに戦いの場へ戻れと命じるだろう。
トゥリアには人間の考えが理解できなかった。
「なんで殺し合うんだかね。欲張らず自分の国で暮らせばいいのに、相手のものを欲しがるからこんな事になるんだ」
国土の奪い合いは人類永遠の目標なのか。
トゥリアより遥かに長い時を生きているギルシュも遠い目をして頷く。
「彼らは限りある短い命だからこそ、現状に満足できないのでしょう…満たされることを知らず、常に飢えている」
若さですねえと笑うギルシュ。
彼にとっては完全に他人事だ。
「はは…貴方達からすれば、我々は赤子同然なのかもしれませんね。人間もそれくらいおおらかに考えられるようになりたいものです」
特に国王の考えが変わらなければ、とジェイファンは悲しげだ。
捨て駒のように散っていく兵士たちの命。
王はいくらでも替えが効くと思っているようだが、すでに小さい村の働き手すら借り出されて男人口が減っている。
「このままでは国が死んでしまう…陛下にご理解頂けないものだろうか」
無駄な願いだろうということは分かっていた。
説得を試みた側近らは皆処刑され、今の国王は暴走している。
愛国心というものがないトゥリアには彼の気持ちが理解できないが、彼の苦しみを和らげてあげたいという思いを抱き始めていた。
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