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一段上から
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その日の八重子はソバージュのかかった長い髪をシュシュでひとまとめにして、ばっちりメイクをしてワンピースを着てハイヒールを履いた。
今日は六郎とデートだ。
子どもたちのご飯はオムライスを作ってラップをして冷蔵庫に入れてある。
仕事終わりの六郎と待ち合わせした八重子は、何度か男性から声をかけられた。
どうせ居酒屋などの呼び込みだろう。そう思った。
5分程して六郎が現れた。今日はいつもの作業服ではなくスーツを着ている。
年に何度かこうしてデートすることで昔を思い出す。
菜摘が小さい頃はそんなでも無かったが、佑が小さい頃は病気がちで預けるわけにもいかずデートする機会はほとんど無かった。
八重子は六郎と腕を組み、ニコニコし始めた。
「今日はどこに行こうか?何が食べたい?」
「最近できた中華屋さんなんてどうかしら?」
「ああ、あそこは人気だね。並ぶかもしれないけどいいかい?」
「大丈夫よ。」
穏やかな日々だ。
八重子はそう思った。私は何も悪いことをしてない。専業主婦だとはいえ、家事で手抜きしたこともないし家のお金に手を付けたこともなく、やり繰りだってきちんとしている。
頭の中には苑田の影があった。それでも八重子は私は妻なのだ。
そう自分に言い聞かせた。
お店につくと案の定列が出来ていた。
3組か4組くらいのお客さんだろう。待つのでいいかい?と六郎は八重子に問いかける。
八重子は全然大丈夫ですから、そう言って笑った。
店からは餃子の香りや炒飯の香りがしている。
並んでいるとメニュー表が回ってきた。
若い高校生くらいの男の子が注文を聞いて回っている。
「へー大根餅があるのか。」
六郎はメニュー表を見ながら八重子に食べたい物を聞く。
「私は最後に杏仁豆腐が食べれたらそれでいいのよ。」
それを聞いた六郎はメニューから何点か注文をした。若い高校生くらいの男の子は元気よく、
「有難うございます。」
と言って店に戻る。
「そういえば八重子さん。」
「なんですか。」
「駅前に台湾カステラの店があるらしいんだよ。今度休みにいかないかい?」
「良いですね。菜摘も佑も喜ぶわ。」
そう言って八重子はスルリと六郎の腕を掴んだ。
苑田が何者であるか分からないけども私たちは幸せな夫婦だ。
いや、私がそう思っているだけで私たちは崩壊しているのか…?
八重子はぐるぐると考え始めた。
順番が回ってきて中華屋に入ると八重子はまずお手洗いに入った。
鏡を見るとアイライナーが滲んでいた。
八重子は鏡にニコリと微笑む。
席に戻ると注文した品が続々と届けられた。
六郎は冷めないうちに、そう言って八重子の分を取り分ける。
「美味しいね。でも八重子さんの料理が一番だね。」
そう言って六郎は笑った。
八重子はホッとしてじんわりした。苑田など、私たちの間にはなんの関係もないのだ。
そう思ってスープを口にした。
今日は六郎とデートだ。
子どもたちのご飯はオムライスを作ってラップをして冷蔵庫に入れてある。
仕事終わりの六郎と待ち合わせした八重子は、何度か男性から声をかけられた。
どうせ居酒屋などの呼び込みだろう。そう思った。
5分程して六郎が現れた。今日はいつもの作業服ではなくスーツを着ている。
年に何度かこうしてデートすることで昔を思い出す。
菜摘が小さい頃はそんなでも無かったが、佑が小さい頃は病気がちで預けるわけにもいかずデートする機会はほとんど無かった。
八重子は六郎と腕を組み、ニコニコし始めた。
「今日はどこに行こうか?何が食べたい?」
「最近できた中華屋さんなんてどうかしら?」
「ああ、あそこは人気だね。並ぶかもしれないけどいいかい?」
「大丈夫よ。」
穏やかな日々だ。
八重子はそう思った。私は何も悪いことをしてない。専業主婦だとはいえ、家事で手抜きしたこともないし家のお金に手を付けたこともなく、やり繰りだってきちんとしている。
頭の中には苑田の影があった。それでも八重子は私は妻なのだ。
そう自分に言い聞かせた。
お店につくと案の定列が出来ていた。
3組か4組くらいのお客さんだろう。待つのでいいかい?と六郎は八重子に問いかける。
八重子は全然大丈夫ですから、そう言って笑った。
店からは餃子の香りや炒飯の香りがしている。
並んでいるとメニュー表が回ってきた。
若い高校生くらいの男の子が注文を聞いて回っている。
「へー大根餅があるのか。」
六郎はメニュー表を見ながら八重子に食べたい物を聞く。
「私は最後に杏仁豆腐が食べれたらそれでいいのよ。」
それを聞いた六郎はメニューから何点か注文をした。若い高校生くらいの男の子は元気よく、
「有難うございます。」
と言って店に戻る。
「そういえば八重子さん。」
「なんですか。」
「駅前に台湾カステラの店があるらしいんだよ。今度休みにいかないかい?」
「良いですね。菜摘も佑も喜ぶわ。」
そう言って八重子はスルリと六郎の腕を掴んだ。
苑田が何者であるか分からないけども私たちは幸せな夫婦だ。
いや、私がそう思っているだけで私たちは崩壊しているのか…?
八重子はぐるぐると考え始めた。
順番が回ってきて中華屋に入ると八重子はまずお手洗いに入った。
鏡を見るとアイライナーが滲んでいた。
八重子は鏡にニコリと微笑む。
席に戻ると注文した品が続々と届けられた。
六郎は冷めないうちに、そう言って八重子の分を取り分ける。
「美味しいね。でも八重子さんの料理が一番だね。」
そう言って六郎は笑った。
八重子はホッとしてじんわりした。苑田など、私たちの間にはなんの関係もないのだ。
そう思ってスープを口にした。
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