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3.ラブレター?
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朝、登校すると、下駄箱に見慣れない物が入っていた。
手紙か――ん? 手紙だと!?
これはいわゆるラブレターというやつか? いや、そんなことはないだろう。俺は極力目立たないように過ごしてきたからな。普段から会話をする女友達とかもいないし、貰うような相手は想像もつかない。
封筒の表には「相沢優希様」と綺麗な字で書かれているが、裏には何も書いていない。この学校には、一ノ瀬や清浦みたいに頻繁に告白される生徒が結構いる。悪戯防止や安全のため、ラブレターを出す際は必ず名前を書くようにという決まりがある。差出人不明の物は無視していいというルールだ。
ということは、悪戯か。とりあえず、屋上へ行って、誰もいないところで開封してみることにした。
手紙を読み進めるたびに自分自身が動揺していくのがわかった。そこには、この前、一ノ瀬を助けた事について話がしたいという内容のことが書かれていた。
まさか、誰かに、しかもこの学校の生徒に見られていたのか? 一ノ瀬は魔法を使ったということは知らないから、別人であることは間違いない。
放課後まで、胃が痛い一日になりそうだ。
「なぁ、優希。お前んち広いからさ、今度遊びに行ってもいいか?」
昼休み。今日は、浩介と一緒に昼食を食べている。俺は相変わらずパンだが、浩介は毎日母親特製の弁当だ。
「それは構わないが……何して遊ぶつもりだ?」
「いや、なに、特には決めてねぇけど……あ、その前に少しは部屋片付いたか?」
「うっ……いや……」
痛いところを突かれた。俺の部屋は全くと言っていいほど掃除や片付けができていない。自分でもよく散らかしたものだとは思うが、掃除をしようとしても、最早どこから手を付けていいかわからないくらいの状況だ。正直言って、業者にでもやってもらわなければ無理なんじゃないかと思っている。
「マジかよ……あんなに広いのに一人で暮らして、散らかしまくるって、ある意味一種の才能だと思うぜ。とりあえず、普通に座れるくらいまで片付いたら言ってくれよ。クリスマスまでに彼女を作る作戦会議でもしようぜ」
「ああ、わかった」
浩介は普通にしてればモテるんだから、簡単に彼女作れそうなんだけどな。上手くマッチングしないのもあるだろうが、同じ学年内でもカースト上位陣にフリーの人間が多いせいか、あまりカップルがいないらしい。
一ノ瀬や清浦は片っ端から断っているがファンクラブみたいなのがあるらしいからな。そこに属する者は他の女子には興味がないわけで――あの二人が誰かと付き合ってしまえば、諦めて他の女子とくっつく男子が増えるのではないのかと思う。
昼休みはいつも通りに過ごせたが、今日一日は授業に身が入らなかった。
放課後になって、屋上に行ってみたが、まだきていないようだ。関係ない人も来るかもしれないし、一応いつもの場所から様子を見ることにした。
暫くして、屋上のドアが開き、一人の女子生徒がやってきた――清浦だ。俺がいるところの近くまでやってきて、壁にもたれて立って誰かを待っているようだ。
また告白か――そう思っていた時だった。
「むぅ……相沢さん来てくれないのですかね~やはり名前を書くべきでしたか……」
なっ! 今の言い方だとあの手紙は清浦が書いたのか。
「あの手紙は清浦か?」
「え? あれ? どこですか?」
「あ、ああ……すまん、こっちだ」
思いっきり屋根の上から声をかけてしまったので、清浦がビックリしてキョロキョロしている。
俺は屋根の上から清浦の横に飛び降りて着地すると、清浦の方に向き直った。
「わっ! どこから出てくるんですか!?」
「驚かせてすまんな。ところで、あの手紙はやっぱり……」
「……はい、私です。名前も書かずにすいませんでした。特に今まで話したこともなかったので、名前は書かない方が来てもらえるかなと思ったので……」
そう言いながら、清浦は頭を下げてきた。
「いや、まぁ、それはいいけど……」
「あの時、穂香さんを助けてくれてありがとうございました。私は、あの時の事は誰かに言ったりするつもりはありません。ただ、何回見ても何がどうなっているかよくわからないので、それを教えてもらいたいと思って、お手紙しました」
「何回も……って?」
「あの日ですね、大したことじゃないんですけど、穂香さんに用事があって穂香さんが住んでるマンションに行ったら、屋上にいる穂香さんが見えたんです。その穂香さんがなんだか幻想的に美しかったんで、写真を撮ろうとしたんですよ。そしたら、穂香さんが落ちて……ってことなんですが、その時、たまたま携帯の動画で撮影してたみたいで、綺麗に撮れていました。家で何回も見たんですが、どうなっているのかわからなかったので……教えてもらえませんか?」
誰もいなかったと思っていたが、清浦に見られていたのか。
だが、清浦からはそれをネタに脅してくるとかそういった気配は全くない。何回見てもわからなかったというのも本当だろう。俺も以前、動画で撮って客観的に見てみたらどう見えるのかやってみたことがあるが、それこそアニメやゲームのような感じにしか見えなかったからな。
まぁ、偶然とはいえ、動画まで撮られているのなら、教えないわけにもいかないか。
「わかった。ただ……」
「わかってます。誰にも言ったりしませんよ。私は自分の好奇心を満たしたいだけなので……」
そう言ってにっこり微笑む清浦はマジで可愛いかった。もちろん本気の笑顔じゃないのはわかるが、それでも思わず見惚れてしまう。浩介達が騒ぐのもわかる気がする。
「おっと、誰か来たようだな」
屋上の入り口の方を伺えば、キィ~ッとドアが開く音が聞こえてきた。誰だかわからないが、このままここにいると見つかる可能性もあるな。
「あの、私もこの屋根の上に上がることはできますか? 周りから見えないんですよね?」
「ああ、確かに見えないが……身体を抱きかかえないと難しいぞ?」
上を見上げれば、高さは三メートルほどある。俺が先に上って清浦を引っ張り上げようにも、届かないから難しい。そうなると、俺が清浦を抱きかかえてジャンプするしか方法がない。
「いいですよ」
あっさりと清浦は了承し、俺を促してきた。清浦がいいと言うならいいだろう。俺は清浦を横抱きにすると、力を籠め地面を蹴った。
それにしても、一ノ瀬もだが清浦からも良い匂いがする。女の子はみんなこうなのか? そして清浦は小柄な見た目通り軽いし華奢だ。それでも、俺の身体と触れている部分は適度な軟らかさがあって女性を感じさせる。
屋根の上に着地して、清浦を見ると、少し頬を赤く染めていた。多分俺も同じような状態になっているだろう。顔が熱い感じがする。
「抱きかかえられるのって、思ったより恥ずかしいですね」
屋根の上に降り立ってそんなことを言われたが、照れている清浦はすごく可愛くて、なんだかいけない気分になってしまいそうだ。
「立っていると見えてしまうかもしれないから、そこのベンチにでも座ろうか」
「はい、そうですね……でも、驚きました……相沢さん、人間ですよね?」
「当たり前だ。ただ……ちょっと魔法が使えるだけのな」
「? 魔法ですか?」
「ああ、実は……」
俺は清浦に自身の事を話した。下手に誤魔化すよりはしっかりと話した方がいいし、清浦は他の人間に喋ったりしないだろうという、勝手な俺の考えがあった。
色々聞こえてきた噂からは、清浦はとっつきにくく話しづらいイメージがあったが、実際は全然そんなことなかった。
「なるほど、そうなんですね……確かに、めちゃくちゃ便利で万能、というわけでもなさそうですね」
「実際そうなんだが、なぜそう思ったんだ?」
「もし、もっと万能で何でもできるような感じなら、私のそのことに関する記憶を操作したりとかすれば簡単にすみます。でも、それをしないという事は、そういう事はできないという事なんでしょう?」
「ああ、そうだな。その通りだ。そんなすごい事はできないな」
清浦はうんうんと頷きながら、何かを考えているようだ。そして、おもむろに携帯を取り出すとちょっと操作して画面を俺の方に向けた。
そこには携帯の番号とメッセージアプリのQRコードが表示されている。
「これ、登録してもらえませんか?」
「え?ああ、わかった」
俺も携帯を取り出して登録する。俺の携帯に清浦菜摘の名前がある。家族以外では初の異性だ。
「どうしましたか? もしかして私以外に携帯に同年代の女の子の登録がなくて、ちょっと感動しているとかじゃないですよね?」
「うおっ! 何でわかったんだ?」
こいつ、無駄に勘がいいような気がするな。
「だって、普段から目立たないように過ごしてきて、特に仲がいい人が多いわけでもないならそうなのかなと思っただけですよ。でもいいんじゃないですか? 私も似たようなものです」
「え? そうなのか? 控えめに言っても清浦ってモテるだろ?」
「私も同年代の男の子の登録は相沢さんだけです。モテるなどと言っても、こちらは望んでないですしね。外面だけみてとりあえず告白してくるような人たちに興味はありませんから。相沢さんは私にとって初めての男友達です」
登録が俺だけってマジか。これってかなり喜んでいいやつだよな。
別に清浦を狙っているわけじゃないが、そういう奴らからしたら、百歩くらいはリードしたようなもんだな。浩介によると、一ノ瀬も清浦も連絡先を交換するということ自体が無理みたいな話しだしな。
「今日の目的は果たせました。ここから降りる時も手伝ってもらわないと難しそうですね」
「ああ、そうだな。三メートルくらいはあるからな」
「じゃあ、お願いします。この体勢でもいけますか?」
そう言って、清浦は正面から俺に抱き着いてきた。胸に顔を埋めているのでわかりにくいが、恥ずかしがっているのはわかった。
「ああ、いくぞ」
俺は誰にも見られていないのを確認して、清浦の腰に手を回して抱きしめると飛び降りると、その時の風圧でスカートが捲れあがってピンクの下着が見えた。軽い事故だがご褒美と受け取っておこう。
「ふぅ……結局どっちも恥ずかしいですね。慣れたらそうでもなくなるのかもしれませんが……では、相沢さん、また連絡しますので構ってくださいね」
それだけ言って背を向けると、てくてく歩いて屋上から去っていった。
俺にはまだ清浦菜摘という人物がどういう人間なのかよくわかっていないが、悪い奴ではないのはわかる。めちゃ可愛いし、偶然とはいえ仲良くなれたのは大きい。
浩介達が騒ぐのもわかる気がするな。
手紙か――ん? 手紙だと!?
これはいわゆるラブレターというやつか? いや、そんなことはないだろう。俺は極力目立たないように過ごしてきたからな。普段から会話をする女友達とかもいないし、貰うような相手は想像もつかない。
封筒の表には「相沢優希様」と綺麗な字で書かれているが、裏には何も書いていない。この学校には、一ノ瀬や清浦みたいに頻繁に告白される生徒が結構いる。悪戯防止や安全のため、ラブレターを出す際は必ず名前を書くようにという決まりがある。差出人不明の物は無視していいというルールだ。
ということは、悪戯か。とりあえず、屋上へ行って、誰もいないところで開封してみることにした。
手紙を読み進めるたびに自分自身が動揺していくのがわかった。そこには、この前、一ノ瀬を助けた事について話がしたいという内容のことが書かれていた。
まさか、誰かに、しかもこの学校の生徒に見られていたのか? 一ノ瀬は魔法を使ったということは知らないから、別人であることは間違いない。
放課後まで、胃が痛い一日になりそうだ。
「なぁ、優希。お前んち広いからさ、今度遊びに行ってもいいか?」
昼休み。今日は、浩介と一緒に昼食を食べている。俺は相変わらずパンだが、浩介は毎日母親特製の弁当だ。
「それは構わないが……何して遊ぶつもりだ?」
「いや、なに、特には決めてねぇけど……あ、その前に少しは部屋片付いたか?」
「うっ……いや……」
痛いところを突かれた。俺の部屋は全くと言っていいほど掃除や片付けができていない。自分でもよく散らかしたものだとは思うが、掃除をしようとしても、最早どこから手を付けていいかわからないくらいの状況だ。正直言って、業者にでもやってもらわなければ無理なんじゃないかと思っている。
「マジかよ……あんなに広いのに一人で暮らして、散らかしまくるって、ある意味一種の才能だと思うぜ。とりあえず、普通に座れるくらいまで片付いたら言ってくれよ。クリスマスまでに彼女を作る作戦会議でもしようぜ」
「ああ、わかった」
浩介は普通にしてればモテるんだから、簡単に彼女作れそうなんだけどな。上手くマッチングしないのもあるだろうが、同じ学年内でもカースト上位陣にフリーの人間が多いせいか、あまりカップルがいないらしい。
一ノ瀬や清浦は片っ端から断っているがファンクラブみたいなのがあるらしいからな。そこに属する者は他の女子には興味がないわけで――あの二人が誰かと付き合ってしまえば、諦めて他の女子とくっつく男子が増えるのではないのかと思う。
昼休みはいつも通りに過ごせたが、今日一日は授業に身が入らなかった。
放課後になって、屋上に行ってみたが、まだきていないようだ。関係ない人も来るかもしれないし、一応いつもの場所から様子を見ることにした。
暫くして、屋上のドアが開き、一人の女子生徒がやってきた――清浦だ。俺がいるところの近くまでやってきて、壁にもたれて立って誰かを待っているようだ。
また告白か――そう思っていた時だった。
「むぅ……相沢さん来てくれないのですかね~やはり名前を書くべきでしたか……」
なっ! 今の言い方だとあの手紙は清浦が書いたのか。
「あの手紙は清浦か?」
「え? あれ? どこですか?」
「あ、ああ……すまん、こっちだ」
思いっきり屋根の上から声をかけてしまったので、清浦がビックリしてキョロキョロしている。
俺は屋根の上から清浦の横に飛び降りて着地すると、清浦の方に向き直った。
「わっ! どこから出てくるんですか!?」
「驚かせてすまんな。ところで、あの手紙はやっぱり……」
「……はい、私です。名前も書かずにすいませんでした。特に今まで話したこともなかったので、名前は書かない方が来てもらえるかなと思ったので……」
そう言いながら、清浦は頭を下げてきた。
「いや、まぁ、それはいいけど……」
「あの時、穂香さんを助けてくれてありがとうございました。私は、あの時の事は誰かに言ったりするつもりはありません。ただ、何回見ても何がどうなっているかよくわからないので、それを教えてもらいたいと思って、お手紙しました」
「何回も……って?」
「あの日ですね、大したことじゃないんですけど、穂香さんに用事があって穂香さんが住んでるマンションに行ったら、屋上にいる穂香さんが見えたんです。その穂香さんがなんだか幻想的に美しかったんで、写真を撮ろうとしたんですよ。そしたら、穂香さんが落ちて……ってことなんですが、その時、たまたま携帯の動画で撮影してたみたいで、綺麗に撮れていました。家で何回も見たんですが、どうなっているのかわからなかったので……教えてもらえませんか?」
誰もいなかったと思っていたが、清浦に見られていたのか。
だが、清浦からはそれをネタに脅してくるとかそういった気配は全くない。何回見てもわからなかったというのも本当だろう。俺も以前、動画で撮って客観的に見てみたらどう見えるのかやってみたことがあるが、それこそアニメやゲームのような感じにしか見えなかったからな。
まぁ、偶然とはいえ、動画まで撮られているのなら、教えないわけにもいかないか。
「わかった。ただ……」
「わかってます。誰にも言ったりしませんよ。私は自分の好奇心を満たしたいだけなので……」
そう言ってにっこり微笑む清浦はマジで可愛いかった。もちろん本気の笑顔じゃないのはわかるが、それでも思わず見惚れてしまう。浩介達が騒ぐのもわかる気がする。
「おっと、誰か来たようだな」
屋上の入り口の方を伺えば、キィ~ッとドアが開く音が聞こえてきた。誰だかわからないが、このままここにいると見つかる可能性もあるな。
「あの、私もこの屋根の上に上がることはできますか? 周りから見えないんですよね?」
「ああ、確かに見えないが……身体を抱きかかえないと難しいぞ?」
上を見上げれば、高さは三メートルほどある。俺が先に上って清浦を引っ張り上げようにも、届かないから難しい。そうなると、俺が清浦を抱きかかえてジャンプするしか方法がない。
「いいですよ」
あっさりと清浦は了承し、俺を促してきた。清浦がいいと言うならいいだろう。俺は清浦を横抱きにすると、力を籠め地面を蹴った。
それにしても、一ノ瀬もだが清浦からも良い匂いがする。女の子はみんなこうなのか? そして清浦は小柄な見た目通り軽いし華奢だ。それでも、俺の身体と触れている部分は適度な軟らかさがあって女性を感じさせる。
屋根の上に着地して、清浦を見ると、少し頬を赤く染めていた。多分俺も同じような状態になっているだろう。顔が熱い感じがする。
「抱きかかえられるのって、思ったより恥ずかしいですね」
屋根の上に降り立ってそんなことを言われたが、照れている清浦はすごく可愛くて、なんだかいけない気分になってしまいそうだ。
「立っていると見えてしまうかもしれないから、そこのベンチにでも座ろうか」
「はい、そうですね……でも、驚きました……相沢さん、人間ですよね?」
「当たり前だ。ただ……ちょっと魔法が使えるだけのな」
「? 魔法ですか?」
「ああ、実は……」
俺は清浦に自身の事を話した。下手に誤魔化すよりはしっかりと話した方がいいし、清浦は他の人間に喋ったりしないだろうという、勝手な俺の考えがあった。
色々聞こえてきた噂からは、清浦はとっつきにくく話しづらいイメージがあったが、実際は全然そんなことなかった。
「なるほど、そうなんですね……確かに、めちゃくちゃ便利で万能、というわけでもなさそうですね」
「実際そうなんだが、なぜそう思ったんだ?」
「もし、もっと万能で何でもできるような感じなら、私のそのことに関する記憶を操作したりとかすれば簡単にすみます。でも、それをしないという事は、そういう事はできないという事なんでしょう?」
「ああ、そうだな。その通りだ。そんなすごい事はできないな」
清浦はうんうんと頷きながら、何かを考えているようだ。そして、おもむろに携帯を取り出すとちょっと操作して画面を俺の方に向けた。
そこには携帯の番号とメッセージアプリのQRコードが表示されている。
「これ、登録してもらえませんか?」
「え?ああ、わかった」
俺も携帯を取り出して登録する。俺の携帯に清浦菜摘の名前がある。家族以外では初の異性だ。
「どうしましたか? もしかして私以外に携帯に同年代の女の子の登録がなくて、ちょっと感動しているとかじゃないですよね?」
「うおっ! 何でわかったんだ?」
こいつ、無駄に勘がいいような気がするな。
「だって、普段から目立たないように過ごしてきて、特に仲がいい人が多いわけでもないならそうなのかなと思っただけですよ。でもいいんじゃないですか? 私も似たようなものです」
「え? そうなのか? 控えめに言っても清浦ってモテるだろ?」
「私も同年代の男の子の登録は相沢さんだけです。モテるなどと言っても、こちらは望んでないですしね。外面だけみてとりあえず告白してくるような人たちに興味はありませんから。相沢さんは私にとって初めての男友達です」
登録が俺だけってマジか。これってかなり喜んでいいやつだよな。
別に清浦を狙っているわけじゃないが、そういう奴らからしたら、百歩くらいはリードしたようなもんだな。浩介によると、一ノ瀬も清浦も連絡先を交換するということ自体が無理みたいな話しだしな。
「今日の目的は果たせました。ここから降りる時も手伝ってもらわないと難しそうですね」
「ああ、そうだな。三メートルくらいはあるからな」
「じゃあ、お願いします。この体勢でもいけますか?」
そう言って、清浦は正面から俺に抱き着いてきた。胸に顔を埋めているのでわかりにくいが、恥ずかしがっているのはわかった。
「ああ、いくぞ」
俺は誰にも見られていないのを確認して、清浦の腰に手を回して抱きしめると飛び降りると、その時の風圧でスカートが捲れあがってピンクの下着が見えた。軽い事故だがご褒美と受け取っておこう。
「ふぅ……結局どっちも恥ずかしいですね。慣れたらそうでもなくなるのかもしれませんが……では、相沢さん、また連絡しますので構ってくださいね」
それだけ言って背を向けると、てくてく歩いて屋上から去っていった。
俺にはまだ清浦菜摘という人物がどういう人間なのかよくわかっていないが、悪い奴ではないのはわかる。めちゃ可愛いし、偶然とはいえ仲良くなれたのは大きい。
浩介達が騒ぐのもわかる気がするな。
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