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6.夕方は穂香と
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菜摘と別れて帰った後は、恒例の一ノ瀬の夕食タイムだ。もう完全に一ノ瀬に餌付けされたというか、俺の胃袋は完全に掴まれてしまっていた。こういう比べ方は良くないのだろうが、母親より美味しい。別に俺の母さんが料理下手とかそういう事は全くなくて、普通にファミレスとかで食べるよりも美味しかったからな。ただ、一ノ瀬の料理はそれ以上だったというわけだ。
毎日の夕食を一ノ瀬が作ってくれているのだが、材料費は俺が持つことで納得してもらっている。俺の方がたくさん食べるし、俺はただ単に食べに来ているだけだからな。
俺が手伝おうとすると邪魔になるだけだから、リビングで寛いで待っていろとのことなのだが、この時間は毎回何とも言えない感覚だ。一ノ瀬の部屋に新聞や雑誌はないので、テレビでもみて待っているわけだが、彼女や奥さんが料理を作ってくれるのを待っているような気分になる。
いやまあ、一ノ瀬が彼女とかなんて、妄想の世界でしかないだろ? しかし、一ノ瀬にしても菜摘にしても好意的すぎて、その内何かありそうなんじゃないかと思う。
「あ、相沢君? そんなに首振ってどうしたの?」
先ほどの菜摘とのことを思い出して、妄想を退散させるために首を振っていたのを見られたようだ。
「いや、何でもない……」
「そう? それならいいけど……」
「全然違う話になるが、一ノ瀬はあれだけ告白されていて、誰とも付き合ってないのか?」
前から気になっていたことだ。浩介とも話したことがあるが、告白してくる相手を全滅させてきているからな。
「えっ? どうしたの、急に……ん~ないかな。だって、ほとんどの人が一度も話したことすらないのよ?それなのに、付き合ってくださいとか意味がわからないし……」
なんだと? それは恋愛初心者な俺でも愚策なのはわかるぞ。そんなやり方で告白が成功したら何の苦労もしない。
まぁ、一ノ瀬がその気になれば、男を1ダース侍らすくらいはどうとでもなりそうだが。
「それにね、私は付き合うなら……自分から告白するかな。でも、私は誰かと付き合っても、すぐに別れちゃうかもしれないなぁ……」
そう言った一ノ瀬は一瞬、何か諦めたような表情を浮かべた。一ノ瀬にも何か理由というか、悩みみたいなものがあるのだろうか。
「一ノ瀬と付き合ってすぐに別れるなんてことありえるのか?」
「そうね……恋人っぽい事をやりだしたら、すぐに捨てられちゃうかも……それを考えるとね、誰とも付き合わない方がいいのかなって思うのよね……」
恋人っぽい事やりだして捨てられるとかっていうと、あれか……セックスとか?
「あ、ま、まさか! もしかして一ノ瀬…………実は男だとか言わないよな?」
「えっ…………ぷっ……あはは……もう、そんな事あるわけないじゃない。そうね、でも、それよりはマシかも……」
「そうなのか? それなら一ノ瀬みたいな女の子を捨てる意味がわからないのだが……」
「……ん~女には色々あるのよ……」
一ノ瀬の表情を見る限り、流石にこれ以上はダメか……どんな理由があるのだろうか? 仲の良い菜摘なら知っているのだろうか。いくら考えたところで、答えが出るわけでもないし、その内わかるかもしれないしな。
そんな会話も夕食が始まれば自然と終了し、俺はいつも美味い一ノ瀬の料理に舌鼓を打った。ちなみに、今夜は豚の生姜焼きだった。
そして、夕食が終わればいつも決まって珈琲を淹れてくれる。そんな至福の時を終え、一ノ瀬がコーヒーカップを引き上げようとした時だった。
「あっ……」
「!? 危ない!」
テーブルの脚につまずき、一ノ瀬がバランスを崩しコーヒーカップが宙を舞う。空のコーヒーカップはソファーに座っている俺を飛び越えていこうとしたが、何とかキャッチすることができた。この時、俺の体勢はソファーに座ったまま万歳した状態だ。そして、そこに一ノ瀬が倒れこんできたのだが、身体で受け止めることに成功した。
現在二人の体勢は、客観的に見れば、ソファーに座る俺に一ノ瀬が覆いかぶさっている状態。俺が万歳して両手にコーヒーカップを持っているのに対して、一ノ瀬は俺の肩の上くらいに手をついているので、俺が押し倒されているように見えなくもない。
これだけなら何の問題もないただの事故で済むのだが、そうはいかない事態も発生していた。
この体勢で、俺の目の前には一ノ瀬の目がある。ピントが合わないくらい近い距離だ。そんな至近距離で他に何も起こっていないわけもなく……俺と一ノ瀬の唇はぴったりと合わさっていた。
「んっ……」
一ノ瀬からわずかに声が漏れる。一ノ瀬とキスをしているという事を理解するのに若干の時間を要した。これは事故だ。お互いにこうなることがわかってしたわけじゃない。ただ、この状況、俺は動けないので一ノ瀬から離れてもらわないとこのままだ。
一ノ瀬としてもこの状態を理解するのに時間がかかったのだろうか。俺は一ノ瀬がすぐに飛びのくと思っていたが、この至福の時間はしばらく続くことになった。ただ唇が合わさっているだけだが、ふっくらとしていてやわらかくてそれでいてしっとりとしていて、何とも言えない感触を唇で感じている。
やがて頬を真っ赤に染めた一ノ瀬がゆっくりと唇を離すと、細い一本の透明な糸が繋がっていた。未だに至近距離のまま表情を伺うと、初めて見るくらい極上の笑顔を見せてくれる。そして、そのまま身体を起こすと思っていた矢先、一ノ瀬が不意打ち気味に「チュッ」とキスをしてから離れていった。
俺は胸の鼓動がどんどん早くなるのを感じながら、この瞬間、一ノ瀬穂香に惚れているのを確信した。
「ゴメンね……最初のは偶然だったけど、ファーストキスをあれで終わらせたくなかったの。嫌だった?」
「い、いや、そんな事は絶対ない……むしろ嬉しかった」
「そ、そう?それなら……良かった……」
一ノ瀬にこんなことされて嫌なわけがない。むしろ最高だ。ただ、この空気が気まずい。それは一ノ瀬も同じようで、視線を逸らして俯いている。
結局、暫くしてから俺の上に乗ったままだったことに気が付いた一ノ瀬が慌ててどいてくれた。
俺はどうしたらいい? このまま一ノ瀬に付き合ってくれとか言ったらOKしてもらえるのだろうか? いや、聞いた感じではダメかもしれない。一ノ瀬も俺と同じように色々と考えていたみたいだが、俺より早く考えがまとまったのか口を開いた。
「ねぇ……私、もっと相沢君と仲良くなりたいの。だから……私の事、名前で呼んでもらってもいい?」
「え? ああ、もちろんだ……穂香……でいいか?」
「うん、ありがとう……私もそうする……優希くん……ううん、ゆうくんって呼んでもいいかな?」
「ああ、構わないが……」
ゆうくんなんて俺の人生で呼ばれたことないから緊張する。結局、この後はお互いに照れてしまって特に何もなかったが、穂香との距離が一気に縮まった一日になった。
毎日の夕食を一ノ瀬が作ってくれているのだが、材料費は俺が持つことで納得してもらっている。俺の方がたくさん食べるし、俺はただ単に食べに来ているだけだからな。
俺が手伝おうとすると邪魔になるだけだから、リビングで寛いで待っていろとのことなのだが、この時間は毎回何とも言えない感覚だ。一ノ瀬の部屋に新聞や雑誌はないので、テレビでもみて待っているわけだが、彼女や奥さんが料理を作ってくれるのを待っているような気分になる。
いやまあ、一ノ瀬が彼女とかなんて、妄想の世界でしかないだろ? しかし、一ノ瀬にしても菜摘にしても好意的すぎて、その内何かありそうなんじゃないかと思う。
「あ、相沢君? そんなに首振ってどうしたの?」
先ほどの菜摘とのことを思い出して、妄想を退散させるために首を振っていたのを見られたようだ。
「いや、何でもない……」
「そう? それならいいけど……」
「全然違う話になるが、一ノ瀬はあれだけ告白されていて、誰とも付き合ってないのか?」
前から気になっていたことだ。浩介とも話したことがあるが、告白してくる相手を全滅させてきているからな。
「えっ? どうしたの、急に……ん~ないかな。だって、ほとんどの人が一度も話したことすらないのよ?それなのに、付き合ってくださいとか意味がわからないし……」
なんだと? それは恋愛初心者な俺でも愚策なのはわかるぞ。そんなやり方で告白が成功したら何の苦労もしない。
まぁ、一ノ瀬がその気になれば、男を1ダース侍らすくらいはどうとでもなりそうだが。
「それにね、私は付き合うなら……自分から告白するかな。でも、私は誰かと付き合っても、すぐに別れちゃうかもしれないなぁ……」
そう言った一ノ瀬は一瞬、何か諦めたような表情を浮かべた。一ノ瀬にも何か理由というか、悩みみたいなものがあるのだろうか。
「一ノ瀬と付き合ってすぐに別れるなんてことありえるのか?」
「そうね……恋人っぽい事をやりだしたら、すぐに捨てられちゃうかも……それを考えるとね、誰とも付き合わない方がいいのかなって思うのよね……」
恋人っぽい事やりだして捨てられるとかっていうと、あれか……セックスとか?
「あ、ま、まさか! もしかして一ノ瀬…………実は男だとか言わないよな?」
「えっ…………ぷっ……あはは……もう、そんな事あるわけないじゃない。そうね、でも、それよりはマシかも……」
「そうなのか? それなら一ノ瀬みたいな女の子を捨てる意味がわからないのだが……」
「……ん~女には色々あるのよ……」
一ノ瀬の表情を見る限り、流石にこれ以上はダメか……どんな理由があるのだろうか? 仲の良い菜摘なら知っているのだろうか。いくら考えたところで、答えが出るわけでもないし、その内わかるかもしれないしな。
そんな会話も夕食が始まれば自然と終了し、俺はいつも美味い一ノ瀬の料理に舌鼓を打った。ちなみに、今夜は豚の生姜焼きだった。
そして、夕食が終わればいつも決まって珈琲を淹れてくれる。そんな至福の時を終え、一ノ瀬がコーヒーカップを引き上げようとした時だった。
「あっ……」
「!? 危ない!」
テーブルの脚につまずき、一ノ瀬がバランスを崩しコーヒーカップが宙を舞う。空のコーヒーカップはソファーに座っている俺を飛び越えていこうとしたが、何とかキャッチすることができた。この時、俺の体勢はソファーに座ったまま万歳した状態だ。そして、そこに一ノ瀬が倒れこんできたのだが、身体で受け止めることに成功した。
現在二人の体勢は、客観的に見れば、ソファーに座る俺に一ノ瀬が覆いかぶさっている状態。俺が万歳して両手にコーヒーカップを持っているのに対して、一ノ瀬は俺の肩の上くらいに手をついているので、俺が押し倒されているように見えなくもない。
これだけなら何の問題もないただの事故で済むのだが、そうはいかない事態も発生していた。
この体勢で、俺の目の前には一ノ瀬の目がある。ピントが合わないくらい近い距離だ。そんな至近距離で他に何も起こっていないわけもなく……俺と一ノ瀬の唇はぴったりと合わさっていた。
「んっ……」
一ノ瀬からわずかに声が漏れる。一ノ瀬とキスをしているという事を理解するのに若干の時間を要した。これは事故だ。お互いにこうなることがわかってしたわけじゃない。ただ、この状況、俺は動けないので一ノ瀬から離れてもらわないとこのままだ。
一ノ瀬としてもこの状態を理解するのに時間がかかったのだろうか。俺は一ノ瀬がすぐに飛びのくと思っていたが、この至福の時間はしばらく続くことになった。ただ唇が合わさっているだけだが、ふっくらとしていてやわらかくてそれでいてしっとりとしていて、何とも言えない感触を唇で感じている。
やがて頬を真っ赤に染めた一ノ瀬がゆっくりと唇を離すと、細い一本の透明な糸が繋がっていた。未だに至近距離のまま表情を伺うと、初めて見るくらい極上の笑顔を見せてくれる。そして、そのまま身体を起こすと思っていた矢先、一ノ瀬が不意打ち気味に「チュッ」とキスをしてから離れていった。
俺は胸の鼓動がどんどん早くなるのを感じながら、この瞬間、一ノ瀬穂香に惚れているのを確信した。
「ゴメンね……最初のは偶然だったけど、ファーストキスをあれで終わらせたくなかったの。嫌だった?」
「い、いや、そんな事は絶対ない……むしろ嬉しかった」
「そ、そう?それなら……良かった……」
一ノ瀬にこんなことされて嫌なわけがない。むしろ最高だ。ただ、この空気が気まずい。それは一ノ瀬も同じようで、視線を逸らして俯いている。
結局、暫くしてから俺の上に乗ったままだったことに気が付いた一ノ瀬が慌ててどいてくれた。
俺はどうしたらいい? このまま一ノ瀬に付き合ってくれとか言ったらOKしてもらえるのだろうか? いや、聞いた感じではダメかもしれない。一ノ瀬も俺と同じように色々と考えていたみたいだが、俺より早く考えがまとまったのか口を開いた。
「ねぇ……私、もっと相沢君と仲良くなりたいの。だから……私の事、名前で呼んでもらってもいい?」
「え? ああ、もちろんだ……穂香……でいいか?」
「うん、ありがとう……私もそうする……優希くん……ううん、ゆうくんって呼んでもいいかな?」
「ああ、構わないが……」
ゆうくんなんて俺の人生で呼ばれたことないから緊張する。結局、この後はお互いに照れてしまって特に何もなかったが、穂香との距離が一気に縮まった一日になった。
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