395 / 436
3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編
394 大霊廟 Part 6
しおりを挟む
「ところで、トモキ君。僕たちこれからどこに行けばいいんでしょうね?」
リュクサンドールは周りを見回し、俺に尋ねてくる。確かにここは行き止まりの広間で、他に進む道はないように見える。
「うーん? ここには罠しかなかったんだし、いったん戻って違う道を探すしか……」
「え、でも、階段からここまで一本道でしたよ。違う道なんかなかったですよ?」
「う……」
そういやそうだったな。戻っても無駄か。
「本当に困りましたねえ。こういうとき一番頼りになるサキさんが気絶しているんじゃあ。きっとサキさんだけですよね。僕たちが先に進む道がわかるのは」
「悪かったな、俺にわからなくて」
おそらく天然なんだろうが、妙にイヤミっぽく聞こえたので、むっとして反論した。
と、そこで、
「道? フフ……そんなものは自分で切り開くもんだぜ?」
ヒューヴ(闇の魔力でだいぶおかしくなっている)が、何やらかっこつけながら言った。
「いや、まずは来た道を戻って他に行ける場所がないか探すべきだろ、ヒューヴ」
「その名はもう捨てたと言っただろう!」
「え、あ、はい……確か今は閃光のダークレイヴンさん?」
「ああ、その名前もオレの中ではもう古い」
「えっ」
「今のオレはそう……罪深き暗黒の翼!」
「はあ」
まあ、実際こいつ警察に捕まってたし、罪深いか。しかし、こいつの気分でいちいち呼び名変えなくちゃいけないとかめんどくせーな。
「で、ギルティ(以下略)さんは、この難局をどう切り抜けるおつもりで?」
「知れたこと。風の流れを読むのさ」
「風? そんなの吹いてないだろ?」
そもそもここ地下なんだが?
「へえ、あんたには罪深き暗黒の翼の感じている風がわからないのかい。アタイにはわかるけどねえ」
と、そこでシャラ(闇の魔力でだいぶおかしくなっている)が話に割り込んできた。ちゃんと律義にヒューヴの呼び名を改めながら。
「いや、ここ地下だし、風なんか吹いてないだろ」
「吹いてるのさ。運命という風が、アタイたちの心の中に!」
ドヤァと全力の得意顔で言うシャラだった。なんだその表現。お前は夕暮れの河川敷で仲間とたそがれているスケバンかよ。
「じゃあ、その運命の風とやらでとっとと新しい道を探してくださいよ、もー」
「……フッ、お前に言われなくてもそうするさ。行くぜ!」
と、言うやいなや、ヒューヴはいきなりブラストボウを近くの呪術オタに向けてぶっぱなした!
「うひゃあ」
ディバインクラスのレジェンド・モンスターの物理障壁をも貫通するその攻撃は、あっさりその体を吹っ飛ばした。間抜けな悲鳴とともに。
だが、その一撃が壊したのはその邪悪な男の体だけではなかった。その向こうにある壁にもぶち当たり、それを粉砕したのだ。
そして直後、そこから隠し通路と思われるものが現れた。おお、これは!
「ゼルダの伝説じゃん!」
そうそう。あのゲーム、迷宮のひび割れた壁に爆弾仕掛けると隠し通路が出てくるんだよね。ミンナニハナイショダヨ?
「なるほど。道を切り開くとはこういうことだったんですね。さすがです、ヒューヴ君」
と、リュクサンドールはヒューヴをほめたたえた。すでにその体は元に戻っている。相変わらず再生クソ早いな。
「おいヒューヴ、じゃなかった、ギルティ(以下略)、なんであそこに隠し通路があるってわかったんだよ?」
「オレもそんなものがあるとは思ってなかった」
「えっ」
「本来、世界に壁などない。すなわち、ここをとりまくすべての壁を壊した時、俺たちは新しい世界に旅立つことができるはずだ。オレはそれを信じて行動しただけだ。いわばオレは、悲しい因果の奴隷なのさ」
「そ、そう……」
うーん、こいつ、言葉遣いこそ少し知的になってるが、行動は結局バカのままだな? ただ適当に壁壊しただけだったんじゃねえか。
「まあいい。進む道ができたんだから、とっとと先に行こうぜ?」
「……まだだ」
と、ヒューヴはまたかっこつけたポーズで言う。
「え、まだなんかあるのかよ?」
「ここの壁はまだ残っている。すべての壁を壊した時、オレたちはさらなる高みに到達するだろうッ!」
と、言うやいなや、ヒューヴは今度はこのホールを囲むすべての壁をブラストボウでぶち抜きはじめた。うわ、危ない! これに当たると相当痛いのでとっさに下にしゃがんだ。
やがて、周りの壁はすっかりなくなり……隠し通路らしきものもたくさん出てきた。最初に見つけたもの以外にもあったようだった……。
「フフ……壁という枷から解放され、自由を手に入れたとき、オレたちは真の迷い子となるのさ……」
「ようするに、お前はどれに進んだらいいのかわからんって言いたいわけだな」
まあ、俺にもわからんが。なんでこんなに通路があるんだよ。
と、そこで、上のほうからピシッピシッ!と岩が割れるような不穏な音が聞こえてきた。これはもしや……。
「ヒューヴ君が周りの壁を全部壊したおかげで、ここの天井が崩落するみたいですねー」
と、呪術オタがのんきに言うが、まさにそうとしか考えられなかった。
「やべえ! とっととここから出るぞ!」
俺は倒れている変態女を肩に担ぐと、みんなと一緒に適当に近くの通路に逃げ込んだ。
リュクサンドールは周りを見回し、俺に尋ねてくる。確かにここは行き止まりの広間で、他に進む道はないように見える。
「うーん? ここには罠しかなかったんだし、いったん戻って違う道を探すしか……」
「え、でも、階段からここまで一本道でしたよ。違う道なんかなかったですよ?」
「う……」
そういやそうだったな。戻っても無駄か。
「本当に困りましたねえ。こういうとき一番頼りになるサキさんが気絶しているんじゃあ。きっとサキさんだけですよね。僕たちが先に進む道がわかるのは」
「悪かったな、俺にわからなくて」
おそらく天然なんだろうが、妙にイヤミっぽく聞こえたので、むっとして反論した。
と、そこで、
「道? フフ……そんなものは自分で切り開くもんだぜ?」
ヒューヴ(闇の魔力でだいぶおかしくなっている)が、何やらかっこつけながら言った。
「いや、まずは来た道を戻って他に行ける場所がないか探すべきだろ、ヒューヴ」
「その名はもう捨てたと言っただろう!」
「え、あ、はい……確か今は閃光のダークレイヴンさん?」
「ああ、その名前もオレの中ではもう古い」
「えっ」
「今のオレはそう……罪深き暗黒の翼!」
「はあ」
まあ、実際こいつ警察に捕まってたし、罪深いか。しかし、こいつの気分でいちいち呼び名変えなくちゃいけないとかめんどくせーな。
「で、ギルティ(以下略)さんは、この難局をどう切り抜けるおつもりで?」
「知れたこと。風の流れを読むのさ」
「風? そんなの吹いてないだろ?」
そもそもここ地下なんだが?
「へえ、あんたには罪深き暗黒の翼の感じている風がわからないのかい。アタイにはわかるけどねえ」
と、そこでシャラ(闇の魔力でだいぶおかしくなっている)が話に割り込んできた。ちゃんと律義にヒューヴの呼び名を改めながら。
「いや、ここ地下だし、風なんか吹いてないだろ」
「吹いてるのさ。運命という風が、アタイたちの心の中に!」
ドヤァと全力の得意顔で言うシャラだった。なんだその表現。お前は夕暮れの河川敷で仲間とたそがれているスケバンかよ。
「じゃあ、その運命の風とやらでとっとと新しい道を探してくださいよ、もー」
「……フッ、お前に言われなくてもそうするさ。行くぜ!」
と、言うやいなや、ヒューヴはいきなりブラストボウを近くの呪術オタに向けてぶっぱなした!
「うひゃあ」
ディバインクラスのレジェンド・モンスターの物理障壁をも貫通するその攻撃は、あっさりその体を吹っ飛ばした。間抜けな悲鳴とともに。
だが、その一撃が壊したのはその邪悪な男の体だけではなかった。その向こうにある壁にもぶち当たり、それを粉砕したのだ。
そして直後、そこから隠し通路と思われるものが現れた。おお、これは!
「ゼルダの伝説じゃん!」
そうそう。あのゲーム、迷宮のひび割れた壁に爆弾仕掛けると隠し通路が出てくるんだよね。ミンナニハナイショダヨ?
「なるほど。道を切り開くとはこういうことだったんですね。さすがです、ヒューヴ君」
と、リュクサンドールはヒューヴをほめたたえた。すでにその体は元に戻っている。相変わらず再生クソ早いな。
「おいヒューヴ、じゃなかった、ギルティ(以下略)、なんであそこに隠し通路があるってわかったんだよ?」
「オレもそんなものがあるとは思ってなかった」
「えっ」
「本来、世界に壁などない。すなわち、ここをとりまくすべての壁を壊した時、俺たちは新しい世界に旅立つことができるはずだ。オレはそれを信じて行動しただけだ。いわばオレは、悲しい因果の奴隷なのさ」
「そ、そう……」
うーん、こいつ、言葉遣いこそ少し知的になってるが、行動は結局バカのままだな? ただ適当に壁壊しただけだったんじゃねえか。
「まあいい。進む道ができたんだから、とっとと先に行こうぜ?」
「……まだだ」
と、ヒューヴはまたかっこつけたポーズで言う。
「え、まだなんかあるのかよ?」
「ここの壁はまだ残っている。すべての壁を壊した時、オレたちはさらなる高みに到達するだろうッ!」
と、言うやいなや、ヒューヴは今度はこのホールを囲むすべての壁をブラストボウでぶち抜きはじめた。うわ、危ない! これに当たると相当痛いのでとっさに下にしゃがんだ。
やがて、周りの壁はすっかりなくなり……隠し通路らしきものもたくさん出てきた。最初に見つけたもの以外にもあったようだった……。
「フフ……壁という枷から解放され、自由を手に入れたとき、オレたちは真の迷い子となるのさ……」
「ようするに、お前はどれに進んだらいいのかわからんって言いたいわけだな」
まあ、俺にもわからんが。なんでこんなに通路があるんだよ。
と、そこで、上のほうからピシッピシッ!と岩が割れるような不穏な音が聞こえてきた。これはもしや……。
「ヒューヴ君が周りの壁を全部壊したおかげで、ここの天井が崩落するみたいですねー」
と、呪術オタがのんきに言うが、まさにそうとしか考えられなかった。
「やべえ! とっととここから出るぞ!」
俺は倒れている変態女を肩に担ぐと、みんなと一緒に適当に近くの通路に逃げ込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
212
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる