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影法師の後ろでヒョーと鳴く
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「神道では、昔から白蛇は幸運の象徴として扱われているのです。良ければこちらの最上階にお住まいになっていただきたいのです」
「……本気?」
ツキの一切の抑揚のない声。
「もちろんそれが最善ですが、難しければ脱皮後の皮などでも、よろしいです」
烏色は気にした様子はない。
「私は脱皮しない種族なの。諦めて」
「そうですか……残念です」
目は伏せているが、その口元は笑みを浮かべたままだ。
「すみません。こんなことお伺いしてしまって。お詫びと言ってはなんですが、よければ二階もご覧になっていきませんか? ほかに参加者の方もいませんし」
視線がタイヨウの後ろに向いた。
振り返ると、ぬえの姿はもうそこにはなかった。
「さぁ、どうぞこちらへ」
「じゃあ、おねがいします」
有無を言わさぬ圧に、言われるがまま烏色についていった。
軋む階段は急勾配で、ほとんど垂直だ。
上った先、2階は一階と同じような広間だった。
全面に木板の張られた四角形の部屋。
壁には十字架や、お札。
名前も分からない幾何学的なオブジェが、壁が見えなくなるほどに、びっしりと飾られていた。
「うわっ」
「どうです? 各地から集めた魔除けの数々」
こんなの魔除けのオーバードーズだ。
合わさり溶け合い、重複したその破魔の力は、神聖さを通り越してまがまがしい。
「もしかして、三階もこんな感じですか?」
「もちろん違いますよ。三階には、東の国から持って来た聖女があります」
「聖女?」
「はい、なんでも、どんな呪いも解けるそうで――」
壁に置かれた魔除けが突如震えだす。
「何? 何?」
「タイヨウ! 下から嫌な気配がする」
貼られていたお札が黒く変色し、十字架が爆発した。
「烏色さん! どうなってるんですか?」
タイヨウが烏色を見ると、思わずぎょっとした。
烏色の顔がぐにゃりと歪んでいた。
それは恐怖とも怒りともいえない顔。
虚空を見つめた目が四方八方へと跳ねまわる。
「奴が、復活しました。どうして……」
「奴って、もしかして」
「影法師です。影法師の封印が解かれました」
どうして。そんなタイヨウの疑問は、一階から響く爆発音によってかき消された。
「ここはまずいです。すぐに出ましょう!」
「出ましょうっていっても、どうやって!?」
先ほどの爆発の影響だろうか、階段の下からは黒い煙が絶え間なく吹き続けていた。
「私に任せてください」
「えっちょっ!?」
烏色はタイヨウを脇に抱えると、背中から黒い翼を生やした。
手を横に伸ばすのと同じくらいの大きさの翼から、数枚の羽が揺れながら地面に落ちた。
落ちた羽は艶やかな黒をしていて、まるで堕天使のようだ。
「おとなしくしていて下さいね」
烏色は手に持った錫杖を槍のように持ち、壁を突き破ると、タイヨウを抱えたまま飛び降りた。
「……本気?」
ツキの一切の抑揚のない声。
「もちろんそれが最善ですが、難しければ脱皮後の皮などでも、よろしいです」
烏色は気にした様子はない。
「私は脱皮しない種族なの。諦めて」
「そうですか……残念です」
目は伏せているが、その口元は笑みを浮かべたままだ。
「すみません。こんなことお伺いしてしまって。お詫びと言ってはなんですが、よければ二階もご覧になっていきませんか? ほかに参加者の方もいませんし」
視線がタイヨウの後ろに向いた。
振り返ると、ぬえの姿はもうそこにはなかった。
「さぁ、どうぞこちらへ」
「じゃあ、おねがいします」
有無を言わさぬ圧に、言われるがまま烏色についていった。
軋む階段は急勾配で、ほとんど垂直だ。
上った先、2階は一階と同じような広間だった。
全面に木板の張られた四角形の部屋。
壁には十字架や、お札。
名前も分からない幾何学的なオブジェが、壁が見えなくなるほどに、びっしりと飾られていた。
「うわっ」
「どうです? 各地から集めた魔除けの数々」
こんなの魔除けのオーバードーズだ。
合わさり溶け合い、重複したその破魔の力は、神聖さを通り越してまがまがしい。
「もしかして、三階もこんな感じですか?」
「もちろん違いますよ。三階には、東の国から持って来た聖女があります」
「聖女?」
「はい、なんでも、どんな呪いも解けるそうで――」
壁に置かれた魔除けが突如震えだす。
「何? 何?」
「タイヨウ! 下から嫌な気配がする」
貼られていたお札が黒く変色し、十字架が爆発した。
「烏色さん! どうなってるんですか?」
タイヨウが烏色を見ると、思わずぎょっとした。
烏色の顔がぐにゃりと歪んでいた。
それは恐怖とも怒りともいえない顔。
虚空を見つめた目が四方八方へと跳ねまわる。
「奴が、復活しました。どうして……」
「奴って、もしかして」
「影法師です。影法師の封印が解かれました」
どうして。そんなタイヨウの疑問は、一階から響く爆発音によってかき消された。
「ここはまずいです。すぐに出ましょう!」
「出ましょうっていっても、どうやって!?」
先ほどの爆発の影響だろうか、階段の下からは黒い煙が絶え間なく吹き続けていた。
「私に任せてください」
「えっちょっ!?」
烏色はタイヨウを脇に抱えると、背中から黒い翼を生やした。
手を横に伸ばすのと同じくらいの大きさの翼から、数枚の羽が揺れながら地面に落ちた。
落ちた羽は艶やかな黒をしていて、まるで堕天使のようだ。
「おとなしくしていて下さいね」
烏色は手に持った錫杖を槍のように持ち、壁を突き破ると、タイヨウを抱えたまま飛び降りた。
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