私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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それはラッキーだったのだろうか?

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 これまでの経緯。

 あのバイトに行こうとした早朝。昨日の深夜清掃のバイトのシフトからまだ4時間しか経っていないのに気がついた。

ーーハア、ほんとーっ。眠たい。寝させてほしい。

 ちょっとフラフラしていたのが、いけなかった。

 横断歩道を渡り始めていて貧血をおこしたのだ。救急車で病院に運ばれるまでの記憶がかすかにある。目を覚ますと、目の前には黒服の男が、本を読んでいた。

 え、だれでしょうか? と思いながら、声を出そうとするが、体にあまり力が入らない。黒服で黒縁メガネの男は、今の時代になぜ七三分けと思うが妙に似合っている。多分30過ぎのインテリっぽい感じだが、

「あ、気がつかれましたか、よかったです」
と、言いながら、こちらに近づいてきた。

  そして、
 「この度は大変なことをしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
と、土下座をする。

 え、そんな、一応、生きているし……立ってくださいと懇願する。それに、わたし、車に当たってないような気がすると思っていると、
 「あの、失礼ながら、身元を調べさせていただいております。土屋美代様。病院で健康状態を全て調べましたが、あとでドクターが来るとは思いますが、一応、強い打ち身だけだそうです。でも、こちらも心配ですので、申し訳ありませんが、全回復されるまで、我々の方で介護、面倒を見させてはいけないでしょうか?」
 「ええ、それは、ちょっと……ありがたいですが…難しいと思います」
 「そんな、だめでしょうか? 申し訳ありませんが、私の主人に連絡いたしましたが、拒否は全くもって納得されないと思います」

 「主人??」

 どうやら、このインテリさんの上司らしい。よくよく聞いてみたら、なんとあの大原財閥のトップである総裁、大原蓮司なんとまだ29歳という人の補佐をしているらしい。大原財閥は、今では関連企業などを合わせると日本の経済の中枢を担っている大組織だ。傘下内には、物流、情報、金融など幅広い。そして、最近はメディア業界にも力を入れ、ネット通信を生かした新たなるマーケティング方法を取り入れ、CDが売れない今の時代に音楽業界でも、一躍業界のトップに上り詰めた。そんな業界トップの会社を傘下に持つ、総本山の株式会社大原のトップ、総裁がこの大原蓮司という人らしい。

 「はあーーっ。すごいですね。私そんなすごい人に車でひかれちゃったんですか?」
 「いえ、正確にいえば、蓮司様の運転手です。ただ、ひいたかどうかということですが、どちらかといいますと、美代様が歩行中に倒れられたようです。いま運転手は警察の方で事情聴取されています。あ、申し遅れました。私、真田(さなだ)と申します。そして、運転手は伊勢崎と申します。あとで、美代様がお嫌でなければ、本人がどうしてもお詫びをしたいと申しております」

 「えええ、そうなんですか? でも、伊勢崎さんは何も悪くないじゃないですか? わたしがただ貧血で道で倒れただけなんですよね」

 意外とピンピンしている私は、かえって申し訳ない気になってきた。

 その言葉を聞いた真田は、あまりにもこの娘が無欲なことに驚いた。普通、大原の名前を聞いたからには、だいたい、コネか金、または権力が欲しいものが戯れるだけなのだ。この娘、自分がみすみす、大原財閥の総裁から大金を奪うチャンスを捨てているのだ。

 興味が湧いてくる。


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