私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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蓮司 思わずコウノトリのことを考える

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 急に蓮司が離れたことで、美代は自分のバスローブがエライすごいことになっていることに気がついた。乱れて腿もバッチリ、胸もギリギリのところまで開かれていた。しかも、よく見たら、なんだか虫刺されのようなものがいっぱいできているではないか?

 あれ、なんでしょうか? この赤い斑点は?
 急に恥ずかしさが込み上げて、ベットカバーごと自分の身体を隠してベットの中にもぐりこんだ。
 それに気がついた蓮司が額縁をチェックしていた手を離し、美代を見ていた。

 「美代、なんだ? どうした?」
 「え!だって、蓮司会長! つけたでしょ? いっぱい!!」

 先ほどの開き直った大人ぶった美代が消え、いつもの美代が戻ってきたことに安堵と落胆が交差した。

 「ああ、つけたぞ。まだ、足らんがな……」
 「なっ!!」

 そんな美代を無言で見ながら、蓮司が室内着の上を脱ぎ出した。

ーーえ!な、なんで脱ぐの?

 「ど、どうして、脱がれるのでしょうか?」

 あんぐりした表情の蓮司が美代を見つめる。

 「待て、お前はもしかして、赤ちゃんがまさかコウノトリが運んでくるとか、思ってないよな?」
 「え! なにおかしなことを言っているんですか? 嫌ですねー、会長ったら!! あははははっ」
 「………」 
 「………」
 「おい、じゃー、なんでお前は驚いている?」
 「あ、まあ……その……」
 「その……なんだ?」
 「あの、会長様の上腕二頭筋は、とてもご立派でありまして……」
 「……それだけか?」
 「ああ、もちろん、その素晴らしいご筋肉がちょっと眩しくて」
 「……眩しいか……」
 「あのなにを、召し上がれば、そんなに大きくなれるんでしょうねーー」
 「そうだな。なんだろうな。触って確かめるか?」
 「えっ! 触ってなんて!」

 えっと慌てている間に、蓮司が美代の腰をまた、くいっと引き寄せ、ベッドの横になりながら見つめ合う。蓮司は半身裸の為、美代は何か目のやり場がない。

 ただただ、恥ずかしいだけだ。

 「触ってみるか?」
 「え? ま、まずいんじゃないですか?」
 「な、なんでまずいんだ? この状態で?」

 なぜか美代は目をつぶって、蓮司の胸あたりに手をそっと当ててみる。

 「おい、なんで目を瞑る?」
 「え、あの、すいません、なんていうか」
 「寂しいな、何か嫌われているようだ」
 「あ、いえ、その、蓮司会長っの、隙の全くない裸を正直、あの、日曜講座だけのおばちゃんにはキツくてですねー、その……」
 「またでたな、よくわからん例えが……やっぱり、俺は美代に嫌われてるな、見るのもイヤなんだな。よくわかった」
 「んー、もう!なんですか!違いますよ!蓮司会長が素敵すぎて、直視出来ないんです! もう、最高にムカつく!」

 言った瞬間、美代はちょっとマズったと思った。なぜなら、今日は思い出作りだから、そんな後々の関係に響くような無様な自分を蓮司の前に残したくなかったのだ。

 でも、自分ではギリギリセーフなんじゃないかと思った。

 目を開けて見て、もっと仰天する。

ーーえ? 蓮司さん? あれ? 何故、顔が真っ赤なの?

 しかも、美代が手を当てている蓮司の心臓がバコバコと激しく音を立てているのが伝わってきた。
 蓮司はその赤面を片手で隠しながら、唸り声を上げる。

 「んーーっ、美代。お、お前は! いつも、そうやって! 俺をたぶらかすんだ!」
 「な、なにを!」

 ギュッと美代を蓮司は抱きしめる。耳元で蓮司は囁く。

 「美代、最後って、どう言う意味?」

 返事の代わりにビクッと美代の身体が反応する。

 「……」

 あまりに突然に核心をつく質問だったので、美代がうまくかわせない。

 「そ、その通りの事です。今日を最後まで楽しもうと……」
 「なんだそれは?じゃー、明日はどうなんだ?楽しむのか?」
 「まあそれなりに、楽しめると思います」
 「じゃー、来週は? 来年は?そのあとずっとずっと、後はどうすんだ?」
 「え? そんな先ですか? うーん。がんばっていれば、楽しいことも増えるんじゃないですか?」
 「美代、それに………俺は、その楽しいことの、隣にいるのか?」 
 「会長?」

 二人は見つめあった。沈黙が続いたが、それを破ったのは蓮司だった。

 「バーカ、最後なんてクソくらいだ。美代」
 「お前の今日の最後の何とかなんてな、聞いているだけで、腹が立つ。今晩は添い寝だけだ。俺の隣で添い寝しろ。今晩は、もう他には何もせん!」
 「え? 添い寝?」 
 「ああ、最高に名誉なことだ。俺に抱かれてただ眠るなんてな。そんな女いないからな」
 「な、なんて言い草!この変態エロ王子!人を馬鹿にして! わ、わたしなんか、どう、ここまで!!」

 緊張の糸が切れたのか、ポロポロと涙が美代の瞳から溢れた。

 「美代……いいんだ」
 「バカにして! エロバカ! 最低!ハゲてブサメンになれ!」

 美代が反対を振り向いてしまったため、蓮司が美代の後ろから抱きしめる。美代は自分の苛立ちを蓮司にエルボをしながら、抵抗する。

 「美代、わかってる……」
 「何にも分かってない!蓮司は!」

 ちょっと美代の言葉使いの変化に気がつきながら、少し笑いながら聞いている蓮司。

 「分かってる。美代。無理するな。ちょっと早すぎたな。悪かった。お前に無理をさせた」
 「な、なんですか? それ!ここまでさせて!」
 「あー、そうだ。そうだな。ただ、俺の第六感がやばいと言っている」
 「なんですか? それ?」
 「いいんだ、美代。寝ろ!」
 「え?」

 バスローブの上からがっちりと抱きしめられながら、蓮司は寝始めた。

ーーえ? なに? この展開? か、階段どうなったの。上がったの、私? それとも、階段自体、無かった?

 悶々としながらも意外にその後、ぐっすりと眠ってしまったのだ。
 しかし、次の日に、彼女はパニックに陥入る。まだそれを知らない美代は、明日の身を知らず、ぐーぐーと寝息をたてていた。

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