私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

文字の大きさ
97 / 200

なぜ地味な壁紙のような女に惚れるんですか?

しおりを挟む
 四人で喫茶店にいたら、白石先生に電話があった。仕事の用事で途中で抜けることになってしまった白石は、美代に改めて言った。
 「プロポーズは本気だから、考えてみてね」
 またウィンクしながらお店を出て行った。どうやらみんなのお茶代まで払ってくれたようだ。
 七瀬くんなんて、「あんな奴におごられたくない!」っと、言っていたが、まあ本人が去ってしまったからしょうがない。
 三人は外に出た。歩道を歩きながら一緒に駅まで向かう。
 歩美ちゃんは横で、「やっぱり真田か会長に問いただすべきだ!」と怒涛のような声を上げている。
 正直、白石先生に言われたことで頭がいっぱいだった。友達の助言が素直に聞けない自分がいた。

 「七瀬くん、歩美ちゃん、ごめん。ちょっとしばらく一人で考えたいの……」
 「「美代……」」

 二人が残念そうな顔で自分を見ていた。何度も二人に謝った。二人とも今度は怒り出して、七瀬君などはいまにも泣きそうな赤い顔をしていた。
 歩美が立ち止まったので、つられて皆、立ち止まった。

 「美代、私たちはあんたに謝ってもらいたいんじゃないんだよ! ただ、あいつは美代の古い知り合いっていうけど、いきなり結婚っておかしいと思う。あいつ、一回も美代のこと、好きだとも言わなかったよ」

 歩美はなんとか美代に自分達の怒っている意味を伝えたかったが、なかなか伝わらない。
 我慢に耐えきれない七瀬が、いきなり美代の両肩を掴んだ。

 「美代! 好きだ! ずっと気になっていた。あんな奴にお前を取られるなら、俺の方が数百倍マシだよ。あ、し、収入面は情けない話だが、なんとか考えよう!」

 突然の告白で唖然とする。到底、ウケ狙いのような雰囲気でもないし、面白くもなんともないのだ。ふいに想いが口から出る。

 「七瀬くん……? 歩美ちゃんは?」
 「歩美は、そりゃー、美少女だけど、俺は美代が好きだ。大好きだ。付き合ってほしい」

 あまりにもの状況の変化に美代は、混乱していたっというより、全く意味が理解出来なかった。

 「七瀬くん、あ、ありがとう。そんな七瀬くんみたいなモテモテの男子が友達ってだけで、ものすごい自慢なのに……でも、きっとそれ、勘違いだよ。どう考えても、私みたいな地味女、七瀬くんみたいな人を好きにならせる要素、ないと思うよ。付き合っても、すぐわかるよ。間違いって……」

 友達の関係を壊したくなかったし、どう考えても、七瀬くんのようなイケてる大学生が、自分のような地味な壁紙のように、まるで存在感がない女の子に惹かれる理由が見つからないのだ。

 「あ、美代、それを言っちゃかわいそうだよ。七瀬の命がけの告白だ。あんなヘンテコな弁護士さんのプロポーズより、ほんとにマシだよ。しかも、かなりあんたの上司からかなり釘を刺されていたんだから、『俺の美代に近づくな』って」
 「え、上司って……」

 正確に言えば真田なのかもしれないが、言葉を発せずに二人とも頷いた。
 二人共、美代の上司が誰かを知っていた。
 会長が、自分を求めている。
 それを聞いただけで、自分が浮き足立った。すでに、その訳を、本当の訳を、聞いたばかりなのに……。
 そんな自分が情けない。
 あれだけ、誓ったのに。
 あれだけもう、心に入らせないと決めたのに……。

 よくない恋の行方を止めるのはただ一つの方法しか美代は思いつかなかった。
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...