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なぜ地味な壁紙のような女に惚れるんですか?
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四人で喫茶店にいたら、白石先生に電話があった。仕事の用事で途中で抜けることになってしまった白石は、美代に改めて言った。
「プロポーズは本気だから、考えてみてね」
またウィンクしながらお店を出て行った。どうやらみんなのお茶代まで払ってくれたようだ。
七瀬くんなんて、「あんな奴におごられたくない!」っと、言っていたが、まあ本人が去ってしまったからしょうがない。
三人は外に出た。歩道を歩きながら一緒に駅まで向かう。
歩美ちゃんは横で、「やっぱり真田か会長に問いただすべきだ!」と怒涛のような声を上げている。
正直、白石先生に言われたことで頭がいっぱいだった。友達の助言が素直に聞けない自分がいた。
「七瀬くん、歩美ちゃん、ごめん。ちょっとしばらく一人で考えたいの……」
「「美代……」」
二人が残念そうな顔で自分を見ていた。何度も二人に謝った。二人とも今度は怒り出して、七瀬君などはいまにも泣きそうな赤い顔をしていた。
歩美が立ち止まったので、つられて皆、立ち止まった。
「美代、私たちはあんたに謝ってもらいたいんじゃないんだよ! ただ、あいつは美代の古い知り合いっていうけど、いきなり結婚っておかしいと思う。あいつ、一回も美代のこと、好きだとも言わなかったよ」
歩美はなんとか美代に自分達の怒っている意味を伝えたかったが、なかなか伝わらない。
我慢に耐えきれない七瀬が、いきなり美代の両肩を掴んだ。
「美代! 好きだ! ずっと気になっていた。あんな奴にお前を取られるなら、俺の方が数百倍マシだよ。あ、し、収入面は情けない話だが、なんとか考えよう!」
突然の告白で唖然とする。到底、ウケ狙いのような雰囲気でもないし、面白くもなんともないのだ。ふいに想いが口から出る。
「七瀬くん……? 歩美ちゃんは?」
「歩美は、そりゃー、美少女だけど、俺は美代が好きだ。大好きだ。付き合ってほしい」
あまりにもの状況の変化に美代は、混乱していたっというより、全く意味が理解出来なかった。
「七瀬くん、あ、ありがとう。そんな七瀬くんみたいなモテモテの男子が友達ってだけで、ものすごい自慢なのに……でも、きっとそれ、勘違いだよ。どう考えても、私みたいな地味女、七瀬くんみたいな人を好きにならせる要素、ないと思うよ。付き合っても、すぐわかるよ。間違いって……」
友達の関係を壊したくなかったし、どう考えても、七瀬くんのようなイケてる大学生が、自分のような地味な壁紙のように、まるで存在感がない女の子に惹かれる理由が見つからないのだ。
「あ、美代、それを言っちゃかわいそうだよ。七瀬の命がけの告白だ。あんなヘンテコな弁護士さんのプロポーズより、ほんとにマシだよ。しかも、かなりあんたの上司からかなり釘を刺されていたんだから、『俺の美代に近づくな』って」
「え、上司って……」
正確に言えば真田なのかもしれないが、言葉を発せずに二人とも頷いた。
二人共、美代の上司が誰かを知っていた。
会長が、自分を求めている。
それを聞いただけで、自分が浮き足立った。すでに、その訳を、本当の訳を、聞いたばかりなのに……。
そんな自分が情けない。
あれだけ、誓ったのに。
あれだけもう、心に入らせないと決めたのに……。
よくない恋の行方を止めるのはただ一つの方法しか美代は思いつかなかった。
「プロポーズは本気だから、考えてみてね」
またウィンクしながらお店を出て行った。どうやらみんなのお茶代まで払ってくれたようだ。
七瀬くんなんて、「あんな奴におごられたくない!」っと、言っていたが、まあ本人が去ってしまったからしょうがない。
三人は外に出た。歩道を歩きながら一緒に駅まで向かう。
歩美ちゃんは横で、「やっぱり真田か会長に問いただすべきだ!」と怒涛のような声を上げている。
正直、白石先生に言われたことで頭がいっぱいだった。友達の助言が素直に聞けない自分がいた。
「七瀬くん、歩美ちゃん、ごめん。ちょっとしばらく一人で考えたいの……」
「「美代……」」
二人が残念そうな顔で自分を見ていた。何度も二人に謝った。二人とも今度は怒り出して、七瀬君などはいまにも泣きそうな赤い顔をしていた。
歩美が立ち止まったので、つられて皆、立ち止まった。
「美代、私たちはあんたに謝ってもらいたいんじゃないんだよ! ただ、あいつは美代の古い知り合いっていうけど、いきなり結婚っておかしいと思う。あいつ、一回も美代のこと、好きだとも言わなかったよ」
歩美はなんとか美代に自分達の怒っている意味を伝えたかったが、なかなか伝わらない。
我慢に耐えきれない七瀬が、いきなり美代の両肩を掴んだ。
「美代! 好きだ! ずっと気になっていた。あんな奴にお前を取られるなら、俺の方が数百倍マシだよ。あ、し、収入面は情けない話だが、なんとか考えよう!」
突然の告白で唖然とする。到底、ウケ狙いのような雰囲気でもないし、面白くもなんともないのだ。ふいに想いが口から出る。
「七瀬くん……? 歩美ちゃんは?」
「歩美は、そりゃー、美少女だけど、俺は美代が好きだ。大好きだ。付き合ってほしい」
あまりにもの状況の変化に美代は、混乱していたっというより、全く意味が理解出来なかった。
「七瀬くん、あ、ありがとう。そんな七瀬くんみたいなモテモテの男子が友達ってだけで、ものすごい自慢なのに……でも、きっとそれ、勘違いだよ。どう考えても、私みたいな地味女、七瀬くんみたいな人を好きにならせる要素、ないと思うよ。付き合っても、すぐわかるよ。間違いって……」
友達の関係を壊したくなかったし、どう考えても、七瀬くんのようなイケてる大学生が、自分のような地味な壁紙のように、まるで存在感がない女の子に惹かれる理由が見つからないのだ。
「あ、美代、それを言っちゃかわいそうだよ。七瀬の命がけの告白だ。あんなヘンテコな弁護士さんのプロポーズより、ほんとにマシだよ。しかも、かなりあんたの上司からかなり釘を刺されていたんだから、『俺の美代に近づくな』って」
「え、上司って……」
正確に言えば真田なのかもしれないが、言葉を発せずに二人とも頷いた。
二人共、美代の上司が誰かを知っていた。
会長が、自分を求めている。
それを聞いただけで、自分が浮き足立った。すでに、その訳を、本当の訳を、聞いたばかりなのに……。
そんな自分が情けない。
あれだけ、誓ったのに。
あれだけもう、心に入らせないと決めたのに……。
よくない恋の行方を止めるのはただ一つの方法しか美代は思いつかなかった。
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