私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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嵐の夜 三

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 結局、全部つけ直された。
 かなり恥ずかしい格好をさせられ、えええ、とか、ひひゃーーーっか、唸りながら、本当に全てのマークをつけ直したのだ!!
 しかもその場所を探ってくる手が、どう考えてもいやらしく、卑猥で、でもそれに対して変な声が出てしまう自分がもっと腹立たしかった。蓮司の言葉も彼の甘いのか獰猛なのかよくわからなかった。結局、蓮司の悪魔と天使が入り混じる匠な言葉と技巧で、美代はパジャマも全部ぬがされた。ただ、隠したい胸元は手で押さえていた。

 ま、まな板の鯉??

 幸い、最後の砦のパンツ様は無事であったので、隠したいところは腕の二本で足りていた。しかし、蓮司は最後の砦の端に、指先をなぞらせながら、「ああ、今日は喰ってやるつもりだったんだがな、ここもな……」と、低い声で、怒っているような唸り声で話しをする。

 「認めろ、美代」
 「え、何、ああ、きゃーーーダメ!!」
 「ダメじゃない、言え。お前は俺のもんだ」
 「な、なぜ!?」
 「もっと印を増やすか?」
 「嘘、それもダメ!」
 「ダメばっかりだな、もう呆れるな」

 怒っているはずの蓮司は、顔は高揚しながら、美代が自分の腕の中で無防備な姿でいることに安心したのか、表情が和らいできた。おでことおでこをくっつけられた。

 「お前は何を不安がっているんだ?」

 いきなりの核心を突く質問に美代の体はビクッとした。
 そんな美代の変化を見逃さない蓮司は、そっと手を伸ばし、美代の身体をぎゅーと抱きしめた。素裸から感じる蓮司の肌が燃えるように熱かった。

 「美代、何度でも言ってやる。お前を愛している。大好きだ。なぜ、俺から逃げる?」
 「会長……そんな、ひ、卑怯! ずるい! こんな時に!」

 身体が震え始め、美代が身を硬ばらせる。そんな様子を見ながら、蓮司は目尻を下げ、先ほどまであった野獣は蓮司の奥底に身を潜める。

 「愛している。美代、認めろ! 自分は俺のもんだって」
 「……イヤ! やだ! 無理!」

  ちょっと困った顔をした蓮司は、今度はただ唇がそっとくっつくだけような口付けを美代の頬に落とした。

 「わかった。お前にどんだけ俺が惚れているか教えてやる……」

 何かまたさせると思った美代が身震いをすると、反対に蓮司は甘い言葉でささやき始めた。

 「美代、お前のその、いつでもちょこまかしている様子が大好きだ」
 キスがまたチュッと落ちる。
 「美代、このクリクリした目がたまらん!」
 またキスだ。
 「美代、この小さな子供みたいな手も、首筋も、鼻も、耳も、胸も、足も、あああ、あそこだって全て食い尽くしたいほど、大好きだ」
 キスの連続が続く。

 「も、もう!! れ、蓮司! ずるい!っやめて!」
 「美代、その頑固さもいいな、崩していく楽しさがあるしな……」
 「ひ、ひどい! 」
 「ああ、お前の肌触りも最高だ。もっと奥が知りたいけどな」
 「……エロオヤジ! バカ!」
 「お前はどんな味なのか、考えただけで、もう、俺は寝れない……」
 「きゃーーー、変態!! 誰か!! ここに変態がいます。誰か!!」

 美代がバタバタとしている様子を優しく蓮司は見つめる。

 「いつも頑張っているところも好きだ……」
 「え?」
 「あのコンビニでも、清掃の時も、お前はな、いっつも一生懸命だな」
 「コンビニ? もしかして、会長、見てたの?」

 言葉の代わりに微笑む蓮司がいた。
 また段々とその言葉使いが変化するのを聞いて、感情と緊張が崩れていく美代を蓮司は愛おしそうに眺めた。

 「美代、お前は絶対信じてくれないと思うが、俺にとってはお前が初恋だ……」
 「え!? えええ?」

 全く冗談、イヤ、嫌味? 罠? なんなの?っという想いが美代の心を駆け巡る。

 「あのー、蓮司さん、今時のホストだってそんなチンケな事、嘘でも言いませんよ」
 「……まあ そうかもな。あ、お前、まさかホストクラブなんて行ったことあるのか?」
 「あるわけないじゃないですか? 私は苦学生ですから! 一人なんですから! そんな身の破滅をしそうな遊びもお金もないですよ!」
 「ああ、そうだな。お前はそういう性格だ。でも、お前はもう一人じゃないぞ。俺がいる。美代、絶対にお前を守るし、お前を一人にしない」
 当たり前の事をいったつもりの蓮司だが、それを聞いた美代は固まった。

 彼女の頬に雫が流れ落ちた。

 「美代……」

 美代が身体の隙間から出した自分の手を蓮司の頬にぶつけた。

 バチンッと音が鳴る。

 「か、会長!そんな心にもないこといってまで……ひ、卑怯! 鬼畜! 悪魔! 鬼!! 末代まで呪ってやる!」

  頬の痛みよりも何かの核心を掴んだと手応えを感じた蓮司は嬉しさがこみ上げる。

 「ふふふ、美代。末代まで呪ってくれるなら、結構だ。ただ俺の嫁になって、その末代を一緒に作りたい。それでも、お前は末代まで呪えるか?」
 「な、何馬鹿な事をほざいているのですか? このバカタレ御曹司!」
 「いい、罵れ。俺はお前一緒、罵倒非礼されてもいい。お前が俺のそばにいてくれて、俺がお前を愛す事を許してくれるなら……」
 「なんなの!? 変態! やっぱり歩美ちゃんが言っていた通り、蓮司は大馬鹿の変態のクソタレだ!」
 「クソタレなんて、初めて言われたな。お前が言うとなんか卑猥でいいな」
 「はあ! やっぱりおかしい! 蓮司はもう一回、学校やり直せ!離せーーー!蓮司!!」

ーーーああ、そんなに可愛い顔して、蓮司なんて連発で叫びやがって、、俺がお前を離せる訳ないだろう?

 かえって蓮司の愛を暴走させている事に全く美代は気がついていない。

 「美代、いいんだ。お前は今まで通りで。ただ俺がそばにいる。ただし、七瀬とか白石とか他の男はダメだ。お前の男は俺だけだ。それだけはわかれ」

 反発しようと思っているのだが、段々と抱かれている素肌が蓮司の肌の温かみに慣れてしまい、さっきまでの荒々しさが消えてしまう。

 「やだ! 会長のボケナス! 変態!」
 「お、さっきより大人しくなったな。大好きだ!美代」
 「う! うるさい! ダメなの! ダメなもんはダメ!」
 「何がダメなんだ? お前はやっぱり俺が嫌いか?」
  後ろから蓮司の熱を感じる。

 「!!き、嫌い! 嫌い! 嫌い! だいっきらい!」
 「はーーー、傷つくな。でもな、なんだか反対に聞こえるのは気のせいか?」

 蓮司の思わぬ鋭い言葉にビクッとまた美代は反応してしまう。

 「たまらんな……その反応」
 「!!!」
 「どうやら、まだお仕置きが必要だな、美代は、もっと素直になれ……」

 その後、二人は布団の上で絡み合った。ほとんど蓮司に熱い息がかからないところはないっと言っていいほど、美代はこの男に心も体も奪われつつあった。

 「美代、俺はお前とずっといたい。他のやつとの結婚なんて許さない……」

 蓮司が肩に自分の歯型を残す。

 「い、痛い!!」
 「ああ、美代。白石なんて男、殺してやりたい……」

  思わず本音が出た蓮司が美代を攻める。

 「だめ、先生殺さないで、白石先生は……恩人なの……先生が私が必要って」

  蓮司がまた素肌を擦り寄せる。

 「必要だと? 美代、あいつが必要といえば、お前はこの身体を差し出すのか?」

 蓮司の身体が急に熱くなる。怒りと熱情が入り混じった唸り声と共に美代を力強く抱きしめた。

 「蓮司、く、苦しい!」
 「美代、お前が白石を選ぶなら、お前を殺してでも行かせない……」

 今までにない真に迫った殺気を感じて、美代はドキっとした。

 「ふ、冗談だ。美代。それは俺に任せろ。その代わり、お前は俺を信用しなければならない……出来るか?」
 「白石先生を助ける代わりに、会長を信用するの?」
 「ああ、そうだ。こうやって肌を寄せ合うと気持ちいいだろう?」

 蓮司は美代をいつも抱きしめると、嫌と言いながらも、彼女の本質、いや本能が、寂しさを紛らわせるように擦り寄せる感覚を何度も感じていた。快感や欲望からくる自然的な行動かと思っていたが、何故かそれは根本的に違うような気がした。

 「お前が寂しければ、いつでもこうやって抱きしめて寝てやる。俺のそばにいるんだ」
 「……」

 無言を肯定と考えた会長が暴走した。 
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