私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

文字の大きさ
194 / 200

美代の困惑と蓮司の想い

しおりを挟む
 「……ど、どうしよう!」

 朝から普段はありえないほどの報道人が大原邸の周りを囲んでいる。
 カーテンの隙間からちょっとノゾくと、山川さん達が、報道人に安全性の問題から、これ以上入らないでくれと話しあっているようだった。

 ああ、どうしてこんなになってしまったかと考える。

 「……どうした。美代」

 耳元で、蓮司が囁く。

 「……蓮司さ~ん! どうしましょう!」
 「何をだ?」
 「だって、こんな人、わざわざこんなとこまで来て……」
 「……何もする必要はない……」
 「……え?」
 「美代、お前はをしたのか?」
 「……いいえ」
 「人に謝るようなことをしたか?」
 「……一応、この件に関してはないと思いますけど、なんていうか、あんなにすごい事だと思わなかったし、ただ私はみんなのためのなればいいと思っただけなのに……」
 「……そうだな。そういうことだ」
 「……え?」
 「それをあいつらの前で話すか?」
 「ぎょええええ、マジですか?」
 「どっちでもいい。でも、あいつらもネタが欲しいんだ。年末だから、お正月がくれば、また忘れ去られる。いま取材に答えるのがベストだが、無理とは言わない」
 「……蓮司」
 「……大丈夫。俺が付いている」

 そして、なぜかメディファクトのプレスルームで緊急会見となった。

 バシバシと目の前にストロボライトがたてられた。
 「あの土屋美代さん、どうしてあれを無償で譲られたのですか?」
 「あ、え、あのまあ皆さんのお役に立てればいいと思いましたので……」
 「あれが世界のエナジーシステムを変えるくらいの影響力があるとご存知でしたか? 発展途上国の今まで電力が行かない地域にも活躍することが期待されています。それについてはどう思われますか?」
 「嬉しいです」

 「あの美代さんはすでに、もう御結婚されていると言う噂があるのですが、本当でしょうか?」

 美代は思わず、会場の端で見守る蓮司が目に入る。

 「え、あ、そのはいそうですが、それはプライベートなことなので、質問は受けません」
 「え、でも、そのお相手があの大原財閥の会長らしいとあるのですが…」
 「あ、ごめんなさい。それらは、あの……」

 その時蓮司が微笑んでいるのが見えた。
 それがなぜか美代に安らぎと自信を与えた。
 
 「ああ、もういいです。いっちゃいます。そうです。旦那様は大原蓮司さんです!!」

 一気にフラッシュが大きくなる。

 思わず、蓮司がその集団をかき分けて、美代を抱きしめた。

 「れ、蓮司、会長!!」
 「ばか、美代。先走るなって言ったじゃないか!」

 ストロボの前に立った蓮司は報道陣に一喝する。

 「これまでだ。では、を返してもらう」

 手を引いて蓮司はそのプレスルームから美代を引きずり出した。

 車で大原邸に向かう。
 その間、ずっと蓮司は美代にキスをし続けた。

 そして、絶えず、この言葉を言いながら……。
 
 「美代、ありがとう」

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7の前編を公開しました! 後編は1/29に公開する予定です(2026.1.28)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

処理中です...