会長様を手に入れたい

槇瀬陽翔

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16話

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Side 大我


聖の発情が予定よりも早く終わった。


それは間違いなく俺がいつもより反応を示し、いつも以上に相手をしたのが要因なんだろう。

だが、それと同時に聖のアレが、発情の暴走が起こりうる時間が早まったということ。

色々と対策をして、救護班、風紀、そして先生たちと連携して対応しなくてはならない。だがそれは聖自身が危険信号をちゃんと発してくれないと意味をなさないんだがな…。


最近、聖が悩んでるのも気付いていたので一度ちゃんと校医と話した方がいいと思った。

今回のこともあるので聖を連れていけば、やっぱり校医は聖と話がしたいというので俺は聖を残して部屋を出た。


30分も時間を潰さないといけなくなり、どうしようか考えたが風紀委員室に向かうことにした。


部屋に入り自分の机に行けば。処理されている書類と処理されていない書類がいくつかあり俺はそれにざっと目を通した。
時間もあることだしと思い、俺は椅子に座り処理されていない書類を片付けることに決めた。勿論、時間は確認しながらだけどな。


時間を確認しつつ作業を進めていたら丁度キリのいいところで終わったので、聖を迎えに行くことに決め、部屋を出た。


校医の部屋に戻る途中で慌ただしく動く救護班を見つけ
「覚醒したのか?」
傍にいた救護班の一人に声をかければ
「あっ委員長。お疲れ様です。一人はすでに覚醒済みですが、もう一人が覚醒し始めたみたいで連絡をもらいました」
少し驚いた顔をしながらも説明してくれる。
「そうか、じゃぁいつもの場所に連れて行ってくれ。俺から校医には連絡しておくから」
聖と話してるからあの人は多分、すぐには来ない。
「わかりました、お願いします」
短く返事をして班長へと報告に行ってくれる。本当に救護班には助けられてるな。


俺はこの現場を救護班に任せて聖を迎えに行くついでに校医に連絡するために二人のいる部屋に向かった。


俺が部屋に入れば

「神尾くんが言った言葉、発情した君を前にしてギリギリ精一杯ってこと。あれ、彼の本音だよ」

「えっ?そうなんですか?」

「うん。だって…今まで彼はこんな痕を君につけなかったもんね」

「えっ?えぇぇー!!!」

二人のそんなやり取りが聞こえた。またあの人は余計なことを…。


「あぁ、やったかやらないかは僕が聞くから答えてくれるけどそれ以外は教えてくれないよ」
二人の様子を窺っていたけど俺は溜め息をつき
「教えなくても聞きたがるでしょうあなたは…」
二人の会話に割り込んだ。
「おや、もう30分経ったのかい?早いなぁ、聖くんから色々と聞き出そうと思ったのに残念だぁ」
全然、残念に思ってない人がよく言うもんだ。
「あまりここに長居するのも聖にも悪いし、先生には新しい仕事ができたんで戻ってきたんですよ」
「第2の性の覚醒の子か…。場所はいつもの場所だね。じゃぁ、聖くん一応、明日まで様子見で休んでね。それと、アレが近いから用心してね」
俺の言葉に校医は素早く反応して出ていく。俺も聖を連れて借りてる部屋へと戻るために部屋を出た。


二人で戻ってくると聖は悩みながらソファに座った。


色々考えこんでるみたいだったから俺は一人でゴソゴソと動き食料の確認をし始めた。


「おい、聖」
声をかけるが返事はなく
「おい、こら」
もう一度声をかければ
「へっ?何?」
ビックリして俺を見る。よっぽど深く考え込んでたみたいだな。
「コンビニに行かないかって声をかけたんだよ。なんか考え込んでるみたいだし」
苦笑を浮かべて言えばどうしようかとまた考え込んだ。


これは…俺がちゃんと話を聞いてやらないとダメなやつだな。


「わかった、ちょっとそこで待ってろ」
そう声をかけてからキッチンに戻った。コーヒーを作ってじっくりあいつの話に付き合ってやる覚悟をした。


コーヒーをテーブルの上に置き聖の隣に座った。


「なぁ…大我…」
そう声をかけるが何も言わないのは俺がちゃんと答えてくれないと思ってるからなんだろう。


「なぁ…大我…あのな…」
やっぱり途中で黙り込んでしまう。


仕方がないな…


「答えても大丈夫な話ならちゃんと答えてやるぞ?」
この言葉を聞けばきっと聖は話しやすくなるだろう。
「えっと…大我は第2の性には目覚めてるのか?」
今更な質問だが、俺はこの男に覚醒してるということも属性も話してないので知るわけがないのだ。
「俺は覚醒してるぞ。なんなら聖よりも随分と前にな」
俺の言葉に驚いたなやっぱり。
「もしかして…俺が覚醒した時って大我にとってヤバい状態だったとか?それとも何の問題もなかったのか?」
まぁ、俺が覚醒してると聞けばそう思うのは不思議じゃない。
「そうだな。俺にとってお前の発情は毒になる」
俺にとって本当に毒になるものだ。
「それって…どういう意味で?」
意味が分からないんだろう。
「俺がアルファでお前がオメガだからだ」
校医以外に俺の属性を知ってるのは実は誰もいない。内緒にしてるわけではないが、話す必要はないと思っているので誰にも話していなかったのだ。それに俺自身が第2の性に興味がないままだからな。


「えぇぇ!そんな!そんな素振り全然ないし、俺に反応返さないじゃないか!」
やっぱりな反応だ。
「別に返してないわけじゃない。お前が気付かないだけでちゃんと反応はしてる」
バレないようにしてるだけだっての。
「眉一つ動かさないような男が反応してるって嘘だろ!」
まぁ、確かに表情には出してないな。あっ、態度にもか…。
「一杯一杯だっての。ギリギリじゃなかったら、こんな痕は残さねぇよ」
仕方がないので証拠となる痕を見せてやる。自分でも驚いたが、あの時はどうやら本当にヤバかったらしい。薄いものだがかなりつけていたみたいだからな。自分でもよく踏ん張ったと感心せざるおえない。
「うぇぇぇぇ!!!」
驚くよな。うん、それは仕方がないだろう。
「い…いつの間に…覚えてない…」
やっぱり最終的にお前は覚えてないんだな。
「お前は大概、最後の方は疲れて記憶が飛ぶからな。この痕見たときも大変だったし…」
本当に大変だったな。俺の行動一つであそこまで反応するとは思わなかったが…。
「…俺が…俺が傍にいない方が…大我はその方が楽なのか?」
何をどう考えたらこんな答えにたどり着くのか?
「お前は根本的に勘違いをしてる」
少しきつくなったが勘違いしてるだろお前は…。唇を噛み締めて俯いた聖。


「俺がお前に反応をか返さないようにしてるのも、抱かないのも、俺自身に事情があってのことだ。お前に興味がないわけじゃない。迷惑だったら初めっからこんなに付き合ってやるかよ。俺はそこまで優しくはねぇよ」
俺はそこまでお人好しじゃねぇんだよ。


「大我は…大我には…その…ちゃんとした相手がいるのか?」
今度は何を思ってんだこの男は…
「…あぁ。いることはいるな」
俺にとって毒になるのはお前だけだ。それが俺にとってちゃんとした相手。番となる人物が聖唯斗だからであって…。だが、この男はきっと自分の番が俺だと気が付いてないし、必要以上に俺を欲する理由をちゃんと理解できていないだろう。
「…じゃぁ…その相手とは…もぉ…」
この男は…
「お前…俺をどんだけヒドイ男にしたいんだ」
流石にイラっとなって俺は俯いた聖を掴んでソファの上に押し倒して押さえつけた。


俺がどんな気持ちでお前と接してるのか


俺がどんな思いでお前の傍にいるのか…


他の男に興味持つほど俺はバカじゃねぇし、軽い気持ちを持ってるわけじゃねぇんだよ。


俺が手に入れたいのは後にも先にも聖唯斗お前一人だけだ。



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