3 / 5
3
「で?なんでまたお前はここにいるんだ?」
城島はため息をつきながら顧問からもらってきた書類を持ったままソファに座っている人物に声をかけた。
「なんとなく?」
なんて首を傾げながら答える人物。その顔は少しだけキョトリ顔になっていた。いちゃまずいのか?と言わんばかりだ。
「問題だらけだろうが。自分の仕事はどうした?あいつらはいいのか?」
その顔を見ただけで城島はダメだろうがと反論する。
「なんで?」
そんな城島にますます不思議そうな顔をする人物。
「あのなぁ、田神。ここはお前の遊び場じゃねぇんだけど?」
城島はソファに座ってくつろいでいる人物、田神に呆れた顔をする。が、すぐに溜め息をつき持っていた書類を机に置き田神の方へ行き隣にドカリと座る。
「で?何があった?」
相手の方を見ることなく聞いてみる。顔を見て聞いても何も答えないだろうと城島は判断したのだ。
「…何が…って…」
田神にしては歯切れが悪い。言葉にするのを躊躇っているようにも思えた。
「この場所で話せる話か、それとも寮の自室で話した方がいいのか?」
今、この部屋には城島と田神の2人しかいないが、いつ他のやつらが戻ってくるかもわからない。だから城島は田神に聞いてみたのだ。
「部屋が…いいのかも?」
田神にしては言葉を選んで返事をした。
「わかった。戻ったら聞いてやる。で?向こうに戻らなくても平気なのか?」
城島には田神がいつからこの場所に来ているのかがわからないから大丈夫なのかと聞いた。その途端に田神からは盛大に大きな溜め息が出た。それだけで城島はなにかあったなと思った。
「それも込みで部屋での話か?」
田神の顔を見ながら城島が聞けば、田神は小さくうなずいた。
「あと、15分だけここで休憩して、向こうに戻れ」
城島は田神がいつものように横になれるようにしてやる。それを合図にするように田神は城島の脚を枕に横になった。
15分後、田神は戻っていった。
「だから、なんで部屋の住人である俺より先に部屋の中にいるんだお前は…」
委員会を終わらせて寮の自室に帰ってくれば、本来なら暗いはずの部屋が明るく、それなりに温められていた。
「いいだろ?俺とお前の仲なんだし…」
などと悪びれる様子もなく言う。
「誤解を招くような言葉を口にするな。俺とお前は恋人でもなんでもねぇんだぞ」
田神の言葉に城島は呆れながら言う。誤解されるぐらい城島と田神はよく一緒にいる。が、城島自身それを誤解だと否定もしないので、2人が恋人同士だという噂が独り歩きしているのも事実だ。もちろん、田神もそれを否定しないのだ。だから余計に噂が広がっているのだ。城島はソファに座ってる田神を放ったまま、寝室へと向かい、制服から部屋着へと着替えた。
「で?お前は飯食ったのか?」
珍しくソファの上で膝を抱えて座ってる田神に声をかければ、少しの間を開けてから首を振った。
「飯は食うのか?」
冷蔵庫の前で確認の為に聞けばいらないとばかりに首を振った。
「お前…」
城島はちゃんと飯を食えと言いかけたが、今の田神に言っても無理なのをわかっているので、グッと言いたい気持ちを押し殺した。
「なんか飲むか?」
冷蔵庫の中から水を出しながら聞けば、やっぱりいらないとばかりに首を振った。城島は溜め息をつき、田神の隣に座った。こういう時の田神は何かを考えこんでいるときだから。そのため城島は田神自身が話し出すまで何も言わない。ただ、隣に座ってるだけ。
どれだけそうしていたのだろうか?
コツリと城島の肩に田神の頭が当たる。
「どうした?」
城島が声をかければ、
「色々とモノ申したいんだが…なんで黙ってた?」
溜め息交じりに田神が言う。が
「はっ?」
城島には何のことかわからず変な声が出た。
「お前、ちゃんと恋人がいたんだろ?なんで黙ってたんだ?」
自分の方を見ようとしないで告げられる田神の言葉に城島は混乱した。
いつ、誰が、誰の恋人だと?
「ちょっと待て、誰に恋人がいると?」
身に覚えのないことを言われて城島は本当に混乱をしていた。
「あいつらが証拠写真を持ってたぞ。膝枕して寝せてたやつ」
少しだけ不機嫌な声。それと同時に証拠写真の内容に城島は心当たりがあった。
「なんだ、お前、俺に恋人がいたら嫌なのか?」
「なっ、ちがっ…違わないか…うん、イヤだな」
城島の言葉に違うと反論しかけて、田神は嫌だと呟く。それがどういう意味でなのか田神にはわかってはいないが、イヤだと思ったのだ。
「残念だけど、俺には恋人だと言える奴はいねぇよ。まぁ、誤解を招く言動をする奴はそばにいるけどな」
「誤解を招くって俺の事か?」
城島の言葉にすぐ反論するあたりさすがである。
「お前しかいねぇだろう。ちなみにお前が言った証拠写真な、あれはお前だからな」
「はぁ~??どういうこと??」
城島の言葉に田神が驚いた声を上げる。あれが自分だなんて田神は知らないのだから当然である。
「そのまんまだ。お前が俺の所で油を売っているから、その報酬にあいつらに送ってる賄賂だ」
城島の口から出てきた真実に田神は理解が追い付かない。口をパクパクさせていたら、
「あいつらも、俺のとこの連中も、俺とお前が戯れてるのを見るのが好きなんだとよ。お前が俺の前だけで年相応になるのを見るのが楽しいらしいぞ」
城島がさらなる爆弾を落とした。田神にとっては初めて聞くことだらけで、内容を理解して恥ずかしくなってくる。
「うわぁ…マジかぁ…どうりでなんか温かい目で見られてるときがあるわけだ…」
田神は城島の肩に顔を押し付け一人で悶え始める。
「まぁ、そんなわけだから俺には恋人はいねぇぞ。まぁ、好きなやつはいねぇが気になるやつは一人いるな」
城島にしては珍しく自分の気持ちを口にした。
「マジで?そんな奴いるの?」
城島の言葉を聞き田神ががばっと顔を上げる。城島はくすりと笑い
「そういうところが、あいつらには新鮮に見えて、いいみたいだぞ。安心しろ、俺はしばらく恋人は作らねぇから」
田神の鼻をつまみながらそんなことを言う。
「ホントだな、嘘つくなよ」
今日の田神は食いつき気味に言ってくる。
「嘘つかねぇよ。さてと、シャワー浴びてくるから、お前は自分の部屋に戻るかどうするか決めろ」
城島は田神の頭をぐしゃりと撫でてシャワーを浴びに行ってしまった。
「ホント…噂を噂のままにしとくあいつってなんだろう?あっ…俺もか…」
城島の背を見送ってから田神は一人口にする。が、自室に戻ろうとはせずに、そのまま城島の寝室へと移動した。
「やっぱりこっちで寝るのかお前は…」
シャワーを浴びて、寝室に戻ってきた城島はちゃっかりと自分のベッドの中に居座っている田神を見てため息をついた。勝手に鍵を開けて入ってきた日、田神は自分の部屋に戻らないことが多いのだ。
「ん、こっちのが温かくてよく眠れるんだ」
すでに眠りの中に足を半分突っ込み始めた田神が答える。城島は部屋の明かりを消すと溜め息をつき、田神の隣に横になった。恋人でもない者同士が同じ部屋で一緒に寝ていること自体がおかしなことなんだが、あれこれと文句を言ってもしょうがないし、別に迷惑でもないからいいかとお互いがそう思っていた。だから、余計に変な噂が独り歩きしているのだろうと城島はわかっていたが、それを誤解だと訂正する気もさせる気もなかったので放置したままなのだ。
「んー、おやすみ」
田神は城島からの返事を聞く間もなく眠りの中に落ちていった。
「おやすみ」
城島はそんな田神を見て小さく笑い、風邪をひかない様にと布団をちゃんと着せて自分も寝るために目を閉じたのだった。
Fin
城島はため息をつきながら顧問からもらってきた書類を持ったままソファに座っている人物に声をかけた。
「なんとなく?」
なんて首を傾げながら答える人物。その顔は少しだけキョトリ顔になっていた。いちゃまずいのか?と言わんばかりだ。
「問題だらけだろうが。自分の仕事はどうした?あいつらはいいのか?」
その顔を見ただけで城島はダメだろうがと反論する。
「なんで?」
そんな城島にますます不思議そうな顔をする人物。
「あのなぁ、田神。ここはお前の遊び場じゃねぇんだけど?」
城島はソファに座ってくつろいでいる人物、田神に呆れた顔をする。が、すぐに溜め息をつき持っていた書類を机に置き田神の方へ行き隣にドカリと座る。
「で?何があった?」
相手の方を見ることなく聞いてみる。顔を見て聞いても何も答えないだろうと城島は判断したのだ。
「…何が…って…」
田神にしては歯切れが悪い。言葉にするのを躊躇っているようにも思えた。
「この場所で話せる話か、それとも寮の自室で話した方がいいのか?」
今、この部屋には城島と田神の2人しかいないが、いつ他のやつらが戻ってくるかもわからない。だから城島は田神に聞いてみたのだ。
「部屋が…いいのかも?」
田神にしては言葉を選んで返事をした。
「わかった。戻ったら聞いてやる。で?向こうに戻らなくても平気なのか?」
城島には田神がいつからこの場所に来ているのかがわからないから大丈夫なのかと聞いた。その途端に田神からは盛大に大きな溜め息が出た。それだけで城島はなにかあったなと思った。
「それも込みで部屋での話か?」
田神の顔を見ながら城島が聞けば、田神は小さくうなずいた。
「あと、15分だけここで休憩して、向こうに戻れ」
城島は田神がいつものように横になれるようにしてやる。それを合図にするように田神は城島の脚を枕に横になった。
15分後、田神は戻っていった。
「だから、なんで部屋の住人である俺より先に部屋の中にいるんだお前は…」
委員会を終わらせて寮の自室に帰ってくれば、本来なら暗いはずの部屋が明るく、それなりに温められていた。
「いいだろ?俺とお前の仲なんだし…」
などと悪びれる様子もなく言う。
「誤解を招くような言葉を口にするな。俺とお前は恋人でもなんでもねぇんだぞ」
田神の言葉に城島は呆れながら言う。誤解されるぐらい城島と田神はよく一緒にいる。が、城島自身それを誤解だと否定もしないので、2人が恋人同士だという噂が独り歩きしているのも事実だ。もちろん、田神もそれを否定しないのだ。だから余計に噂が広がっているのだ。城島はソファに座ってる田神を放ったまま、寝室へと向かい、制服から部屋着へと着替えた。
「で?お前は飯食ったのか?」
珍しくソファの上で膝を抱えて座ってる田神に声をかければ、少しの間を開けてから首を振った。
「飯は食うのか?」
冷蔵庫の前で確認の為に聞けばいらないとばかりに首を振った。
「お前…」
城島はちゃんと飯を食えと言いかけたが、今の田神に言っても無理なのをわかっているので、グッと言いたい気持ちを押し殺した。
「なんか飲むか?」
冷蔵庫の中から水を出しながら聞けば、やっぱりいらないとばかりに首を振った。城島は溜め息をつき、田神の隣に座った。こういう時の田神は何かを考えこんでいるときだから。そのため城島は田神自身が話し出すまで何も言わない。ただ、隣に座ってるだけ。
どれだけそうしていたのだろうか?
コツリと城島の肩に田神の頭が当たる。
「どうした?」
城島が声をかければ、
「色々とモノ申したいんだが…なんで黙ってた?」
溜め息交じりに田神が言う。が
「はっ?」
城島には何のことかわからず変な声が出た。
「お前、ちゃんと恋人がいたんだろ?なんで黙ってたんだ?」
自分の方を見ようとしないで告げられる田神の言葉に城島は混乱した。
いつ、誰が、誰の恋人だと?
「ちょっと待て、誰に恋人がいると?」
身に覚えのないことを言われて城島は本当に混乱をしていた。
「あいつらが証拠写真を持ってたぞ。膝枕して寝せてたやつ」
少しだけ不機嫌な声。それと同時に証拠写真の内容に城島は心当たりがあった。
「なんだ、お前、俺に恋人がいたら嫌なのか?」
「なっ、ちがっ…違わないか…うん、イヤだな」
城島の言葉に違うと反論しかけて、田神は嫌だと呟く。それがどういう意味でなのか田神にはわかってはいないが、イヤだと思ったのだ。
「残念だけど、俺には恋人だと言える奴はいねぇよ。まぁ、誤解を招く言動をする奴はそばにいるけどな」
「誤解を招くって俺の事か?」
城島の言葉にすぐ反論するあたりさすがである。
「お前しかいねぇだろう。ちなみにお前が言った証拠写真な、あれはお前だからな」
「はぁ~??どういうこと??」
城島の言葉に田神が驚いた声を上げる。あれが自分だなんて田神は知らないのだから当然である。
「そのまんまだ。お前が俺の所で油を売っているから、その報酬にあいつらに送ってる賄賂だ」
城島の口から出てきた真実に田神は理解が追い付かない。口をパクパクさせていたら、
「あいつらも、俺のとこの連中も、俺とお前が戯れてるのを見るのが好きなんだとよ。お前が俺の前だけで年相応になるのを見るのが楽しいらしいぞ」
城島がさらなる爆弾を落とした。田神にとっては初めて聞くことだらけで、内容を理解して恥ずかしくなってくる。
「うわぁ…マジかぁ…どうりでなんか温かい目で見られてるときがあるわけだ…」
田神は城島の肩に顔を押し付け一人で悶え始める。
「まぁ、そんなわけだから俺には恋人はいねぇぞ。まぁ、好きなやつはいねぇが気になるやつは一人いるな」
城島にしては珍しく自分の気持ちを口にした。
「マジで?そんな奴いるの?」
城島の言葉を聞き田神ががばっと顔を上げる。城島はくすりと笑い
「そういうところが、あいつらには新鮮に見えて、いいみたいだぞ。安心しろ、俺はしばらく恋人は作らねぇから」
田神の鼻をつまみながらそんなことを言う。
「ホントだな、嘘つくなよ」
今日の田神は食いつき気味に言ってくる。
「嘘つかねぇよ。さてと、シャワー浴びてくるから、お前は自分の部屋に戻るかどうするか決めろ」
城島は田神の頭をぐしゃりと撫でてシャワーを浴びに行ってしまった。
「ホント…噂を噂のままにしとくあいつってなんだろう?あっ…俺もか…」
城島の背を見送ってから田神は一人口にする。が、自室に戻ろうとはせずに、そのまま城島の寝室へと移動した。
「やっぱりこっちで寝るのかお前は…」
シャワーを浴びて、寝室に戻ってきた城島はちゃっかりと自分のベッドの中に居座っている田神を見てため息をついた。勝手に鍵を開けて入ってきた日、田神は自分の部屋に戻らないことが多いのだ。
「ん、こっちのが温かくてよく眠れるんだ」
すでに眠りの中に足を半分突っ込み始めた田神が答える。城島は部屋の明かりを消すと溜め息をつき、田神の隣に横になった。恋人でもない者同士が同じ部屋で一緒に寝ていること自体がおかしなことなんだが、あれこれと文句を言ってもしょうがないし、別に迷惑でもないからいいかとお互いがそう思っていた。だから、余計に変な噂が独り歩きしているのだろうと城島はわかっていたが、それを誤解だと訂正する気もさせる気もなかったので放置したままなのだ。
「んー、おやすみ」
田神は城島からの返事を聞く間もなく眠りの中に落ちていった。
「おやすみ」
城島はそんな田神を見て小さく笑い、風邪をひかない様にと布団をちゃんと着せて自分も寝るために目を閉じたのだった。
Fin
あなたにおすすめの小説
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。
丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。
イケメン青年×オッサン。
リクエストをくださった棗様に捧げます!
【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。
楽しいリクエストをありがとうございました!
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。