僕とネコと君

槇瀬陽翔

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第2話

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知宙がじっと、子猫たちを見ながら動かないでいたら、はぁって大きな溜め息が聞こえたと思ったら
「そいつら連れてついて来い」
急にそんな言葉が飛んできて、驚いて櫂莉を見ればさっさと歩いて行ってしまう。知宙は慌てて子猫を抱き上げて傘を持って彼の後を追った。


櫂莉が連れてきたのは動物病院だった。


検査をしてもらった結果、2匹とも健康に問題はなく、飼い猫だった母親から無理やり引き離されたようで、ノミやダニもついておらず、離乳食を食べさせてもいいそうだ。


診察を終えて、会計を待つために待合室で邪魔にならない所で立っていたら、櫂莉が誰かに電話をしてるようだった。

勝手に連れて帰るわけにはいかないし、家族の了解とかも必要んだもんなと知宙はぼんやりと思っていた。


なんて考えている間に会計に呼ばれて、行こうと思ったら電話をしてるはずの櫂莉がさっさと行ってしまい、会計を済ませてしまった。

知宙はどうしていいのかわからずに櫂莉の様子を窺っていた。

「帰るぞ、ついて来い」
戸惑ってる知宙に向かって声をかけて櫂莉は出て行ってしまう。知宙は慌てて彼の後を追いかけた。


動物病院から10分ぐらい歩いた場所で櫂莉が立ち止まり
「ちょっとだけそこで待ってろ」
そう言い残し、一件の家の中へ入っていった。わりと直ぐに戻ってきた櫂莉は
「そいつらここにいろ」
タオルの敷いてある箱を知宙に差し出す。知宙は急いで子猫たちを入れる。

「お前はシャワー浴びろ」
玄関の扉を開け中に入れと知宙に言うので、知宙は傘を閉じ言われたとおりに中へ入れば
「こっちに来い」
着いて来いと言われ、ついて行った。

「着替えは出しといてやるから、ちゃんと温まってから出て来い」
問答無用とばかりにバスルームへと押し込まれた。知宙は言われたとおりに温まるためにシャワーを借りることにした。

シャワーを浴びて、出てくれば着替えが置いてあり、来ていた制服がなくなっていた。出してもらった着替えに着替えてバスルームから出れば


「うわぁ、めっちゃ可愛いわぁ」
「いいから手ぇ動かせ」
なんて話声が聞こえて知宙はその声の方へと歩いていけば、子猫を拭いている櫂莉と女の人がいた。
「あっ…あの…」
知宙が声をかければ2人が振り返る。

「きゃぁ、可愛い。雅くんの服が超似合ってるぅ」
なんて言いながら女の人が知宙の傍まで来て嬉しそうにバンバンと背中を叩く。
「姉貴、薗畑が困ってるからホドホドにしとけ」
櫂莉は呆れながらそんなことを言うが止める気はないようだ。

「えっ?あっ、あの」
知宙はどうしていいのかわからずオロオロとしていた。
「あぁ、ごめんね。はじめまして、櫂莉の姉の美都みさとです。よろしくね」
女の人は櫂莉の姉だと自己紹介をした。

「あっ…薗畑知宙です」
知宙は戸惑いながら頭を下げる。
「そんなに固くならなくても大丈夫よ。櫂莉から話は聞いてるし、この子たちは櫂莉が面倒みるわ」
美都は子猫は櫂莉が面倒を見ると言ったので、知宙は驚いた。

「えっ、あっ、いいんですか?」
自分では助けても飼えないけれど、それを櫂莉に押し付けてしまっていいのだろうかと心配になった。
「大丈夫よ。どうせこの家にはこの子しかいないんだし。子猫たちがいれば櫂莉も少しは落ち着くでしょ」
なんて美都はハッキリという。

「えっ?1人って…あっ、ごめんなさい…」
知宙は言いかけてすぐに謝る。
「両親は事故で亡くなって、私は結婚して家を出てるの。この家には櫂莉しか住んでないのよ。この家はこの子が相続したからね」
美都はふふふと笑いながら知宙の疑問に答えた。

「名前はお前が考えろよ」
櫂莉は知宙に向かって子猫の名前はお前が決めろと言い切った。
「えっ?あっ、いいの?」
本当にいいのか聞き返せば

「飼うのは俺だが拾ったのは薗畑だろうが。責任もって名付け親になれ」
櫂莉はハッキリと言い切った。
「えっと…どうしよう。すぐに決められないや…」
決めていいと言われたが、すぐに決められないと知宙が言えば

「大丈夫よ。すぐじゃなくていいわよ、知宙くんが次に引っ越ししてしまうまでに考えてあげれば。あっ、でもあまり遅すぎると櫂莉が勝手に呼んじゃうから早めにね」
美都は笑いながらいう。
「あっ、はい。ありがとう」
知宙はホッと息を吐きながら小さく笑った。

「よし、じゃぁ、私はご飯の準備するから知宙くんは櫂莉と一緒に濡れたその子たち拭いて温めてあげてね」
美都は知宙をさっきまで自分が座っていた場所に座らせてキッチンへと行ってしまった。
「ほら、タオル。まだちゃんと拭けてねぇから早くな」
座った知宙に櫂莉がタオルを差し出す。

「うん、わかった」
知宙はそれを受け取り、箱の中にいる子猫を抱き上げて拭き始めた。

濡れて、冷えた体をブルブルと震えさせてる子猫をタオルで包み知宙は一生懸命に拭き始めた。


人とこんなにも話したのは何時ぶりだろうか?


そんなことを考えながら少しだけほっこりとした気分だった。



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