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傍にいてほしかった
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「はっ?」
突然、受けた電話の内容に驚き変な声が出た。電話越しに聞こえる声は酷く焦ってるようで、うまく聞き取れない。
「ちょっと落ち着け永尾。意味が分からん」
少し落ち着けと声をかけるが、ギャーギャー騒いでて埒が明かない。
「あー、うるせぇ。今そっちに向かってるから待ってろ!」
少しだけ乱暴に電話を切り、足早に目的の場所へと向かった。
目的の場所、それは生徒会室。
「入るぞ」
ノックもせずに扉を開け中に入れば
「がみおぐ~ん!!」
鼻水を垂らしながら永尾が飛んできた。
「きたねぇから鼻を拭け」
抱き着こうとした男を止め部屋の中を見渡せば真っ青な顔をしたまま携帯を握りしめ動かない聖と同じように顔を真っ青にしながら聖の傍に立つ小泉と絹笠。
小さく息を吐き
「何があったんだ?」
聖の傍によりながら声をかければ
「会長の電話に電話がかかってきて、誰かと話をしてたんですが、そこから真っ青な顔をして動かなくなったんです」
「僕たちが声をかけても全然反応しなくて…」
「声も届いてるのかどうかわからなくて…」
三人が状況を説明してくれる。
「電話の内容まではわからないよな?」
一応確認の意味を込めて聞けば
「そこまでは…ただ、嘘だろと呟いてはいました」
やっぱりな返事が返ってきた。これは厄介な問題が飛び込んできたかもしれないな。
俺は固まったままの聖の手から電話を取り画面を確認すればまだ通話が続いてるようで、
『もし、もし?聖くん?』
そんな声が聞こえてきた。
「もしもし、すみません、お電話変わりました」
失礼かとは思ったが声をかければ
『えっ?あっ、あの、聖くんは?』
驚きながらも返事が返ってきた。
「すみません、聖は気を失いました」
真っ青になったまま動かない聖を見ながら告げれば
『そっ、そうですよね…でも、どうしましょう…』
電話の人物も心底困ったなという声を出す。
「あの、30分後にもう一度、かけてもらえますか?その時は俺が受けます。聖では話にならないと思いますので、俺が聞いて聖と話をします」
ダメもとでそう提案をすれば
『そうですか?わかりました、後ほどかけ直します』
以外にすんなりと返事が返ってきて拍子抜けだった。
「すみませんがお願いします」
このあと、一言二言の会話をして電話を切った。俺は聖の携帯も自分のズボンのポッケにしまい
「このまま聖を連れて帰る。後のことは頼んでもいいか永尾」
副会長である永尾に確認すれば
「えっ?あっ、はい。それは大丈夫です。会長のことをお願いします」
驚きながらも返事をしてくれた。問題は聖だな。俺は溜め息をつき
「ゆい、もう大丈夫だ」
耳元で囁くように声をかければ、まるで呪文でも解けたかのようにグラリと力なく聖の身体が崩れた。
「会長!」
それを見ていた三人が驚いて声を上げるが
「大丈夫だ。気を失っただけだから心配しなくてもいい。悪いが、後は頼んだ」
俺は聖の身体を抱き上げ三人にもう一度声をかけてから、寮の部屋へと戻るために部屋を出た。
「んっ、」
小さな声を上げゆっくりと閉ざされていた瞳が開いていく。
「気が付いたか?」
顔を覗き込みながら声をかければ驚いた顔をした次の瞬間、大粒の涙をこぼし始めた。
「今は何も考えなくてもいいから」
そんな聖を抱きしめてやりながら言えば、何度も頷いた。
腕の中で抱き締めて、一頻り大泣きをして落ち着きを取り戻した聖がほうと息を吐いた。
「大丈夫か?」
その顔を覗き込みなから声を掛ければ小さく首を振る。
「電話、断ったから心配するなよ」
その言葉に驚き顔を上げ、何か言いたげに口をパクパクさせて、けどなにも言えなくて、頷いた。
「今回の件は俺たちだけで片付けられる話じゃないから、一旦断った。兄貴と煌太さんにも相談した。1度、一緒に実家に帰ろう」
「ごめん」
俺の言葉を聞き呟きのように謝る。
「謝らなくてもいいって。それに約束を破ってきたのは向こうだ」
唯斗の頭を撫でて溜め息を着く。このタイミングで唯斗が居た施設から電話が来たことには驚いたが話を聞いて納得をした。施設との契約を二度も破る相手に呆れるしかない。
「唯斗、唯斗はどうしたい?」
今回の件をこの男自身がどうしたいのかをちゃんと聞いていない。
「…俺は…もう、関わりたくない…会いたくない…」
戸惑いながらでもハッキリと言いきった。
「わかった。なら、もう二度と関わらないようにしよう」
俺の言葉に驚くがこくりと小さく頷いた。
その後、俺たち4人は1度、実家へ帰り、この件に関しての会議を家族総出でして、二度と唯斗に関わらないようにと施設の方にも告げて、施設からも唯斗が完全に抜ける手続きをした。
まぁ、ちょっと計画が早まったが、正式に唯斗が俺の家族になったということだ。
本当は卒業してからってきめてたんだけどな。まぁ、なにも問題がないので構わないが。
ただ、唯斗が困るかな。
両親たち4人に連れ回されてるからな。
頑張れよ唯斗。その4人は止まらないからな。
Fin
☆☆あとがきと告知☆☆
はい、曖昧な表現でしか話を書いておりませんが、ある意味、こちらの話は予告小説になります。
第2部「会長様ははらみたい」がまだ完結してはいないのですが、第3部の制作が一応、決定しております。
次回作品が連載開始するかはまだ決まってはいませんが、第2部が終わってから第3部が開始するとだけお知らせしておきます。
って、ここで書くなよ!って話なんですけどね。
突然、受けた電話の内容に驚き変な声が出た。電話越しに聞こえる声は酷く焦ってるようで、うまく聞き取れない。
「ちょっと落ち着け永尾。意味が分からん」
少し落ち着けと声をかけるが、ギャーギャー騒いでて埒が明かない。
「あー、うるせぇ。今そっちに向かってるから待ってろ!」
少しだけ乱暴に電話を切り、足早に目的の場所へと向かった。
目的の場所、それは生徒会室。
「入るぞ」
ノックもせずに扉を開け中に入れば
「がみおぐ~ん!!」
鼻水を垂らしながら永尾が飛んできた。
「きたねぇから鼻を拭け」
抱き着こうとした男を止め部屋の中を見渡せば真っ青な顔をしたまま携帯を握りしめ動かない聖と同じように顔を真っ青にしながら聖の傍に立つ小泉と絹笠。
小さく息を吐き
「何があったんだ?」
聖の傍によりながら声をかければ
「会長の電話に電話がかかってきて、誰かと話をしてたんですが、そこから真っ青な顔をして動かなくなったんです」
「僕たちが声をかけても全然反応しなくて…」
「声も届いてるのかどうかわからなくて…」
三人が状況を説明してくれる。
「電話の内容まではわからないよな?」
一応確認の意味を込めて聞けば
「そこまでは…ただ、嘘だろと呟いてはいました」
やっぱりな返事が返ってきた。これは厄介な問題が飛び込んできたかもしれないな。
俺は固まったままの聖の手から電話を取り画面を確認すればまだ通話が続いてるようで、
『もし、もし?聖くん?』
そんな声が聞こえてきた。
「もしもし、すみません、お電話変わりました」
失礼かとは思ったが声をかければ
『えっ?あっ、あの、聖くんは?』
驚きながらも返事が返ってきた。
「すみません、聖は気を失いました」
真っ青になったまま動かない聖を見ながら告げれば
『そっ、そうですよね…でも、どうしましょう…』
電話の人物も心底困ったなという声を出す。
「あの、30分後にもう一度、かけてもらえますか?その時は俺が受けます。聖では話にならないと思いますので、俺が聞いて聖と話をします」
ダメもとでそう提案をすれば
『そうですか?わかりました、後ほどかけ直します』
以外にすんなりと返事が返ってきて拍子抜けだった。
「すみませんがお願いします」
このあと、一言二言の会話をして電話を切った。俺は聖の携帯も自分のズボンのポッケにしまい
「このまま聖を連れて帰る。後のことは頼んでもいいか永尾」
副会長である永尾に確認すれば
「えっ?あっ、はい。それは大丈夫です。会長のことをお願いします」
驚きながらも返事をしてくれた。問題は聖だな。俺は溜め息をつき
「ゆい、もう大丈夫だ」
耳元で囁くように声をかければ、まるで呪文でも解けたかのようにグラリと力なく聖の身体が崩れた。
「会長!」
それを見ていた三人が驚いて声を上げるが
「大丈夫だ。気を失っただけだから心配しなくてもいい。悪いが、後は頼んだ」
俺は聖の身体を抱き上げ三人にもう一度声をかけてから、寮の部屋へと戻るために部屋を出た。
「んっ、」
小さな声を上げゆっくりと閉ざされていた瞳が開いていく。
「気が付いたか?」
顔を覗き込みながら声をかければ驚いた顔をした次の瞬間、大粒の涙をこぼし始めた。
「今は何も考えなくてもいいから」
そんな聖を抱きしめてやりながら言えば、何度も頷いた。
腕の中で抱き締めて、一頻り大泣きをして落ち着きを取り戻した聖がほうと息を吐いた。
「大丈夫か?」
その顔を覗き込みなから声を掛ければ小さく首を振る。
「電話、断ったから心配するなよ」
その言葉に驚き顔を上げ、何か言いたげに口をパクパクさせて、けどなにも言えなくて、頷いた。
「今回の件は俺たちだけで片付けられる話じゃないから、一旦断った。兄貴と煌太さんにも相談した。1度、一緒に実家に帰ろう」
「ごめん」
俺の言葉を聞き呟きのように謝る。
「謝らなくてもいいって。それに約束を破ってきたのは向こうだ」
唯斗の頭を撫でて溜め息を着く。このタイミングで唯斗が居た施設から電話が来たことには驚いたが話を聞いて納得をした。施設との契約を二度も破る相手に呆れるしかない。
「唯斗、唯斗はどうしたい?」
今回の件をこの男自身がどうしたいのかをちゃんと聞いていない。
「…俺は…もう、関わりたくない…会いたくない…」
戸惑いながらでもハッキリと言いきった。
「わかった。なら、もう二度と関わらないようにしよう」
俺の言葉に驚くがこくりと小さく頷いた。
その後、俺たち4人は1度、実家へ帰り、この件に関しての会議を家族総出でして、二度と唯斗に関わらないようにと施設の方にも告げて、施設からも唯斗が完全に抜ける手続きをした。
まぁ、ちょっと計画が早まったが、正式に唯斗が俺の家族になったということだ。
本当は卒業してからってきめてたんだけどな。まぁ、なにも問題がないので構わないが。
ただ、唯斗が困るかな。
両親たち4人に連れ回されてるからな。
頑張れよ唯斗。その4人は止まらないからな。
Fin
☆☆あとがきと告知☆☆
はい、曖昧な表現でしか話を書いておりませんが、ある意味、こちらの話は予告小説になります。
第2部「会長様ははらみたい」がまだ完結してはいないのですが、第3部の制作が一応、決定しております。
次回作品が連載開始するかはまだ決まってはいませんが、第2部が終わってから第3部が開始するとだけお知らせしておきます。
って、ここで書くなよ!って話なんですけどね。
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