会長様は別れたい

槇瀬陽翔

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28話

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「んっ、あれ?」
俺はどうやら大我を待ってる間に寝てたらしい。部屋の中が薄暗くなっていた。時計を見ようと動けば重しが乗ってて動けなかった。なんでだ?って思いながら重しの方を見たら大我が寝てた。
「珍しい…大我が寝てる…」
ポツリ呟いてみるけど、大我だって忙しかったんだから疲れてて当たり前だよなって思った。
「いつもご苦労様」
寝てる大我の頭を撫でようと手をのばせば、それは少し熱い大きな手に捕まった。
「あれ?起きてる?」
まさか捕まるなんて思わなかったから間抜けな声出しちゃったよ。
「ゆっくり休めたか?」
指先に小さなキスをしながら聞かれる。
「うん、電話した後で横になったら今まで寝てた」
だから、今日の自分の行動を報告したら笑われちゃったよ。理由はお昼からこの時間までずっと寝てたんだと自白したからだ。自分でも驚いてるんだ。まさかこんな時間まで寝てるなんて…。
「ゆっくり休めたならいい。今度は寝すぎで寝れなくなりそうだけど」
笑いながら言う大我の言葉に俺は頷いた。多分、寝すぎで寝れなくなりそうだもん。
「飯はどうする?」
俺の手を放して頭を撫でながら聞かれる言葉に考える。
「あんまりお腹空いてないです」
ずっと寝てただけだからお腹空いてないなって思って素直にそれを口にしたら苦笑されちゃったよ。
「だろうと思った。食べずに寝直すか?」
その言葉に
「大我は?大我だって食べてないんだろ?」
俺は大我も食べてないんだろうなって思って聞いてみた。
「まぁ、食べてないな。ゆいが食べないならそれでいいかって思った」
大我にしては珍しい返事が返ってきて驚いた。いつもだったらちゃんと食べろって言ってくるのに、今夜は大我も食べる気がないらしい。珍しいことがあるもんだ。なんて思っちゃった。
「ん、じゃぁ、いらない。動いてないからお腹空いてないもん」
そう、俺の場合は寝てばっかりだとお腹がすくことはなく、食べなくても平気だと思っている。発情してるときは特にそういう考えが強く、よく大我に怒られる。だから大半が強制的に大我にご飯を食べさせられるのだ。
「わかった。ならシャワーだけでも浴びてこい」
俺の言葉に反対することもなく、代わりにシャワーを浴びてこいというので
「んっ、行ってくる。大我は?ここにいる?」
身体を起こし聞いてみた。
「あぁ、ここにいるから行って来い」
同じように身体を起こし答えてくれた。
「んっ、行ってくる」
俺は短く返事をして、シャワーを浴びに部屋を出た。


大我の部屋に置いてある自分の着替えを着て、寝室に戻ったらベッドに座っていつものようにメガネをかけて本を読んでた。
「っ」
やっぱり心臓に悪い。なんで大我ってこんなにカッコいいんだよ。
「どうした?」
入り口で固まってる俺に気が付いたのか大我が聞いてきたけど、その顔を直視できない俺は咄嗟に顔を背けちゃった。
「あぁ、相変わらず唯斗はこの姿がダメなんだな。おいで」
大我は原因がわかったのかかけてたメガネを外し、呼んでくれた。俺はいそいそとベッドまで行き大我の隣に入った。
「本当にこのまま何も食べずに寝ていいのか?」
大我が俺の頭を撫でながら聞いてくるから
「うん、今日はいらない。明日また大我のご飯食べさしてくれればいい」
俺は今日は本当にいらないと答えた。でも、本当は大我の方が食べなきゃいけない気がするんだけどな…。俺よりも体力使うんだからさ。
「わかった。ならもう寝るか。話は明日でもできるしな」
大我も読んでた本を片付けて横になった。俺はそんな大我に抱き着いて、いつものように腕枕してもらった。
「今回のことが終わったら、どっかに遊びに行こうか?」
急にそんなことを言われて驚いた。
「いいのか?風紀の方が忙しんじゃないのか?」
大我が俺自身の事もだけど、風紀の方も色々と忙しいのを知ってるんだ。だから心配で聞いちゃった。
「まぁ、忙しいっちゃ忙しいけど、恋人との時間が取れないほど忙しくはいですよ唯斗くん」
って言われて
「じゃぁ、行きたい。俺、大我と遊びに行きたい」
俺は素直に遊びに行きたいと訴えた。変に我慢すると大我に悪いし、俺が我慢しないでいいように大我はちゃんと時間を作ってくれるのを知ってるので、素直に行きたいと告げる。
「わかった。行きたいところを考えておくように。これ、唯斗の宿題だからな」
小さく笑いながら言われた。宿題…。これは困った。難問だ。
「うーっ、行きたいところが沢山あるから悩む~!」
そう、俺にとって大我とのお出かけは考えるのが難問だったりする。大我と一緒に行きたいと思う場所が多すぎるのだ。
「楽しみが沢山あっていいことだ。俺もゆいが行きたい場所に連れてくのが楽しみだからな」
「俺も大我と行けるの楽しみだぁ。頑張っていく場所考える」
大我の言葉に自分も楽しみにしてると答えれば笑ってくれた。大我に抱きしめられていると不思議なもので、あれだけ寝たのにもう、眠くなってきた。
「ほら、もう寝よう。おやすみ、ゆい」
俺が眠くなってきてるのに気づいた大我が額に小さなキスをくれる。
「んっ、おや、すみぃ」
大我のキスを受け止めながら俺はまた夢の中へと落ちていった。

「よく寝るな…嫌な夢を見ずに眠ってくれるならそれで安心できるからいいけど。おやすみ唯斗」
なんて、眠りに落ちた俺に大我が呟いてたのなんて気付きもせずに俺は大我の腕の中で、いつも以上に深い眠りの中へと誘われていた。


だって、大我の腕の中はすっごく安心できるんだからしょうがないじゃないか。


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