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「なんて顔してんだお前」
人の顔を見るなり菊池がそんなことを言う。
「うるせぇ」
なんて言ってみるものの、それ以上の言葉が続かない。

「なんかあるのか?あったのか?」
くしゃりと俺の頭を撫でながら聞いてくるから、俺はその手を掴んだ。
「どうした?」
俺の行動に少し驚きながらも振り払うわけでもなく、好きなようにされてくれたまま問われる。

「夢…夢を見たんだ。覚えてないけど…。それが…」

懐かしいような、切ないような…。

俺の中にない記憶のようなそんな夢。

「そうか」
菊池はそれ以上、なにも言わずに俺が飽きるまで手で遊ばせてくれていた。


こいつは俺の知らない俺を知ってるのだろうか?


俺の失くした記憶を知ってるのだろうか?


きっと答えてくれない気がするので、聞かないことにした。



Fin

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