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クリスマスの夜(番外的な話)
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「梅村、今夜暇か?」
急にそんなことを聞かれて
「うん?暇はしてるけど?」
不思議に思いながら返事をすれば
「じゃぁ、迎えに行くからちょっと付き合ってくれ」
そう言われれば、変な期待をしてしまう。
「ん、わかった」
俺は断る理由もないから素直に返事をしたら
「帰ったら出れる準備だけしといてくれ。6時ぐらいには迎えに行く」
時間だけ伝えて菊池は俺の頭を撫でて生徒会室を出ていった。
そもそも、生徒会室に来てこんな話をすることにも驚いた。普段は風紀委員室でするから…。それだけ俺が入り浸ってるわけだけど…。
生徒会の仕事も終えて、普通に寮の自室に戻って時間までにやることだけ済ませて、迎えが来ても大丈夫なように準備しておいた。外に出るのかどうかもわからないから、外に出てもいいようには準備した。
コンコンって時間少し前にノックされて俺は慌てて扉を開けた。
「そこまで慌てなくても大丈夫なんだが」
なんて小さく笑われてしまった。
「どこに行くんだ?」
行先を聞いてないからそれを聞こうと思って口を開けば
「それは行ってからのお楽しみだ。もう少し温かいカッコした方がいい」
行先は教えてはくれなかったが、もう少し厚着しろと言われ俺は用意していた上着を羽織った。
菊池は俺を連れて寮の外、それも中庭の方へと進んでいく。
どこをどう歩いたのか?
中庭を散歩しないからよくわかんないや。
「ここから先は目をつぶれ。俺がちゃんと連れてくから」
なんて菊池に言われて
「絶対だからな」
そう宣言だけして目をつぶった。
目をつぶった俺の手を引き菊池は奥へと進んでいく。その状態でどれだけ進んだのか?目をつぶってるから距離もわからない。けど、菊池が立ち止まった。
「3秒数えてから目を開けていいぞ」
そう言われ
「1,2,3」
3秒数えて目を開けて言葉を失った。
目の前に広がるのはライトアップされたクリスマスツリーとイルミネーションたち。
「普段、頑張ってる生徒会長さまに俺たちからのプレゼントだ」
菊池の言葉に驚いてあたりを見渡せば、生徒会役員と風紀委員たちがいた。
「これ…みんなが?」
俺が驚いたままで聞けば
「うん、梅ちゃんの為にね。俺たち頑張ったんだよぉ。バレないようにコッソリとねぇ」
「梅村が見終わった後は、一般生徒にも公開予定で内緒で計画して菊池に相談等をしたんだ」
鍋谷と幸永が説明してくれる。ますます驚いて菊池を見れば
「俺たちからのクリスマスプレゼントだ。気に入ってくれたか?」
小さく笑って聞かれるから俺は何度も頷いた。
「ありがとう、みんな」
みんなの優しさに涙が溢れそうになった。
「じゃぁ、俺たちは~お邪魔虫になるんでぇ~みんな撤収するよぉ~」
「そうだな、後は菊池に任せる」
なんて鍋谷と幸永の言葉にみんなが頷き帰っていった。
その場に残されたのは本当に俺と菊池だけだった。
「メリクリスマス。子供の時はお前と一緒に過ごせなかったけど、今年は一緒にいられたな」
菊池が頭を撫でてそんなことを言ってくる。
「こんな沢山の幸せ与えてどうすんだよ…抜け出せなくなるだろ…」
自分が本当にこの男の優しさから抜け出せなくなりそうで怖かった。それこそ依存してるってわかってるから…。
「抜け出せなくなるようにさせてんだから当たり前だろうが」
なんて悪魔な言葉が飛んでくる。
「ヒデェやつ。捨てんなよ」
だからこれだけは言っておいた。そんな心配はないのわかってるけど、この先のことなんてわからないから…。
「捨てるかよ。やっと手にいれたんだからな。それと、俺からのプレゼントだ」
俺の掌に乗せられた小さな箱。
「ここじゃ開けられねぇじゃん」
なんて文句が出たのは許せ。
「楽しみが長引いて嬉しいだろ?」
なんて本当に嬉しそうに笑う菊池。俺はそんな菊池の胸に飛びつかん勢いで抱き着いた。
「嬉しすぎてこえぇよ」
少し膨れっ面で見上げて言えば
「ならこれからももっとこえぇかもな」
なんて悪魔みたいな言葉と共に優しいキスが降りてきた。
「ありがとう」
俺は菊池の胸に顔を埋めてもう一度、お礼を口にした。
「どういたしまして」
俺を抱きしめながら言う菊池は菊池で本当に嬉しそうだった。
俺たちはしばらく二人でイルミネーションを眺めてたけど、俺が小さなくしゃみしたから帰ることになった。
勿論、部屋に戻ってから俺は菊池にもらったプレゼントを開けたぞ。俺もあげたしな。
俺がもらったのは前から俺が欲しいなって言ってた腕時計だった。メッチャ嬉しかった。
俺が菊池にあげたのは財布だ。この間、二人で出かけたときに財布壊れたからさ、俺がプレゼントしたかったんだ。
菊池も喜んでくれた。
本当、みんなありがとう。
そして、侑司ありがとう。
Fin
急にそんなことを聞かれて
「うん?暇はしてるけど?」
不思議に思いながら返事をすれば
「じゃぁ、迎えに行くからちょっと付き合ってくれ」
そう言われれば、変な期待をしてしまう。
「ん、わかった」
俺は断る理由もないから素直に返事をしたら
「帰ったら出れる準備だけしといてくれ。6時ぐらいには迎えに行く」
時間だけ伝えて菊池は俺の頭を撫でて生徒会室を出ていった。
そもそも、生徒会室に来てこんな話をすることにも驚いた。普段は風紀委員室でするから…。それだけ俺が入り浸ってるわけだけど…。
生徒会の仕事も終えて、普通に寮の自室に戻って時間までにやることだけ済ませて、迎えが来ても大丈夫なように準備しておいた。外に出るのかどうかもわからないから、外に出てもいいようには準備した。
コンコンって時間少し前にノックされて俺は慌てて扉を開けた。
「そこまで慌てなくても大丈夫なんだが」
なんて小さく笑われてしまった。
「どこに行くんだ?」
行先を聞いてないからそれを聞こうと思って口を開けば
「それは行ってからのお楽しみだ。もう少し温かいカッコした方がいい」
行先は教えてはくれなかったが、もう少し厚着しろと言われ俺は用意していた上着を羽織った。
菊池は俺を連れて寮の外、それも中庭の方へと進んでいく。
どこをどう歩いたのか?
中庭を散歩しないからよくわかんないや。
「ここから先は目をつぶれ。俺がちゃんと連れてくから」
なんて菊池に言われて
「絶対だからな」
そう宣言だけして目をつぶった。
目をつぶった俺の手を引き菊池は奥へと進んでいく。その状態でどれだけ進んだのか?目をつぶってるから距離もわからない。けど、菊池が立ち止まった。
「3秒数えてから目を開けていいぞ」
そう言われ
「1,2,3」
3秒数えて目を開けて言葉を失った。
目の前に広がるのはライトアップされたクリスマスツリーとイルミネーションたち。
「普段、頑張ってる生徒会長さまに俺たちからのプレゼントだ」
菊池の言葉に驚いてあたりを見渡せば、生徒会役員と風紀委員たちがいた。
「これ…みんなが?」
俺が驚いたままで聞けば
「うん、梅ちゃんの為にね。俺たち頑張ったんだよぉ。バレないようにコッソリとねぇ」
「梅村が見終わった後は、一般生徒にも公開予定で内緒で計画して菊池に相談等をしたんだ」
鍋谷と幸永が説明してくれる。ますます驚いて菊池を見れば
「俺たちからのクリスマスプレゼントだ。気に入ってくれたか?」
小さく笑って聞かれるから俺は何度も頷いた。
「ありがとう、みんな」
みんなの優しさに涙が溢れそうになった。
「じゃぁ、俺たちは~お邪魔虫になるんでぇ~みんな撤収するよぉ~」
「そうだな、後は菊池に任せる」
なんて鍋谷と幸永の言葉にみんなが頷き帰っていった。
その場に残されたのは本当に俺と菊池だけだった。
「メリクリスマス。子供の時はお前と一緒に過ごせなかったけど、今年は一緒にいられたな」
菊池が頭を撫でてそんなことを言ってくる。
「こんな沢山の幸せ与えてどうすんだよ…抜け出せなくなるだろ…」
自分が本当にこの男の優しさから抜け出せなくなりそうで怖かった。それこそ依存してるってわかってるから…。
「抜け出せなくなるようにさせてんだから当たり前だろうが」
なんて悪魔な言葉が飛んでくる。
「ヒデェやつ。捨てんなよ」
だからこれだけは言っておいた。そんな心配はないのわかってるけど、この先のことなんてわからないから…。
「捨てるかよ。やっと手にいれたんだからな。それと、俺からのプレゼントだ」
俺の掌に乗せられた小さな箱。
「ここじゃ開けられねぇじゃん」
なんて文句が出たのは許せ。
「楽しみが長引いて嬉しいだろ?」
なんて本当に嬉しそうに笑う菊池。俺はそんな菊池の胸に飛びつかん勢いで抱き着いた。
「嬉しすぎてこえぇよ」
少し膨れっ面で見上げて言えば
「ならこれからももっとこえぇかもな」
なんて悪魔みたいな言葉と共に優しいキスが降りてきた。
「ありがとう」
俺は菊池の胸に顔を埋めてもう一度、お礼を口にした。
「どういたしまして」
俺を抱きしめながら言う菊池は菊池で本当に嬉しそうだった。
俺たちはしばらく二人でイルミネーションを眺めてたけど、俺が小さなくしゃみしたから帰ることになった。
勿論、部屋に戻ってから俺は菊池にもらったプレゼントを開けたぞ。俺もあげたしな。
俺がもらったのは前から俺が欲しいなって言ってた腕時計だった。メッチャ嬉しかった。
俺が菊池にあげたのは財布だ。この間、二人で出かけたときに財布壊れたからさ、俺がプレゼントしたかったんだ。
菊池も喜んでくれた。
本当、みんなありがとう。
そして、侑司ありがとう。
Fin
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