人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬陽翔

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その瞬間

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目の前で起きてる出来事に、何もすることが出来なくて、ただ、ただ、その場所に立ち尽くしていた。


目の前で起きてる暴動?乱闘?よくわからない争い。


俺の頭の中は混乱するばかり。


イヤ、だって他校の生徒がここにいること自体がおかしい。


「梅ちゃん、梅ちゃんはここでじっとしててね」
「今行くと邪魔になるから」
俺の傍には鍋屋と二村の二人。


乱闘を止めに入ってるのは菊池と幸永。


イヤ、ちょっと待て。

「副会長が止めに入ってるのはおかしくないか?」
呑気にそんなことを突っ込んでる場合じゃないんだが、どう考えてもおかしだろ?

「いいのいいの、ゆっきーは委員ちょーのストッパーだから」
「心配いりませんよ。彼強いですから」
なんて隣からはそんな言葉。


「じゃぁ、お前らはなんでここにいる?」
風紀委員の副とNo,3がなぜ自分の傍にいるんだと問えば

「そんなの決まってんじゃん」
「我々は会長のストッパーです」

あっさりと言われる。


俺ってそんなに危ないところに首を突っ込みやすいんだろうか?


なんて考えたが、その本当の意味がわかるのは以外に早かった。


大半の奴らを菊池と幸永が沈めていったその時、


「菊池!!」
菊池の背後から振り下ろさせるバットをみて俺は叫んだ。

菊池はうまいこと避けたけど、背中がみるみる間に赤く染まっていく。


「あっ、あっ、あっ」
それをみた瞬間、俺の頭が激しく痛み始めた。痛みでその場にしゃがみこんだ。


その途端に流れ込んでくるのは記憶のない記憶。無音だったその記憶が流れ込み、段々と音声が蘇り、曇っていた何かが晴れていく。


「あ~あ。始まっちゃったねぇ」
「これを止めないと後で怒られる」

なんてのんびり話す2人の声にイラッとした。


「うるさい、うるさい、うるさい!」
自分でもワケわからずそう叫んでいた。


「そろそろかな?」
「かも」
隣の2人のやり取りが癇に障る。


イライラがピークに達したときに何かが弾けた。

「…んで…何でてめぇらはここにいんだよ。お前らの仕事はあっちだろ」

乱闘の方を指差し2人に告げれば

「だから言ったじゃん、梅ちゃんのストッパーだって」
「だからここにいるんですよ」

ニコニコと胡散臭い笑みを浮かべた2人を見て盛大に溜め息を着く。


「嘘くさ。ストッパーじゃなくて、あいつに止めとけって言われたんだろうが。俺を壊すいい口実だもんなぁ。あいつの考えそうなことだ。クソが、全部見通しかよ」

ぶつくさと文句を言い始めた俺に

「だってぇ~、梅ちゃんを壊すのは委員ちょーを殺っちゃえばいいだけだもん」
「それが手っ取り早いですからね」
2人がとんでもないことを言ってくる。

「胡散臭い笑み浮かべてんな胸くそわりぃ。2人揃って本性隠してやがって」
俺の言葉に2人が小さく息を吐き
「世渡り上手にこなすにはそうでもしねぇとやってけねぇからさ」
「ナベと一緒にされたら俺も終わりだ」
一瞬だけ本性を曝す。

「で?あれはどう言うことだ?」
今度は乱闘の方を指差せば


「お目覚めはご機嫌斜めかぁ」
何て言いながら後ろから頭を叩かれた。

「うっせぇ、無理矢理起こされたらそうなるつうの!」
文句を言いながら振り替えればやけに楽しそうな顔をした男がいた。

「クソが、楽しんでやがる」
自然と出た言葉に
「あったりめぇだろ。可愛い顔して実は狂暴な一面もあるなんてギャップがあって面白いだろ?」
本当に楽しそうに笑う。

「それ、お前限定だから!」
それだけは言っておく。

「んっ、知ってる。バカ渓んときに散々、相手したの俺だからな」
その言葉に
「古い話し出すな。ガキん時の事なんか覚えてねぇ。ってかお前が忘れさせたんだろうが!」
反射的に突っ込みをいれたのは仕方がないだろう。

「そりゃお前、自分庇って人が死ぬかもって、そんなトラウマ級の出来事なんか忘れた方がいいだろうよ」
さもそれが正しいと言わんばかりに言われた言葉に腹が立つ。

「そんで一緒にお前まで忘れろってか。ふざけんな!一生思い出せなかったらどうしてたんだよ!」
あのときの判断は正しかったかもしれない。だけど、その代償にずっと思い出さなかったらどうするつもりだったんだこの男は!

「別に、思い出せねぇならそれでいい。違う関係を築きゃいいだけの事だ。だが、お前は思い出した。本来の梅村陽葵に戻ったんだ」
自信満々のこの男に腹が立つが

「侑司、背中の傷」
真っ赤に染まってる背中が気になる。
「あぁ、少しかすっただけでこれだからな。しょうがねぇよ。痛みはねぇし、じきに止まるから大丈夫だ」
前に教えただろと言われ頷くしか出来なかった。


「結局はさぁ、梅ちゃんのストッパーは委員ちょーなんだよねぇ」
「確かに。どだけ文句言ってても結局は委員長の言葉で大人しくなるんだから」
呆れながら二人が言う。
「それは仕方がないだろ。梅村は菊池に依存してるんだから」
なんて幸永がトドメを刺してくれた。


「うるせぇ、そもそもの原因はこいつ自身なんだからいいんだよ!」
「まぁ、それは否定しねぇな。ガキん時こいつが隣の家だったから、構いまくってたらこうなった」

2人で原因を口にすれば3人は
「えぇぇ!」
「マジか」
「どんだけ甘やかしたんだ…」
なんて驚きながらドン引きしてた。


「向こうの片付けは?」
一応、聞けば
「待機してた委員の連中が対応してるから大丈夫だ。だから戻るぞ」
軽く背中を叩かれ風紀委員室か、生徒会室に戻るために歩き出した。



結局、俺は記憶が戻っても戻らなくても依存してるのはかわりないんだ。


あいつが俺をさんざん甘やかすから…


俺を守って怪我ばっかりするから…


俺はこんな狂暴な一面を隠すようになったんだ。


王子に守ってもらうお姫さまポジを失わないために…。


本当の俺はそこまで弱くない。


それはあいつもわかってる真実。


それでも俺を守るのはあいつの愛情。


これでもかっていうクソでっかい愛情ばっか与えられまくったら抜け出せねぇだろ?


依存しちまうって…あいつ上手いんだもんそういうの…。


ホント、勘弁して欲しい。


依存しすぎてヤキモチ妬きすぎて辛い。



Fin




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