人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

槇瀬陽翔

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己の刃

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「なんでだよ!」
そう叫びながら部屋に入ってきたのは梅村。怒りを露わにしたままで現れた。

幸い今は誰もいないから気兼ねなくあいつの凶暴に付き合ってやれる。


「今日はどうした?」
傍に来た梅村に向き合うために椅子の向きを変えれば、ぎゅうと抱き付き肩に顔を埋める。キツク握りしめられた服。微かに震える手。

「んー?どうしたよ。今度は何したんだ?」
そんな梅村の背をあやす様にポンポンと叩く。

こういう時のこいつは自分の中で自問自答を繰り返してる。己の刃の矛先を他者に向けないように自分で自問自答を繰り返す。

繰り返して、繰り返して、どうしようもできなくなると

「なんでだよぉ」

力なく呟く。が俺には何も言わない。

言う必要があるものとないものとをこいつは自分の中で判断して俺に告げてくる。

今日は何も言わなということは自分で消化するつもりでいるらしい。

それなら俺は何も口出さず梅村の気のすむようにするだけ。

梅村が納得するまでそのままの体勢でいてやった。


後で足が疲れただとか何とか言いそうだけどな。


「…侑司…殴っていいか?」
「なんでだよ!」

急に顔を上げたなって思ったらそんなことを言いやがった。

「お前がモテるのが気に入らねぇ」
ムスッとした顔で言われた内容に溜め息が出た。


要するに今日のこの男の苛立ちは俺が好きだという奴らに文句を言われたってことだ。

「しょうがねぇなぁ、あいつらが来たらやめるぞ」

俺が原因なら諦めるしかねぇ。


俺からの了解が出た瞬間に拳が飛んできた。それを受け止めれば

「クソッ」

文句を言いながら再び拳が飛んでくる。間髪入れず飛んで来るってことはよっぽど怒ってやがんな。

なんて思いながら梅村の相手をしていた。


「何やってんだよ、あんたたち!」
「部屋でするなって言っただろ!」

鍋谷と二村に怒鳴られるまでな。



Fin


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