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Ep.2 恋人
.4 丘の上の公園
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大学からしばらく歩いた先にある、丘の上の公園。
少し高くなった位置から、街を見渡せる見晴らしのいい場所で、きっと夜になるとデートスポットとかになったりするんだろうけど、平日昼間、周りに人は居なかった。
青空の下でベンチに座ってのんびりするのが最高だろうな、とか今から聞くだろう話とは違う感想をあえて考えながら、私は前を行く織田翔の後をついて行った。
「あのさ、話ってのはさ……」
織田翔は深呼吸をひとつし、ゆっくりと振り返った。
頬を赤らめながら、真剣な面持ちでそう切り出した。
「俺と付き合ってくれないか? 俺、木根の事、前からずっと、好きなんだ!」
チャラくてウザい、なんて思っていた織田翔が直球で告白してきて少し驚いた。
そして、嬉しかった。
私は、はい、と返事して頷く。
「あ、え、本当に? 本当に、今、はい、って言ったの?」
「はい」
わざとらしく、返事を繰り返す。
「うおおおおおおおおおお!! やったーー!!」
織田翔は今まで見たことないぐらいのガッツポーズと、聞いたことないぐらいの大声を上げて喜んでいた。
まるで、見渡せる街中にその喜びを伝えようとしてるみたいだ。
喜びたいのは、私も同じだ。
けど、二人して大声を上げてはしゃぎまくるのには、場面として間違っている気がした。
女子として、嬉しさを恥じらいと重ねて表現しなければ。
モジモジ。
「ちょっ、正直、大学合格より嬉しいんだけど! うわっ、やべぇ、すげぇ!!」
受験戦争への努力も報われたからか、織田翔のコメントは若干バカっぽかった。
ただ、それさえ可愛く見えるのは、惚れた方の負けなんだろう。
そうやって無邪気にはしゃぐ織田翔が、急に驚いた顔をして私の方を見つめる。
「あ、え、木根、どうしたの? なんで泣いてるの?」
言われて私は自分の頬を触り、初めて自分が涙を流している事に気づいた。
「あ、えっと……その……私も、なの……」
涙に気づけば、その理由など簡単にわかってしまう。
はしゃぎたい気持ちを押さえつけたものだから、溢れる感情を言葉にするのに少し戸惑う。
「え?」
心配するようにぐっと顔を近づける織田翔。
少し前なら、嫌がっていた距離感も今は嬉しさで満たされる。
「私も、ずっと、好きだったの」
一言、一言、区切って整理する溢れる感情。
ずっと、好きだったから。
きっと、それがこの涙の答えだろう。
やっと、思いは通じて。
もっと、織田翔を好きになれる。
その嬉しさに、涙は勝手に零れ落ちた。
こうして、私と織田翔は付き合うことになった。
それから、私達は順風満帆な大学生ライフを過ごしていた。
ダンスバカな織田翔も、ダンス関係以外のデートコースを組めるようになったし。
お互いにバイトもしだしたので、お金に余裕があって、デートプランに幅も出来た。
もちろん、織田翔は相変わらずダンスイベントに参加していて、私はそれを観に行ったりしていた。
何度かローカルテレビ局主催のダンスイベントに出て、深夜帯だけどテレビ放送されたこともある。
そういう時は織田翔はガチガチに緊張するので、結果としては散々なことが多いけど。
安いアパートの一室を借りて、二人で住むことになった。
私の中に小さな憧れがあって、アパートというのは私の提案だった。
同棲については、両親の了解を得れた。
織田翔は付き合うことになってから、私の家に足を運ぶことが多くなり、すっかり私の両親と溶け込んでいた。
結果、両親はすっかり結婚を前提としたお付き合いだとして、同棲を認めてくれた。
織田翔の両親には会えずではあったが、多忙な方々らしく子育ては放任主義なのだとか。
狭い部屋に、二人。
寄り添い合う、二人。
憧れていた関係性は、しかしながら近くなりすぎた距離から問題が発生しだした。
お互いを理解出来るあまり、喧嘩の数が増えた。
喧嘩の理由は大小様々で、どっちが悪かったのかも言い合いの中でうやむやになっていった。
解決方法は大体、怒りのやり場がなくなった私が家を飛び出し、いつものあの丘の公園に辿り着いて、それを織田翔が追いかけてきて、謝ってくれて、おしまい、だった。
私が原因だとわかりきってる時も、言い方が悪かっただの、わかってやれなくて悪かっただの、どうにかして謝ってくれていた。
ただ、私が原因で喧嘩になるということは、ほとんど無かったけれど。
そういうひと騒動も、山あり谷あり、なんて軽く受け止めれるぐらい、私達は順風満帆だった。
――いや、《だった》、はずだった。
少し高くなった位置から、街を見渡せる見晴らしのいい場所で、きっと夜になるとデートスポットとかになったりするんだろうけど、平日昼間、周りに人は居なかった。
青空の下でベンチに座ってのんびりするのが最高だろうな、とか今から聞くだろう話とは違う感想をあえて考えながら、私は前を行く織田翔の後をついて行った。
「あのさ、話ってのはさ……」
織田翔は深呼吸をひとつし、ゆっくりと振り返った。
頬を赤らめながら、真剣な面持ちでそう切り出した。
「俺と付き合ってくれないか? 俺、木根の事、前からずっと、好きなんだ!」
チャラくてウザい、なんて思っていた織田翔が直球で告白してきて少し驚いた。
そして、嬉しかった。
私は、はい、と返事して頷く。
「あ、え、本当に? 本当に、今、はい、って言ったの?」
「はい」
わざとらしく、返事を繰り返す。
「うおおおおおおおおおお!! やったーー!!」
織田翔は今まで見たことないぐらいのガッツポーズと、聞いたことないぐらいの大声を上げて喜んでいた。
まるで、見渡せる街中にその喜びを伝えようとしてるみたいだ。
喜びたいのは、私も同じだ。
けど、二人して大声を上げてはしゃぎまくるのには、場面として間違っている気がした。
女子として、嬉しさを恥じらいと重ねて表現しなければ。
モジモジ。
「ちょっ、正直、大学合格より嬉しいんだけど! うわっ、やべぇ、すげぇ!!」
受験戦争への努力も報われたからか、織田翔のコメントは若干バカっぽかった。
ただ、それさえ可愛く見えるのは、惚れた方の負けなんだろう。
そうやって無邪気にはしゃぐ織田翔が、急に驚いた顔をして私の方を見つめる。
「あ、え、木根、どうしたの? なんで泣いてるの?」
言われて私は自分の頬を触り、初めて自分が涙を流している事に気づいた。
「あ、えっと……その……私も、なの……」
涙に気づけば、その理由など簡単にわかってしまう。
はしゃぎたい気持ちを押さえつけたものだから、溢れる感情を言葉にするのに少し戸惑う。
「え?」
心配するようにぐっと顔を近づける織田翔。
少し前なら、嫌がっていた距離感も今は嬉しさで満たされる。
「私も、ずっと、好きだったの」
一言、一言、区切って整理する溢れる感情。
ずっと、好きだったから。
きっと、それがこの涙の答えだろう。
やっと、思いは通じて。
もっと、織田翔を好きになれる。
その嬉しさに、涙は勝手に零れ落ちた。
こうして、私と織田翔は付き合うことになった。
それから、私達は順風満帆な大学生ライフを過ごしていた。
ダンスバカな織田翔も、ダンス関係以外のデートコースを組めるようになったし。
お互いにバイトもしだしたので、お金に余裕があって、デートプランに幅も出来た。
もちろん、織田翔は相変わらずダンスイベントに参加していて、私はそれを観に行ったりしていた。
何度かローカルテレビ局主催のダンスイベントに出て、深夜帯だけどテレビ放送されたこともある。
そういう時は織田翔はガチガチに緊張するので、結果としては散々なことが多いけど。
安いアパートの一室を借りて、二人で住むことになった。
私の中に小さな憧れがあって、アパートというのは私の提案だった。
同棲については、両親の了解を得れた。
織田翔は付き合うことになってから、私の家に足を運ぶことが多くなり、すっかり私の両親と溶け込んでいた。
結果、両親はすっかり結婚を前提としたお付き合いだとして、同棲を認めてくれた。
織田翔の両親には会えずではあったが、多忙な方々らしく子育ては放任主義なのだとか。
狭い部屋に、二人。
寄り添い合う、二人。
憧れていた関係性は、しかしながら近くなりすぎた距離から問題が発生しだした。
お互いを理解出来るあまり、喧嘩の数が増えた。
喧嘩の理由は大小様々で、どっちが悪かったのかも言い合いの中でうやむやになっていった。
解決方法は大体、怒りのやり場がなくなった私が家を飛び出し、いつものあの丘の公園に辿り着いて、それを織田翔が追いかけてきて、謝ってくれて、おしまい、だった。
私が原因だとわかりきってる時も、言い方が悪かっただの、わかってやれなくて悪かっただの、どうにかして謝ってくれていた。
ただ、私が原因で喧嘩になるということは、ほとんど無かったけれど。
そういうひと騒動も、山あり谷あり、なんて軽く受け止めれるぐらい、私達は順風満帆だった。
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