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第15話:帯で縛るなんて聞いてない!〜火照る浴衣と、花火が上がるたび高まる恋心〜
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【前書き】
夏の夜、浴衣姿で花火大会へ──。
ちょっぴり大胆になった彼に、心も体温もドキドキ上昇中!
帯で縛られるなんて聞いてない⁉
それでも創作の参考になるなら……って、これは寸止めじゃ済まない予感…
今回は浴衣×帯×花火×寸止めの甘~い焦らし回です!
ふたりの火照りと恋心、最後まで感じてください!
ーーーーー
夕暮れの空は、ほんのり茜色。
人混みのざわめきの中、私は約束の橋のたもとに立っていた。
今日は、花火大会。
数日前、カイと一緒に買いに行った浴衣を着て、現地で待ち合わせをしていた。
鼻先をくすぐる夏の風。ふと視線を上げた瞬間──
「……いた。紫」
カイが歩いてくる。
濃い藍色の浴衣に、ぐっと引き締まった体躯。
普段とは違う雰囲気に、目を奪われた。
カイも、私を見て少し足を止める。
そのまま近づいてきて、にやりと笑った。
「へぇ……やっぱ似合うな」
「俺が選んだ浴衣着て、ヘアメイクもして……今日は特別、可愛いじゃん?」
低くて甘い声が、耳の奥に残る。
不意打ちすぎて、胸が跳ねた。
「カイこそ……すっごく似合ってるよ。その浴衣選んで正解だったね!」
思わず言葉がこぼれて、カイがふっと目を細めた。
「……お前にそう言われると、自信つくな」
「でも、ちょっと困る。……今日、マジで我慢できる気がしない」
耳元で囁かれたその一言に、私は一気に顔が熱くなるのを感じた。
「じゃあ、行こうぜ。人混みすごいから、手……ほら」
差し出された手を取ると、指先からカイの体温がじんわりと伝わってくる。
浴衣の袖越しに感じるぬくもり。
その強くて優しい手を、今夜は離したくなかった。
カイと手を繋いだまま、賑やかな屋台の通りを歩いた。
焼きそば、りんご飴、イカ焼き、射的……
「お前、りんご飴好きだっけ?」
「うん。でも、食べたら口真っ赤になるかも……」
「……それはそれで見てみたいけどな」
カイのいたずらっぽい笑みに、また頬が熱くなる。
「ほら、冷たいのでも食っとけ」
そう言って買ってくれたかき氷を2人でつつきながら、夏祭りの喧騒を味わった。
それでも、だんだんと増えていく人混みに息が詰まりそうになった頃──
「……こっち、来い」
カイが手を引いて、人の波から外れるように路地裏へ入り込む。
そのまま坂道を登り、高台へ。
風が通り抜ける草の匂い。遠くから聞こえる太鼓とざわめき。
そして、ひときわ大きな音が夜空に響いた。
ドンッ──と大輪の花が咲く。
2人だけの空間に、花火の光が広がった。
「ここなら、ゆっくり見れるだろ」
私の隣に立ちながら、カイがそっと肩に触れる。
見上げた空に、またひとつ。
音も振動も、体の奥に響いてくる。
その横顔を、私はそっと見た。
真剣なまなざしで空を見上げるカイの表情。
どこか寂しげで、でも温かくて──
ふと、カイがこちらに視線を移す。
「……俺、さ」
「花火より、お前に見惚れてたよ」
心臓が跳ねた。
静かな声が、夜の中にまっすぐ溶けていく。
「……なに、それ」
「いや、マジ。……浴衣着て、髪もまとめて。今日の紫、いつも以上に、可愛すぎ」
「それに、俺の横にいてくれるのも……すげぇ、嬉しい」
カイの目が、真っ直ぐに私を見つめてくる。
照れとか、ごまかしとか、ひとつもない。
次の花火が打ち上がった瞬間──
私は、ふと隣にいるカイの顔を見た。
横顔じゃない。
真正面から、私を見つめていた。
視線がぶつかった瞬間、胸の奥で何かが跳ねた。
まるで、空に咲いた花火の音と重なるように。
カイの視線は真剣で、けれどどこか熱を帯びていた。
それに応えるように、私も思わず目をそらせなくなっていた。
そのときだった。
カイが少し顔を傾け、すっと視線を逸らす──
その仕草で、浴衣の首元から見えるうなじ、そして胸元に浮かぶ筋肉のラインが目に入った。
……ドキン。
自分の心臓の音が、花火に紛れて聞こえなくてよかったと思う。
お互いに、見てる。
でも言葉にはしない。
それが、なんだか余計に苦しくて、愛しくて。
「……充分、楽しんだし」
ふいに、カイが口を開いた。
「そろそろ帰る? ……2人きりになりたいし」
その一言に、頬が一気に熱くなる。
でも、逃げるように目を伏せて、小さく頷いた。
「うん……帰ろ」
自然と手が伸びて、重なる。
繋いだ手が、強く引かれることはない。
ただ、指のあいだを重ねるように、しっかりと包み込んでくれた。
並んで歩き出すふたりの肩が、自然と寄り添っていく。
夜風が涼しく感じられるのは、きっとそのせいだ。
遠くで、まだ花火は続いていた。
けれどもう、私の中では、さっきの一言がずっとリフレインしている──
「2人きりになりたいし」
その言葉だけで、心が熱くて、どうしようもなかった。
玄関のドアが閉まる。
「……ふぅ」
カイが軽く息を吐いて、鍵をかける音が響いた。
外の熱気から一転して、涼しい部屋の空気が肌に触れる。
浴衣の裾がふわりと揺れて、夏の夜が終わっていく余韻に包まれた。
だけど、その静けさはほんの数秒だった。
「なぁ……暑くね?」
カイがぽつりと呟く。
振り返ったときには、もう浴衣の上半身を脱ぎかけていて──
引き締まった上半身が、月明かりに照らされて浮かび上がった。
「……ちょっと落ち着きたくて」
言い訳のようにそう言いながらも、カイの視線は、じっとこちらを見つめてくる。
ドキン。
「……あの、カイ」
「ん?」
「脱ぐなら……もう少し、ゆっくりしてからで……」
私がそう言った瞬間──
「ん? じゃあ、ゆっくり……脱ぐか」
カイがふっと笑って、わざとらしく浴衣の前を緩めはじめた。
はだけた布の隙間から、汗のにじんだ胸元、張った上腕がちらりと覗く。
そのまま、カイは自分の帯にまで手をかけた。
「ちょっ、待って! 脱ぐなら……脱衣所行って!!」
私は顔から火が出そうになって、あわてて部屋の奥へ駆け込んだ。
「はは、なんでそんな焦ってんだよ」
背後からカイの笑い声が聞こえる。
なのに、こっちは全然笑えない。
……あんなの、直視できるわけがない。
壁に背を預けて深呼吸していると、数秒後、すぐ背後から足音がして──
「ちゃんと脱衣所行ったぞ? 俺、えらくない?」
「……いや、それで上半身裸で出てくるの、意味ないから!」
ふと見上げると、バスタオルを腰に巻いた状態のカイが、にやにやしながら立っていた。
肩幅、腕、胸筋、鎖骨。
どこを見ても、眩しすぎてもうダメだった。
「……ほらまた顔赤い。可愛い」
「創作の参考にしてるだけなのに、そんな反応されたら……焦らしたくなるじゃん?」
「へ?」
「紫ってさ、俺の裸見ると照れるくせに、えっちなシーンは平気で書けるよな?」
「だったら──創作協力、してやろっか?」
そう言って、カイは脱いだ浴衣の帯を、くるくると手に巻きながらこちらへ近づいてきた。
「この帯、使ってみる? ちょっと軽く……縛ってみるとか」
帯の端を指先で揺らしながら、
ふわりと笑うその顔は、明らかに──寸止めする気満々だった。
紫の背中が、壁にぴたりと張りついた。
「ちょ、ちょっと……カイ、それ──」
「帯? ただの創作支援ツールだけど?」
そう言いながら、カイは私の手首をそっと取って、後ろに回す。
「ちょっと緩めに……こう。苦しくない?」
結び目が、ふわりと背中に触れる。
縛られてる──というより、包まれてるみたいだった。
「な、にこれ……」
「ん? こうすると、動けないし、感覚、鋭くなるって……小説に書いてなかったっけ?」
耳元に、低い声。
そして、カイの指が浴衣の袖口から入り、鎖骨にそっと触れる。
「っ……」
「なあ、紫。ここ、弱かったよな?」
「創作のためだし……確認、しとこ?」
指先でなぞられた鎖骨に、息が詰まりそうになる。
そこへ、今度は唇が触れた。
──ちゅっ。
軽く、熱く。
それだけなのに、帯を巻かれたままでは、逃げることもできない。
「顔、真っ赤。……すげぇ可愛い」
「俺に縛られて、そんな顔するの、ズルいって」
視線が絡んで、体温がまたひとつ上がる。
触れた場所から、じわじわと熱が広がっていく。
「なぁ、紫。今、頭の中……小説のネタになってる?」
囁きながら、今度は首筋にキス。
「俺も、続きを……知りたくなってきた」
カイの指が、首筋から肩口にすべる。
帯に縛られたまま、私はなにもできなくて──
ただ、息を飲んだ。
「紫……まだ平気?」
「そろそろ、次……いってもいい?」
耳元で、低くささやかれる。
その声に、体の奥がぞくりと震えた。
でもそのとき、ふと──
ふわっと、脳裏に浮かんだ。
「……あ」
「ん? どうした」
「い、今……思いついた! 小説の続き!」
帯に縛られたまま顔を上げると、カイが一瞬ぽかんとして──
「……マジで? このタイミングで?」
笑いながら、ほどいてくれた帯の感触がまだ残ってるのに、
私は急いでパソコンを立ち上げた。
「ありがとうカイ。逆に、めっちゃヒントもらった!」
「……はは。そりゃよかった」
「じゃあ、俺……シャワー行ってくるな」
腰のバスタオルをゆるく直して、カイはふっと微笑んだ。
「執筆、邪魔しないように……俺も、ちょっと冷やしてくるわ」
カイはバスタオルを直しながら、ふっと笑って私に目を向けた。
「……どんな話になるか、楽しみにしてる。もちろん、あの続きもな」
その声が、耳の奥に残ったまま──
私はそっとペンを走らせた。
ーーーーー
【後書き】
最後まで読んでいただき、ありがとうございました‼️
浴衣と花火でテンションが上がる紫と、
それ以上に帯を活用してくるカイに、書いてる私も翻弄されました🫠笑
寸止めだけど創作協力(物理)されてる紫の切り替えの早さ、ほんと強い…📝✨
今回もドキドキと甘さがしっかり伝わっていたら嬉しいです!
感想・応援もとっても励みになります💚
次回もどうぞお楽しみに🫶
夏の夜、浴衣姿で花火大会へ──。
ちょっぴり大胆になった彼に、心も体温もドキドキ上昇中!
帯で縛られるなんて聞いてない⁉
それでも創作の参考になるなら……って、これは寸止めじゃ済まない予感…
今回は浴衣×帯×花火×寸止めの甘~い焦らし回です!
ふたりの火照りと恋心、最後まで感じてください!
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夕暮れの空は、ほんのり茜色。
人混みのざわめきの中、私は約束の橋のたもとに立っていた。
今日は、花火大会。
数日前、カイと一緒に買いに行った浴衣を着て、現地で待ち合わせをしていた。
鼻先をくすぐる夏の風。ふと視線を上げた瞬間──
「……いた。紫」
カイが歩いてくる。
濃い藍色の浴衣に、ぐっと引き締まった体躯。
普段とは違う雰囲気に、目を奪われた。
カイも、私を見て少し足を止める。
そのまま近づいてきて、にやりと笑った。
「へぇ……やっぱ似合うな」
「俺が選んだ浴衣着て、ヘアメイクもして……今日は特別、可愛いじゃん?」
低くて甘い声が、耳の奥に残る。
不意打ちすぎて、胸が跳ねた。
「カイこそ……すっごく似合ってるよ。その浴衣選んで正解だったね!」
思わず言葉がこぼれて、カイがふっと目を細めた。
「……お前にそう言われると、自信つくな」
「でも、ちょっと困る。……今日、マジで我慢できる気がしない」
耳元で囁かれたその一言に、私は一気に顔が熱くなるのを感じた。
「じゃあ、行こうぜ。人混みすごいから、手……ほら」
差し出された手を取ると、指先からカイの体温がじんわりと伝わってくる。
浴衣の袖越しに感じるぬくもり。
その強くて優しい手を、今夜は離したくなかった。
カイと手を繋いだまま、賑やかな屋台の通りを歩いた。
焼きそば、りんご飴、イカ焼き、射的……
「お前、りんご飴好きだっけ?」
「うん。でも、食べたら口真っ赤になるかも……」
「……それはそれで見てみたいけどな」
カイのいたずらっぽい笑みに、また頬が熱くなる。
「ほら、冷たいのでも食っとけ」
そう言って買ってくれたかき氷を2人でつつきながら、夏祭りの喧騒を味わった。
それでも、だんだんと増えていく人混みに息が詰まりそうになった頃──
「……こっち、来い」
カイが手を引いて、人の波から外れるように路地裏へ入り込む。
そのまま坂道を登り、高台へ。
風が通り抜ける草の匂い。遠くから聞こえる太鼓とざわめき。
そして、ひときわ大きな音が夜空に響いた。
ドンッ──と大輪の花が咲く。
2人だけの空間に、花火の光が広がった。
「ここなら、ゆっくり見れるだろ」
私の隣に立ちながら、カイがそっと肩に触れる。
見上げた空に、またひとつ。
音も振動も、体の奥に響いてくる。
その横顔を、私はそっと見た。
真剣なまなざしで空を見上げるカイの表情。
どこか寂しげで、でも温かくて──
ふと、カイがこちらに視線を移す。
「……俺、さ」
「花火より、お前に見惚れてたよ」
心臓が跳ねた。
静かな声が、夜の中にまっすぐ溶けていく。
「……なに、それ」
「いや、マジ。……浴衣着て、髪もまとめて。今日の紫、いつも以上に、可愛すぎ」
「それに、俺の横にいてくれるのも……すげぇ、嬉しい」
カイの目が、真っ直ぐに私を見つめてくる。
照れとか、ごまかしとか、ひとつもない。
次の花火が打ち上がった瞬間──
私は、ふと隣にいるカイの顔を見た。
横顔じゃない。
真正面から、私を見つめていた。
視線がぶつかった瞬間、胸の奥で何かが跳ねた。
まるで、空に咲いた花火の音と重なるように。
カイの視線は真剣で、けれどどこか熱を帯びていた。
それに応えるように、私も思わず目をそらせなくなっていた。
そのときだった。
カイが少し顔を傾け、すっと視線を逸らす──
その仕草で、浴衣の首元から見えるうなじ、そして胸元に浮かぶ筋肉のラインが目に入った。
……ドキン。
自分の心臓の音が、花火に紛れて聞こえなくてよかったと思う。
お互いに、見てる。
でも言葉にはしない。
それが、なんだか余計に苦しくて、愛しくて。
「……充分、楽しんだし」
ふいに、カイが口を開いた。
「そろそろ帰る? ……2人きりになりたいし」
その一言に、頬が一気に熱くなる。
でも、逃げるように目を伏せて、小さく頷いた。
「うん……帰ろ」
自然と手が伸びて、重なる。
繋いだ手が、強く引かれることはない。
ただ、指のあいだを重ねるように、しっかりと包み込んでくれた。
並んで歩き出すふたりの肩が、自然と寄り添っていく。
夜風が涼しく感じられるのは、きっとそのせいだ。
遠くで、まだ花火は続いていた。
けれどもう、私の中では、さっきの一言がずっとリフレインしている──
「2人きりになりたいし」
その言葉だけで、心が熱くて、どうしようもなかった。
玄関のドアが閉まる。
「……ふぅ」
カイが軽く息を吐いて、鍵をかける音が響いた。
外の熱気から一転して、涼しい部屋の空気が肌に触れる。
浴衣の裾がふわりと揺れて、夏の夜が終わっていく余韻に包まれた。
だけど、その静けさはほんの数秒だった。
「なぁ……暑くね?」
カイがぽつりと呟く。
振り返ったときには、もう浴衣の上半身を脱ぎかけていて──
引き締まった上半身が、月明かりに照らされて浮かび上がった。
「……ちょっと落ち着きたくて」
言い訳のようにそう言いながらも、カイの視線は、じっとこちらを見つめてくる。
ドキン。
「……あの、カイ」
「ん?」
「脱ぐなら……もう少し、ゆっくりしてからで……」
私がそう言った瞬間──
「ん? じゃあ、ゆっくり……脱ぐか」
カイがふっと笑って、わざとらしく浴衣の前を緩めはじめた。
はだけた布の隙間から、汗のにじんだ胸元、張った上腕がちらりと覗く。
そのまま、カイは自分の帯にまで手をかけた。
「ちょっ、待って! 脱ぐなら……脱衣所行って!!」
私は顔から火が出そうになって、あわてて部屋の奥へ駆け込んだ。
「はは、なんでそんな焦ってんだよ」
背後からカイの笑い声が聞こえる。
なのに、こっちは全然笑えない。
……あんなの、直視できるわけがない。
壁に背を預けて深呼吸していると、数秒後、すぐ背後から足音がして──
「ちゃんと脱衣所行ったぞ? 俺、えらくない?」
「……いや、それで上半身裸で出てくるの、意味ないから!」
ふと見上げると、バスタオルを腰に巻いた状態のカイが、にやにやしながら立っていた。
肩幅、腕、胸筋、鎖骨。
どこを見ても、眩しすぎてもうダメだった。
「……ほらまた顔赤い。可愛い」
「創作の参考にしてるだけなのに、そんな反応されたら……焦らしたくなるじゃん?」
「へ?」
「紫ってさ、俺の裸見ると照れるくせに、えっちなシーンは平気で書けるよな?」
「だったら──創作協力、してやろっか?」
そう言って、カイは脱いだ浴衣の帯を、くるくると手に巻きながらこちらへ近づいてきた。
「この帯、使ってみる? ちょっと軽く……縛ってみるとか」
帯の端を指先で揺らしながら、
ふわりと笑うその顔は、明らかに──寸止めする気満々だった。
紫の背中が、壁にぴたりと張りついた。
「ちょ、ちょっと……カイ、それ──」
「帯? ただの創作支援ツールだけど?」
そう言いながら、カイは私の手首をそっと取って、後ろに回す。
「ちょっと緩めに……こう。苦しくない?」
結び目が、ふわりと背中に触れる。
縛られてる──というより、包まれてるみたいだった。
「な、にこれ……」
「ん? こうすると、動けないし、感覚、鋭くなるって……小説に書いてなかったっけ?」
耳元に、低い声。
そして、カイの指が浴衣の袖口から入り、鎖骨にそっと触れる。
「っ……」
「なあ、紫。ここ、弱かったよな?」
「創作のためだし……確認、しとこ?」
指先でなぞられた鎖骨に、息が詰まりそうになる。
そこへ、今度は唇が触れた。
──ちゅっ。
軽く、熱く。
それだけなのに、帯を巻かれたままでは、逃げることもできない。
「顔、真っ赤。……すげぇ可愛い」
「俺に縛られて、そんな顔するの、ズルいって」
視線が絡んで、体温がまたひとつ上がる。
触れた場所から、じわじわと熱が広がっていく。
「なぁ、紫。今、頭の中……小説のネタになってる?」
囁きながら、今度は首筋にキス。
「俺も、続きを……知りたくなってきた」
カイの指が、首筋から肩口にすべる。
帯に縛られたまま、私はなにもできなくて──
ただ、息を飲んだ。
「紫……まだ平気?」
「そろそろ、次……いってもいい?」
耳元で、低くささやかれる。
その声に、体の奥がぞくりと震えた。
でもそのとき、ふと──
ふわっと、脳裏に浮かんだ。
「……あ」
「ん? どうした」
「い、今……思いついた! 小説の続き!」
帯に縛られたまま顔を上げると、カイが一瞬ぽかんとして──
「……マジで? このタイミングで?」
笑いながら、ほどいてくれた帯の感触がまだ残ってるのに、
私は急いでパソコンを立ち上げた。
「ありがとうカイ。逆に、めっちゃヒントもらった!」
「……はは。そりゃよかった」
「じゃあ、俺……シャワー行ってくるな」
腰のバスタオルをゆるく直して、カイはふっと微笑んだ。
「執筆、邪魔しないように……俺も、ちょっと冷やしてくるわ」
カイはバスタオルを直しながら、ふっと笑って私に目を向けた。
「……どんな話になるか、楽しみにしてる。もちろん、あの続きもな」
その声が、耳の奥に残ったまま──
私はそっとペンを走らせた。
ーーーーー
【後書き】
最後まで読んでいただき、ありがとうございました‼️
浴衣と花火でテンションが上がる紫と、
それ以上に帯を活用してくるカイに、書いてる私も翻弄されました🫠笑
寸止めだけど創作協力(物理)されてる紫の切り替えの早さ、ほんと強い…📝✨
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