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プロポーズ
街のメインストリートは、多くの人々で賑わっていた。
大道芸人が奏でる陽気なフィドル、焼きたてのパンが放つ芳醇な香り、そして色とりどりの花々を売る露店。
「見て、ルチア。あの店のリボン、君のドレスの色にぴったりじゃないか?」
エリオットに導かれ、ルチアは小さなリボン店へ立ち寄った。
「これ、とても素敵ですわ。……エリオット様、どう思われます?」
ルチアが薔薇色のリボンを手に取り、彼を見上げる。
その拍子に、エリオットとの距離が驚くほど近いことに気づいた。
彼の微かな体温と、石鹸のような清潔な香りが鼻腔を突く。
ドクドクと、早鐘を打つ心臓が彼に聞こえてしまいそうで、ルチアは慌てて視線をリボンに戻した。
「君がそれを手に取った瞬間、そのリボンが一番価値のあるものに見えたよ。とても似合っている」
エリオットが、彼女の髪にリボンを合わせるようにして、顔を近づける。
(近い、近いわ……!)
彼の吐息が耳元にかかり、全身の血が顔に集まる音がした。
何気ない褒め言葉さえ、今のルチアには甘い毒のように脳を痺れさせる。
ルチアは上気した顔を隠すように俯きながら、そのリボンを買い求めた。
「次はあっちの露店に行ってみないか? あの店のアイスクリームは、この街で一番なんだ。甘いものは好きかな?」
「大好きですわ。……アルベルト様の前では、あまり食べられませんでしたけれど」
ふと口を突いた名前に、ルチアは顔をこわばらせた。
(しまった。デート中に、他の男の名前を出すなんて……。私、なんて馬鹿なことを……!)
せっかくの楽しい雰囲気を台無しにしてしまった。
きっと、彼は呆れて、私を嫌いになってしまうに違いない。
四度の人生で培われた「拒絶される恐怖」が、瞬時に鎌首をもたげる。
「も、申し訳……」
ルチアは青ざめて謝罪しようとしたが。
エリオットは怒ることもなく、当たり前のような口調で言い、笑った。
「じゃあ、これからはたくさん食べよう。一緒に」
(あ……。私、怒られてない……?)
それどころか、彼は私の過去さえも包み込もうとしてくれている。
その事実に、胸が熱くなり、同時に別の意味で心臓が激しく波打った。
「……。ええ。楽しみにしていますわ」
ルチアは微笑み返し、手渡された冷たいアイスクリームを一口齧った。
口の中に広がる、甘酸っぱいベリーの風味。
それは、彼女の記憶にあるどの高級菓子よりも、ずっと鮮烈で優しい味がした。
午後の陽光が水面に反射し、キラキラと輝く運河沿い。
二人は小舟に乗り、ゆったりとした時間を過ごしていた。
漕ぎ手はエリオット自身だ。
彼は慣れた手つきでオールを操り、ルチアを静かな場所へと導いていく。
シャツの袖を捲り上げ、オールを漕ぐエリオットの腕の筋肉が、動くたびに服の上からでも分かる。
(エリオット様、意外と逞しいのね。普段から鍛えておられるのかしら……って、何を考えているの)
ルチアは顔を赤らめ、慌てて水面に視線を逸らした。
「……信じられませんわ。こんなに穏やかな気持ちで外を歩ける日が来るなんて」
ルチアは、水面に指を滑らせながら呟いた。
「今までは、自分がどこにいるかよりも、誰にどう見られているかばかりを気にしていました。自分が何をしたいかなんて、考えたこともなかったのです」
エリオットは漕ぐ手を止め、真っ直ぐにルチアを見つめた。
舟が微かに揺れ、二人の視線が交差する。
「ルチア、君はもう自由だ。誰かの機嫌を伺う必要も、自分を押し殺す必要もない。君が笑いたいときに笑い、怒りたいときに怒る。それを誰も咎めない世界に、君はいるんだよ」
エリオットの言葉は、魔法よりも深くルチアの心に染み渡った。
彼は彼女の「過去」を知らない。
それでも、彼は目の前にいる「今のルチア」の本質を見抜き、その傷を癒やそうとしてくれている。
(私……この人のことが、本当に……)
胸の奥から溢れ出す感情に、ルチアの瞳が潤む。
「エリオット様……。私、貴方と出会えて、本当によかったですわ」
「僕の方こそ。君の隣にいる権利を勝ち取るために、僕がどれほど緊張していたか、君は知らないだろう?」
おどけて笑う彼に、ルチアも心からの笑みを返した。
夕暮れ時、二人は街を見下ろす丘の上の草原にいた。
黄金色に染まる世界。
涼やかな風が草の波を揺らし、ルチアの髪を弄ぶ。
「ルチア」
エリオットが、彼女の肩をそっと抱き寄せた。
(……っ!)
心臓が口から飛び出すかと思った。
彼の大きな体躯が、自分の体を包み込む。
彼の匂いが、鼓動が、ダイレクトに伝わってくる。
ルチアは真っ赤になりながらも、その温もりに身を預け、彼と同じ景色を見つめる。
「これから先、楽しいことばかりじゃないかもしれない。君がまた、自分の価値を疑いそうになる夜が来るかもしれない。……それに、一つだけ、聞き届けてほしいことがあるんだ」
エリオットは彼女の手に自分の手を重ね、少しだけ申し訳なさそうに、けれど真っ直ぐな瞳で続けた。
「僕は伯爵家の嫡男で、君は侯爵家の令嬢だ。本来なら、僕が君を妻に望むのは分不相応なことかもしれない。格下の僕が求婚することで、周囲から心ない言葉を投げられることもあるだろう。……それでも、僕は君と一生を添い遂げたい。どうか、これからも僕の隣にいてくれないだろうか」
ルチアは驚いたように瞬きをし、それから花が綻ぶような微笑みを浮かべた。
「身分差など、今の私には何の意味も持ちませんわ。かつての私は、公爵夫人という肩書きに相応しい人間になろうと必死で、自分自身を失っていました。でも、今の私が見ているのは、爵位でも家柄でもなく、エリオット様……貴方という方、ただ一人です」
ルチアは重ねられた彼の手を、今度は自分から強く握りしめた。
「貴方が私を『ルチア』として見てくださるように、私も貴方を『エリオット様』として愛したいのです。そこに、家柄の差が入り込む隙間なんてございませんわ」
エリオットの瞳に、安堵と深い熱が灯る。
彼は感極まったように彼女を抱き寄せた。
(ああ、心臓が、破裂しそう……!)
彼の胸に顔を埋めながら、ルチアは幸せすぎて怖いくらいの、激しい鼓動を感じていた。
「ありがとう。……君が自分自身を愛せるようになるまで、僕が何度でも君を愛し続けよう。この命が尽きるまで、一生をかけて」
「はい、エリオット様。……私、もう二度と振り返りませんわ。貴方の隣で、貴方と共に、新しい明日へ歩いていきたいのです」
二人の影が、夕闇の中に溶け合うように重なり合う。
草原に鳴り響く虫の声も、遠くに見える街の灯りも、すべてが二人の新しい門出を祝う祝福の調べのように聞こえた。
大道芸人が奏でる陽気なフィドル、焼きたてのパンが放つ芳醇な香り、そして色とりどりの花々を売る露店。
「見て、ルチア。あの店のリボン、君のドレスの色にぴったりじゃないか?」
エリオットに導かれ、ルチアは小さなリボン店へ立ち寄った。
「これ、とても素敵ですわ。……エリオット様、どう思われます?」
ルチアが薔薇色のリボンを手に取り、彼を見上げる。
その拍子に、エリオットとの距離が驚くほど近いことに気づいた。
彼の微かな体温と、石鹸のような清潔な香りが鼻腔を突く。
ドクドクと、早鐘を打つ心臓が彼に聞こえてしまいそうで、ルチアは慌てて視線をリボンに戻した。
「君がそれを手に取った瞬間、そのリボンが一番価値のあるものに見えたよ。とても似合っている」
エリオットが、彼女の髪にリボンを合わせるようにして、顔を近づける。
(近い、近いわ……!)
彼の吐息が耳元にかかり、全身の血が顔に集まる音がした。
何気ない褒め言葉さえ、今のルチアには甘い毒のように脳を痺れさせる。
ルチアは上気した顔を隠すように俯きながら、そのリボンを買い求めた。
「次はあっちの露店に行ってみないか? あの店のアイスクリームは、この街で一番なんだ。甘いものは好きかな?」
「大好きですわ。……アルベルト様の前では、あまり食べられませんでしたけれど」
ふと口を突いた名前に、ルチアは顔をこわばらせた。
(しまった。デート中に、他の男の名前を出すなんて……。私、なんて馬鹿なことを……!)
せっかくの楽しい雰囲気を台無しにしてしまった。
きっと、彼は呆れて、私を嫌いになってしまうに違いない。
四度の人生で培われた「拒絶される恐怖」が、瞬時に鎌首をもたげる。
「も、申し訳……」
ルチアは青ざめて謝罪しようとしたが。
エリオットは怒ることもなく、当たり前のような口調で言い、笑った。
「じゃあ、これからはたくさん食べよう。一緒に」
(あ……。私、怒られてない……?)
それどころか、彼は私の過去さえも包み込もうとしてくれている。
その事実に、胸が熱くなり、同時に別の意味で心臓が激しく波打った。
「……。ええ。楽しみにしていますわ」
ルチアは微笑み返し、手渡された冷たいアイスクリームを一口齧った。
口の中に広がる、甘酸っぱいベリーの風味。
それは、彼女の記憶にあるどの高級菓子よりも、ずっと鮮烈で優しい味がした。
午後の陽光が水面に反射し、キラキラと輝く運河沿い。
二人は小舟に乗り、ゆったりとした時間を過ごしていた。
漕ぎ手はエリオット自身だ。
彼は慣れた手つきでオールを操り、ルチアを静かな場所へと導いていく。
シャツの袖を捲り上げ、オールを漕ぐエリオットの腕の筋肉が、動くたびに服の上からでも分かる。
(エリオット様、意外と逞しいのね。普段から鍛えておられるのかしら……って、何を考えているの)
ルチアは顔を赤らめ、慌てて水面に視線を逸らした。
「……信じられませんわ。こんなに穏やかな気持ちで外を歩ける日が来るなんて」
ルチアは、水面に指を滑らせながら呟いた。
「今までは、自分がどこにいるかよりも、誰にどう見られているかばかりを気にしていました。自分が何をしたいかなんて、考えたこともなかったのです」
エリオットは漕ぐ手を止め、真っ直ぐにルチアを見つめた。
舟が微かに揺れ、二人の視線が交差する。
「ルチア、君はもう自由だ。誰かの機嫌を伺う必要も、自分を押し殺す必要もない。君が笑いたいときに笑い、怒りたいときに怒る。それを誰も咎めない世界に、君はいるんだよ」
エリオットの言葉は、魔法よりも深くルチアの心に染み渡った。
彼は彼女の「過去」を知らない。
それでも、彼は目の前にいる「今のルチア」の本質を見抜き、その傷を癒やそうとしてくれている。
(私……この人のことが、本当に……)
胸の奥から溢れ出す感情に、ルチアの瞳が潤む。
「エリオット様……。私、貴方と出会えて、本当によかったですわ」
「僕の方こそ。君の隣にいる権利を勝ち取るために、僕がどれほど緊張していたか、君は知らないだろう?」
おどけて笑う彼に、ルチアも心からの笑みを返した。
夕暮れ時、二人は街を見下ろす丘の上の草原にいた。
黄金色に染まる世界。
涼やかな風が草の波を揺らし、ルチアの髪を弄ぶ。
「ルチア」
エリオットが、彼女の肩をそっと抱き寄せた。
(……っ!)
心臓が口から飛び出すかと思った。
彼の大きな体躯が、自分の体を包み込む。
彼の匂いが、鼓動が、ダイレクトに伝わってくる。
ルチアは真っ赤になりながらも、その温もりに身を預け、彼と同じ景色を見つめる。
「これから先、楽しいことばかりじゃないかもしれない。君がまた、自分の価値を疑いそうになる夜が来るかもしれない。……それに、一つだけ、聞き届けてほしいことがあるんだ」
エリオットは彼女の手に自分の手を重ね、少しだけ申し訳なさそうに、けれど真っ直ぐな瞳で続けた。
「僕は伯爵家の嫡男で、君は侯爵家の令嬢だ。本来なら、僕が君を妻に望むのは分不相応なことかもしれない。格下の僕が求婚することで、周囲から心ない言葉を投げられることもあるだろう。……それでも、僕は君と一生を添い遂げたい。どうか、これからも僕の隣にいてくれないだろうか」
ルチアは驚いたように瞬きをし、それから花が綻ぶような微笑みを浮かべた。
「身分差など、今の私には何の意味も持ちませんわ。かつての私は、公爵夫人という肩書きに相応しい人間になろうと必死で、自分自身を失っていました。でも、今の私が見ているのは、爵位でも家柄でもなく、エリオット様……貴方という方、ただ一人です」
ルチアは重ねられた彼の手を、今度は自分から強く握りしめた。
「貴方が私を『ルチア』として見てくださるように、私も貴方を『エリオット様』として愛したいのです。そこに、家柄の差が入り込む隙間なんてございませんわ」
エリオットの瞳に、安堵と深い熱が灯る。
彼は感極まったように彼女を抱き寄せた。
(ああ、心臓が、破裂しそう……!)
彼の胸に顔を埋めながら、ルチアは幸せすぎて怖いくらいの、激しい鼓動を感じていた。
「ありがとう。……君が自分自身を愛せるようになるまで、僕が何度でも君を愛し続けよう。この命が尽きるまで、一生をかけて」
「はい、エリオット様。……私、もう二度と振り返りませんわ。貴方の隣で、貴方と共に、新しい明日へ歩いていきたいのです」
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