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26:ジュリウスのために
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「皆に、話があるの」
夕食の席、家族全員が集まっている場でアンナは神妙な面持ちで声を上げる。
「どうした」
「母上?」
家族全員の視線がアンナに突き刺さった。自分の提案に、皆納得してくれるだろうか。いや、させなければならないのだ。ジュリウスの為に。
どんどんと乾いていく喉を潤すために、アンナはワインを一息で呷った。
「ふぅ。今日、ジュリウスにお医者様を呼んだの」
「ジュリウス、どこか悪いのか?」
長男ヴァイスが心配そうに視線を向ける。
「いつもと変わらないわ、落ち着いてちょうだい。お医者様にジュリウスを診てもらった結果、ジュリウスは我が家ではない場所で生活させた方が良い、と言われたの」
「な!」
「嘘だろ!?」
「ど、どうしてそんな事になったんです」
バルド、ヴァイス、ユーリが思い思いに声を出す。ジュリウスは、そうなる可能性を考えていたのか、成り行きを静観していた。
「お医者様は、環境、食、外力、精神からの影響で人が病に罹るのだと。それら全てが適切に提供されていないらしいの。運動しないジュリウスには、ここの食事が塩辛いと感じる、信頼できるものしかいない離れは手入れが行き届いておらず、この家は虐めを受けていたジュリウスの精神に良くないんだって」
「でも! だからって、出て行く必要はないじゃないですか!」
ヴァイスがアンナへと言い募る。思う所があるのか、ユーリとバルドは黙ったままだ。
「私だってそう思ったわ、でも、ジュリウスの願いを叶える為にはそれしかないんだもの!」
「願い?」
黙ったままだった二人も、これには驚いたのか三人が声を揃えた。ジュリウスに視線が集中する。
「あ、えっと、僕、剣を握れるようになりたいんです」
「剣!?」
また三人の声が揃う。病弱な末っ子が、剣を握りたいと声に出すなんて、思ってもいなかったのだ。
しんと静まり返った空間で、アンナは話を続ける。
「ジュリウスを、マクミラン家へ預かってもらうのはどうかと思うの」
「マクミラン家で?」
「ええ。お医者様の言う通りなら、今のジュリウスにとってアリシア様は心の健康に良いのではないかしら。文官が多いあの家なら、ジュリウスが良いと思う食事を提供できるでしょうし、アリシア様の婚約者を嗤う者もいないに違いないわ。相手は侯爵家で、使用人も沢山いるだろうから、埃一つない場所で生活出来るに違いない」
アンナは家族が納得できるように訴え続ける。
「マクミラン家ではなく、他の親戚とも考えたのよ? でも、ラグダン家の親戚は御覧の通りだし、今はビリーたちの事もあって頼るのもどうかと思うじゃない。じゃあ、私の実家と思ったけど、うちの領地は王都に近いから、空気が良いとは言えないし、他の親戚は法衣貴族が多いから」
なら、ラグダンの領地からほど近く、ジュリウスにとって適切な環境を提供できるマクミラン家なら良いのではないかと、アンナは言う。
重苦しい空気の中、バルドが口を開いた。
「…………マクミラン家には正式に依頼をしておこう」
「仕方がありませんね」
バルドとユーリは納得したように頷いた。
「うがー! だったら、その前に一度アリシア様を呼んでくれよ!」
ヴァイスが、アリシアをラグダン家に呼んで欲しいと言い始める。前回のパーティーではアリシアへ挨拶できずに終わった。
ジュリウスに剣を握りたいと思わせる女性であり、大事な弟を預ける家の女性だ。気になるのは至極当然の事だと言えた。
「まあ、それは確かに、気にはなりますけど」
ユーリですらヴァイスの意見に同意し、父の判断を待つように視線を移した。
「…………ラグダン家から招待状を出しておく」
息子たちの圧に負けたのか、はたまたバルドですら同じ思いをしていたのか。重苦しく頷いて、アリシアをラグダン家に招待することが決まった。
夕食の席、家族全員が集まっている場でアンナは神妙な面持ちで声を上げる。
「どうした」
「母上?」
家族全員の視線がアンナに突き刺さった。自分の提案に、皆納得してくれるだろうか。いや、させなければならないのだ。ジュリウスの為に。
どんどんと乾いていく喉を潤すために、アンナはワインを一息で呷った。
「ふぅ。今日、ジュリウスにお医者様を呼んだの」
「ジュリウス、どこか悪いのか?」
長男ヴァイスが心配そうに視線を向ける。
「いつもと変わらないわ、落ち着いてちょうだい。お医者様にジュリウスを診てもらった結果、ジュリウスは我が家ではない場所で生活させた方が良い、と言われたの」
「な!」
「嘘だろ!?」
「ど、どうしてそんな事になったんです」
バルド、ヴァイス、ユーリが思い思いに声を出す。ジュリウスは、そうなる可能性を考えていたのか、成り行きを静観していた。
「お医者様は、環境、食、外力、精神からの影響で人が病に罹るのだと。それら全てが適切に提供されていないらしいの。運動しないジュリウスには、ここの食事が塩辛いと感じる、信頼できるものしかいない離れは手入れが行き届いておらず、この家は虐めを受けていたジュリウスの精神に良くないんだって」
「でも! だからって、出て行く必要はないじゃないですか!」
ヴァイスがアンナへと言い募る。思う所があるのか、ユーリとバルドは黙ったままだ。
「私だってそう思ったわ、でも、ジュリウスの願いを叶える為にはそれしかないんだもの!」
「願い?」
黙ったままだった二人も、これには驚いたのか三人が声を揃えた。ジュリウスに視線が集中する。
「あ、えっと、僕、剣を握れるようになりたいんです」
「剣!?」
また三人の声が揃う。病弱な末っ子が、剣を握りたいと声に出すなんて、思ってもいなかったのだ。
しんと静まり返った空間で、アンナは話を続ける。
「ジュリウスを、マクミラン家へ預かってもらうのはどうかと思うの」
「マクミラン家で?」
「ええ。お医者様の言う通りなら、今のジュリウスにとってアリシア様は心の健康に良いのではないかしら。文官が多いあの家なら、ジュリウスが良いと思う食事を提供できるでしょうし、アリシア様の婚約者を嗤う者もいないに違いないわ。相手は侯爵家で、使用人も沢山いるだろうから、埃一つない場所で生活出来るに違いない」
アンナは家族が納得できるように訴え続ける。
「マクミラン家ではなく、他の親戚とも考えたのよ? でも、ラグダン家の親戚は御覧の通りだし、今はビリーたちの事もあって頼るのもどうかと思うじゃない。じゃあ、私の実家と思ったけど、うちの領地は王都に近いから、空気が良いとは言えないし、他の親戚は法衣貴族が多いから」
なら、ラグダンの領地からほど近く、ジュリウスにとって適切な環境を提供できるマクミラン家なら良いのではないかと、アンナは言う。
重苦しい空気の中、バルドが口を開いた。
「…………マクミラン家には正式に依頼をしておこう」
「仕方がありませんね」
バルドとユーリは納得したように頷いた。
「うがー! だったら、その前に一度アリシア様を呼んでくれよ!」
ヴァイスが、アリシアをラグダン家に呼んで欲しいと言い始める。前回のパーティーではアリシアへ挨拶できずに終わった。
ジュリウスに剣を握りたいと思わせる女性であり、大事な弟を預ける家の女性だ。気になるのは至極当然の事だと言えた。
「まあ、それは確かに、気にはなりますけど」
ユーリですらヴァイスの意見に同意し、父の判断を待つように視線を移した。
「…………ラグダン家から招待状を出しておく」
息子たちの圧に負けたのか、はたまたバルドですら同じ思いをしていたのか。重苦しく頷いて、アリシアをラグダン家に招待することが決まった。
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